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「歩み」作曲秘話② by齋英俊

日時:令和2年1月26日
執筆者:齋英俊
タイトル:「歩み」作曲秘話②

前回のレポートで、「奏」第2楽章 作曲への経緯をまとめさせていただきました。
https://wadaiko-sai.com/archives/history/200107

今回は早速…
そんな経緯で出来上がった新曲 を説明していきましょう!!

まずは曲名から♩
楽曲の名前を「歩み」と名付けました。

この「歩み」には2つの意味が込められています。
まずひとつめ。
和太鼓彩は2019年、Road to 東京国際フォーラムと称して、夢の地、国際フォーラムまでの日々を、彩チャンネルなどで紹介していました。
東京国際フォーラムまでの道を、“これまでたしかに、歩んできた” 

そしてもうひとつ。
東京国際フォーラム公演は和太鼓彩にとってのゴールではありません。
長く長く続く道の、通過地点です。
これから続く未来を、“これからもしっかり、歩んでいきたい”

「これまでの歩み」と「これからの歩み」、2つの「歩み」が込められています。

東京国際フォーラム公演が決まった直後配布させていただきました、塩見くんデザインの”ROAD TO 東京国際フォーラム”パンフレット。
青空の元、東京国際フォーラムがこの道の先にあるのか、
それともこの道が今まで歩んできた道を振り返ったものなのか、それは塩見くんにしかわかりません。笑
(僕は後者の説を推しています。笑)

さて、お待たせしました!!
いよいよ!「歩み」の楽曲説明に参りましょう!!

↓↓↓まだ「歩み」を聞いたことがないという方はこちらを先に聞いてね♪↓↓↓


〜シーン1 年長者メンバー〜 (0:00~)

前回のレポートで述べましたが、“和太鼓彩での日々“が「歩み」のひとつのテーマとなりました。

「歩み」の前半部分では、その和太鼓彩の日々、「これまでの歩み」を表現しています。

まずは、葛西啓之、萩原泉、塩見岳大、そして私の4人です。
改めて説明する必要もないかもしれませんが…笑
夢以外何にもなかったアマチュア団体から、最初にプロの世界飛び出してくれたメンバーです。
文字通り、苦楽を共にしながら、さまざまな壁を乗り越えながら、歩みを進めてきたメンバーです。
冒頭は、この4人のみでの演奏にしました。

歩んできたいろんな日々を思い返しながら、序章が始まります。

ちょっと音楽的なお話をしますと、この「歩み」はメジャースケールの楽曲です。
簡単に言うと明るいイメージですね♩
実は和太鼓彩の楽曲は、ほとんどマイナースケールなんです!
明るいイメージもある!?
「祭宴」や「まつりだ、まつりだ、おまつりだ〜!!」も、実はマイナースケールです。

和太鼓彩の明るい未来を象徴するような楽曲とするため、今まであまり取り入れてこなかったメジャースケールで、メインとなるメロディーラインを作りました。

そしてリズムの基調は3連符にしました。
これは、「奏」第2楽章 という流れを踏襲しています。

皆様が思い浮かべる「奏」の象徴的なシーンってなんだろなと思った時、いわゆる下記動画のシーンかなと。僕らが2.5部と呼んでいるシーンです。

このシーンの太鼓のリズムは3連符が基本となっています。
第2楽章ということで、「歩み」にもどこかに「奏」の味は残したかったんです。
あえて、太鼓のリズムは似ているのに!?こんなに違って聞こえるんだ!!
そんな曲を目指しました。

〜シーン2 若手プロメンバー〜 (1:38~)

続いてのシーンは、岡本峻一、渡辺隆寛、酒井智彬の3人です。
この3人、年長者4人に続きプロの世界に飛び込んでくれた、頼もしい後輩達です。

2019年には、彼ら3人にフォーカスを当てたLIVE「SAI LAND “前途洋洋篇”」を 乗り越え、最近みるみる成長してくれています。
そして、その時初披露した新曲、「ff-fortissimo-」で新しい表現に挑戦してもらいました。
(「ff-fortissimo-」に関しまして渡辺のヒストリーレポートも合わせてご覧ください!
https://wadaiko-sai.com/archives/history/191219)

挑戦してもらった「ff-fortissimo-」の新しい表現、変拍子。
ここのシーン2では、歩みの中で唯一、彼らが得意になったはずの!?笑 変拍子を織り交ぜています。

そして、この曲ではさらに新しい表現にも挑戦してもらいました。
彼らが登場する冒頭のシーンです。

求めたテーマは “余韻”
和太鼓は打てば誰でも音が鳴ります。
そしてドカドカ鳴らす、”大きな音”。
これは間違いなく、和太鼓最大の魅力です!

が、、、
和太鼓の魅力は、それだけではありません。

余韻。

力一杯に打つのとは違う、余韻を活かした音。
打った後に響く音色。

以前とある方から、
“一流の和楽器奏者は打ったあとの音に責任が持てるものだ”
というアドバイスいただいたことがあり、それを意識して彼らの冒頭のシーンを作りました。

目指したイメージは霧の中から歩んでくる姿。
とてもとても難しい表現を彼らには求めましたが、東京国際フォーラム公演当日は、しっかりとイメージした通りの演奏をしてくれました!

求めたものに食らいつき頼もしく成長していく彼らは、年長者メンバーにとって楽しみのひとつです。
そして、彼らのために次はどんな曲をつくろうかと考えるとワクワクします。笑
皆様も、これからの彼らの歩み、どうぞお楽しみください!

〜シーン3 人生行路メンバー〜 (2:56~)

そして、さらにフレッシュなメンバーが和太鼓彩に加わります。
一彩、松谷鷹太郎、佐藤龍史、牛道怜の4名です!

「SAI LAND “前途洋洋篇”」の次に開催された、「SAI LAND “人生行路篇”」にてフォーカスがあたった4人。和太鼓彩を支える中堅どころとして活躍してくれています!

舞台上のメンバーは総勢11名となり、音に厚みが増していきます。

そして、ここから酒井くんが篠笛パートに切り替わり、篠笛が二重奏となります。(3:22~)

人数が増え、できる楽曲も増え、若手が新しい風を和太鼓彩に吹き込み、活動の幅がどんどんと広がっていきました。イメージとしては2015年に開催した初の全国ツアー「衝動Ⅱ」~2017年「新世界」の時代でしょうか。
忙しくも楽しく過ぎ去っていった日々を表現しています。

〜シーン4 壁~ (4:35~)

しかし、プロとしての活動は常に順風満帆!!というわけにはいきません。
時には、壁にぶち当たることもあります。

ここのシーン4では、大きな壁にぶち当たり、半ばあきらめかけてしまうような、、、心が負けてしまいそうになる、、、
そんなシーンを表現しています。

ずっとメジャースケール(=明るいイメージ)で進んできたメロディーも、ここでマイナースケール(=暗いイメージ)に転調します。

メンバーもうつむき気味となり、、、、
こ、こころが、、、折れそうに、、、、、

〜シーン5 救世主登場!〜 (5:13~)

そんな中、事態を切り裂く仲間が登場します!!
2年目メンバー鈴木海、宇田翔馬、遠西篤治、吉田優人、尾関龍河、1年目メンバー松本一希、東野太亮、そして大学のサークル時代から和太鼓彩を支えてくれた矢萩大貴、春日大輔、紺谷友博です。

力強く、ダイナミックに!!!
文字通り救世主のごとく現れ、メンバーを力強く後押しします。

(6:00~)
ここからは戦いのシーンです。
仲間たちの力強い後押しを受け、息を吹き返すメンバー達。
演者は総勢21名となり、音圧、和太鼓彩の勢いはさらに増していきます!
そしてついに!和太鼓彩一丸となり壁を乗り越えます!

やがて、一筋の光に照らされ、道が見えてきます。(6:16~)

イメージとしては、女神様が、天から目指すべき道を照らしてくれる。
そんな神秘的な、幻想的な、空想的な、
「歩み」の中では唯一!?少し現実から離れているシーンです。
ちなみにアルバム「SAI ALBUM」では、幻想的な雰囲気を増すためここだけエコーを強めにかけています。

〜シーン6 クライマックスシーン〜 (6:43~)

最後の、曲のクライマックスシーンです。
照らされた道を、全メンバー一丸となって、力強く歩んでいきます。

この「歩み」のために新調した衣装とも、とても合うシーンですね☆
これから何があっても胸をはって、力強く歩んでいくんだ!!!!
和太鼓彩の「これからの歩み」を表現しています。

葛西代表の奏で続けるシンバルがひとつの“音しるべ”
代表の音が進むべき道の“道しるべ”となり、みんなで歩んでいきます。
「俺の音についてこい!!!」
そんなイメージで、シンバルは多めに入れています。

これからの和太鼓彩の未来を見据え、東京国際フォーラムだと2階席のあたりを見るような、やや上向きになりながら太鼓を打ち込みます。

そして気が付いた人いるかな??
もしかしたらメンバーも気が付いていないかもしれませんが(笑)、
実は「歩み」の最後のサビの部分と、奏の象徴的なシーン(2.5部)と、長胴太鼓のリズムが同じなんです。

「奏」の第二楽章として残した味の部分ですね♪
当初葛西さんと話したときに、
『第二楽章の中に「奏」のメロディーがどこか入るといいかも』というアイディアが出たのですが、なかなかしっくりこず、太鼓のリズムをそっと、しかし大事なポイントで大胆に忍ばせてみました。

そして最後は、これからも明るい和太鼓彩が、、、

続く!!!!

といった形で楽曲は終わりとなります。


以上、、、
2回に渡り、東京国際フォーラム公演にて初披露しました新曲「歩み」の制作秘話を振り返りました♫

実は、、、作曲者としては各曲の細部までこだわりというか、イメージがあります。
このヒストリーだけで4000字、、、
細かく書いたら1万字くらいいけそうですね(卒論か!笑)

ではでは!!
長くなってしまいました&途中マニアックになってしまいましたが、、、お楽しみいただけておりましたら嬉しいです!

文字通り、これからの和太鼓彩の歩み、そして楽曲「歩み」の成長、そしてそして2020年生まれる新曲!
どうぞお楽しみに^^

ありがとうございました!!

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