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渡辺隆寛、和太鼓彩デビュー前夜「八月の終わりは、きっと世界の始まりに似ている」 by渡辺隆寛

日時:令和元年10月24日
執筆者:渡辺隆寛
タイトル:渡辺隆寛、和太鼓彩デビュー前夜「八月の終わりは、きっと世界の始まりに似ている」

こんにちは、こんばんは!
なべっちこと、渡辺隆寛です!

さて前回、ついに和太鼓彩入団!?に至った私ですが、時を同じくして団体もプロ化の波に飛び込むことに…。

渡辺少年の運命やいかに!?


かくして団体プロ化の波に乗じて、入団に至った渡辺青年だった訳だが、一つ問題があった。

(……い、居づらい)

それもそのはず。
新メンバーという括りでは、塩見さんが前年入団していたのだが、それでも僕とは5歳離れている。
葛西さんに至っては8歳も離れていたため、もはや子供同然だったであろう。

「団体に馴染めるか」というところは、悩みの種でもあった。

「まずは打てなきゃ話にならないから、曲を覚えるところから始めようか。そしたら春日、普段使ってる曲教えておいてくれる?その間、中では新曲の確認をしよう。」

葛西さんの指示のもと、そんなやりとりが行われた。

最初に覚えたのは、「叶」「祭宴」「Beaters」、この辺りであろうか。
覚えることは特段苦ではなかったが、打ち方、休符の取り方、それらを高校時代きちんと教わってきたわけではなく、我流が過ぎたために新たな習得に大変手間取った。

現役時代はずっと大太鼓と担ぎ桶太鼓しかやってこなかったために、特に長胴一個打ちでの迫力ある演奏、というものがすこぶる苦手であった。

きちんと長胴をやってくればよかったなという気持ちの反面、担ぎ桶太鼓に関してはすぐにでも演奏に出せそうとの評価いただいたときは、気持ちが舞い上がったのを今でも覚えている。

もっと上手くなりたい。それしかなかった。
僕がこの年の差を埋めるには、あっと言わせる太鼓技術が必要。それしかないと思った。


この頃、団体が取り組んでいたのは「COLORS」公演。
タイトルがちゃんと決まっていたかは正直覚えていない。
「衝動」ツアーの成功を感じ、この勢いのまま次のツアーを成功させようとしていたのはなんとなくわかった。

入団が2月末、COLORSの初演が4月末だったので、僕の練習もほどほどに、ツアーの直前練習が繰り広げられていた

憧れの団体に加入し、同じ空間に身を置ける喜びこそあれ、まだどこか余所余所しさは抜けなかった。

「お邪魔している」という表現が近い。


大学の授業も軌道に乗り、私生活のリズムも掴めてきた頃に、COLORS公演は始まった。

新人だったため、出演は見送り。
プロ化初の公演となったこのツアーに、上のメンバーたちの思いも一際強かった。

僕は影で多くの写真・動画撮影や終演後の物販周りを手伝うなど、演奏以外のことを多く請け負った。

当時、なんとしても満席にしたかったメンバーたちは、今や懐かしの藤沢名店ビルにて2週間連続公演を敢行。おかげさまで、会場は満席。
音響・照明スタッフさん参加のもと、行われる煌びやかなステージは、当時18歳だった僕の心を大きく揺さぶった。

––––––早く一緒に、同じ舞台に立ちたい。

そんな思いが膨れ上がった。

早くもっと上手くならなきゃ。もっと練習しなきゃ。

今と比べれば到底うまいとは言えなかったかもしれない。
それでも「早く同じ舞台に立ちたい」という一心に、打ち込み続けた。
たくさん曲も覚えた。

そんな折、葛西さんからこんなことを口にされた。

「次のツアーまでに、ミニライブツアーを挟もうと思う。渡辺くんにはそこでデビューをしてもらおう。」

ついに、お披露目の日が決まったのだ。

幾度とない練習を重ねた。
苦手な一個打ちにも励んだ。

もちろん不安もあった。
でも、太鼓が好きで、お客様にもっと笑って欲しくて、この道を選んだ。
僕なら大丈夫。

–––––––そして、2013年8月31日「解体新書」つくば公演。
晴れて、僕は和太鼓彩としてデビューした。

高揚感と緊張で頭がどうにかなりそうだった。
一曲目「解体新書」を終え、続けて「祭宴」。時間にして10分ほどあったと思うのだが、一瞬のように感じた。
見に来てくださった方がどんな反応をされていたかわからなかった。
そして出番を終え、控え室に戻った後、自然と涙が溢れてしまった。

今、この瞬間、僕は彩の一員になり、舞台に立ってお客様を笑顔にすることができた。
僕がやりたいことの一端が、一筋の光となって差し込んだ。

入団から半年、何もなかったわけではない。
練習を通して舞台に立ちたい気持ちや、上手くいかない辛さ、様々な思いが巡った。
ただこの日確かに、僕の世界はぐるりと回った。

僕の、「和太鼓グループ彩」としての、長い戦いが始まったのだ。

当時応援に来てくれたいとこが撮影した貴重な1枚を残して、本日は締めたいと思います。
次回、「激動の1年目」編。乞うご期待。

(…いや、襟足長っ!!!!!!笑)

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