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「しおさい」   by塩見岳大

日時:令和元年6月30日
執筆者:塩見岳大
タイトル:しおさい

2005年…
これはまだ僕、塩見岳大と同期の齋英俊が和太鼓に入る前、
いや、和太鼓の存在を知りもしなかった高校生の頃のお話。

萩原泉、佐藤雅裕の代、41期桐蔭学園和太鼓部の面々が部を卒業し、
執行正樹率いる我らが42期桐蔭学園和太鼓部が始動してから、
半年ほどが経った頃。

季節は秋。
和太鼓部にとっての一大舞台、
学園祭に向けて部員の心はひと束に纏まり、
汗水まき散らかしながら、
練習に明け暮れていました。

後に鬼の部長として名を残す執行部長の練習メニューは激しく、
秋を迎えて緩やかに暑さの引いていく部室も
練習後には茹で上がるほどの室温となるのでした。

そして練習を終え、
片付けを終え、
ミーティングを終え、
再び部室が涼しさを取り戻す頃に、
齋と私は作戦会議を始めました。

他の部員は次々と帰路に着き、
気がつけば広い部室に二人がぽつりと残されていました。

僕達は時間も忘れて
ただただ夢中で話し合っていたのです。

学園祭にて初披露する新曲について。

二人で高校和太鼓界を、
いや、邦楽器界を揺さぶる名曲を作るために、
部室の畳の上で腰をずっしりと据え、
あれやこれやとアイデアを出し合っていました。

お互い和太鼓の楽曲を作ったことなどありませんでしたが、
未知で未熟ながらも、根拠のない謎の自信を胸に、
手探りで、もがきにもがき、その果てに生み出したのが「しおさい」という曲でした。

三つの締め太鼓を並べて、
それぞれの太鼓の間に演者が座り、
二人で三つの太鼓を奏でる演目「しおさい」。

締め太鼓の軽やかな音色と、
ぴったりと息のあった二人の音が織りなすリズムの波はまるで潮騒のよう。
後世に語り継がれるべき名曲、
と齋と僕は思っていたのですが…
存外に僕達の後輩はこの曲を引き継いでくれることはなく、
私達の代のみで輝きを放った幻の一曲となってしまったのでした。

お互いの名前を曲名につけるあたり、
若かりし私達の溢れ出る自己顕示欲が感じてとれるかと思います。
しかし、その自己顕示欲こそが、
当時若さと勢いと併せて持っていた僕達の武器であったのかもしれません。

当時から和太鼓に首ったけだった私達の初作曲はまさかの共同作業でした。
二人して試験や、練習や、学園祭の準備の隙間時間を見つけては、
アイデアを集め、試し、練習を重ねて仕上げた一曲
「しおさい」は私の和太鼓人生の中でも大事な位置にある曲の一つであることは、
間違いありません。

最後に生で演奏したのは2016年第8回特別企画 「しおさいの逆襲」だったでしょうか。
もしかしたらまた復刻演奏する機会があるかもしれませんので、
皆様がもしこの曲を聴く機会があれば、
そんな背景も想像しながら聴いていただけると面白いかもしれません。

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