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松本城太鼓まつり〜和太鼓彩ここにあり!篇〜 by葛西啓之

日時:令和2年5月7日
執筆者:葛西啓之
タイトル:松本城太鼓まつり〜和太鼓彩ここにあり!篇〜

みなさまこんにちは。
葛西です。

なけなしのお金をはたいて購入した初の運搬車「ごん吉」くんとともに、「国宝松本城太鼓まつり」に出演すべく、松本城に到着した和太鼓彩の面々。
(前回のレポート参照 http://wadaiko-sai.com/archives/history/200129

本日はいよいよ、演奏の模様をレポートしていきたいと思います!

さて、到着してすぐに、1日目の公園ステージにて演奏がはじまります。

和太鼓彩にとって初の関東外公演。
目の前で演奏を見てくださる方々はもちろん、初めて会う方々ばかり。
和太鼓彩のことを知っている方など、一人もいません。
不安と緊張でいっぱいになりながらも、自分たちの力を信じ、精一杯の演奏を披露致しました。

・・・しかし、結果は惨敗。。。

極度の緊張で腕がいつものように動かなくなってしまうメンバー、
気合いが空回りしてテンポがズレてしまうメンバー・・・
それぞれが初めての体験の中で戸惑い、心を乱し、いつもはできていた演奏ができなくなってしまったのでありました。。。

まして、このイベントは「太鼓まつり」。
目の前にいるお客様は皆さん太鼓好きで、半端な演奏で満足いただける方々ではありません。

どうにか最後まで演奏を終えた僕たちでしたが、演奏会場にはどことなく、しらーーっとした空気が流れてしまい、お客様に楽しんでいただけなかった悔しさと、自身の緊張に勝てなかった恥ずかしさにいたたまれなくなり、足早に演奏会場を後にしたのでした。。。

いったんそれぞれの部屋に戻り、頭を冷やした面々。
しかし、いつまでもへこんではいられません。
翌日には、一世一代の大舞台、松本城前ステージでの演奏を控えているのです。
さらに、出番は大トリ。

明日に控えた大舞台で情けない演奏をするわけにはいかない・・・
和太鼓彩の全てを出して、松本のお客様に楽しんでいただくんだ!!
和太鼓彩のことを認めていただくんだ!!

そう自らを奮いたたせ、夕食を囲みながら、反省会をはじめました。

やはり最大の敗因は、「空気に飲まれてしまった」こと。
「松本城太鼓まつり」という日本でも有数の大イベント・・・
今の自分たちにはできないような、すごい演奏をしなければいけない・・・
そんな背伸びした気持ちがいけなかったんじゃないか。

どこまでいっても和太鼓彩は和太鼓彩だし、
今自分たちができる演奏をするしかない。
目の前で見てくださっているお客様も、きっと僕たちの演奏を楽しみにしてくださっているはず。

なにより、この日に向けて、僕たちは死に物狂いで練習を重ねてきた。
自分たちの太鼓と仲間を信じて、明日は等身大の演奏をしようー

悔しさをお酒で飲み込みながらそんなことを語り合い、翌日に向けて士気を高めていったのでした。

迎えた翌日。

お昼から現場入りし、夜に迫る本番に向けて準備を進める面々。

何度も何度も全員でリズムを確認し、体を動かし、他の団体さんの演奏を横目で見ながら、出番を待ちました。

そして、ついにやってきた本番。
和太鼓彩史上最も規模の大きなステージに、8人の男たちが立ちます。

ステージに立った瞬間、鳥肌・・・なんて生易しいものではないですね、
なんというのでしょう、寒気と高揚感と武者震いと・・
これまで味わったことのない感覚に襲われました。

圧倒的な存在感とともに夜の闇に浮かぶ、国宝松本城。

煌びやかにライトアップされ、その姿は荘厳。神々しくもあります。
そんな松本城を背に立つ、まだ何の自信もない若者8人。
そして目の前には、1,000人を超えるお客様。

後ろには国宝松本城、前には1,000人を超えるお客様。
前にも後ろにも逃げ場がない、とはまさにこのことですね。笑

しかし、もう逃げるわけにはいきません。
1,000人のお客様に感動を届け、和太鼓彩の演奏をしっかりと届けるんだ!
そんな強い気持ちを持って、震える手を制しながら、勇気と覚悟を持って演奏を始めたのでした。

そう、

「和太鼓彩ここにあり!!!」

と心の底から叫ぶように・・・

この日お送りした曲は2曲。
「奏」と「叶」です。
このステージで演奏するのは、この2曲しかない。
そんな強い思いを込めて、和太鼓彩の代表曲を並べてお送りしました。

・・・そして、「奏」を演奏している途中、とある変化が起こります。

それまではなんとなく、初めて目にする和太鼓彩の演奏を遠巻きに見ているような感じだったお客様が、
演者的にいうと、どことなく「試されている」ような感じだった会場の空気が、
「奏」を演奏している途中で、急にふわーっと明るくなるような・・・
目の前が急に開けてくるような・・・
そんな感覚に襲われたのです。

次第に会場の空気が温かくなっていき、緊張がほぐれていきます。
僕たちもだんだん乗ってきて、演奏が自然と心地よく、リズミカルになっていきます。
自然と湧き上がってくる拍手、手拍子、応援の声・・・
徐々に徐々に、ステージと客席を含めた「松本城全体」が一つとなっていきました。

「ああ、僕たちの演奏が、1,000人のお客様に認められたんだ」。

そう、確信しました。
もしかしたら自分の勘違いかもしれませんし、そんな変化はなかったのかもしれません。
それでも確かに僕は、会場の空気の変化を感じたのです。

そしてその瞬間、自然と涙がこぼれました。

独学で突き進んできた自分たちの演奏が、果たしてどれだけの人に伝わるのか・・・
自分は本当に正しかったのだろうか・・・
どこかでそんな不安を抱えていたのでしょう。

そんな不安をよそに、これまでの和太鼓彩では考えられなかったほどたくさんの方々に僕たちの演奏が伝わっている。
1,000人をも超える方々と素敵な音楽の時間を共有できている。

もう、とめどなく涙があふれてきたのです。

そこからは、泣きながらただがむしゃらに、奏の続きと叶を叩ききりました。


こうして終えた、和太鼓彩の初遠征「松本城太鼓まつり」。

この時演奏した「奏」は、いまでも僕の中に深く刻まれており、
この日をきっかけに改めて、「早くプロになって、もっとたくさんの方に演奏を届けたい!」と強く思いました。

自分の太鼓人生を大きく動かした、そして、「太鼓」の可能性、素晴らしさを改めて教えてくれた、大きな大きな体験でした。

もう9年前のこととなってしまいましたが・・・
改めて、こんなにも貴重な体験をさせてくださった松本城太鼓まつり実行員会の皆様には、感謝してもしきれません。
そして、あの日、あの時、拙い和太鼓彩の演奏を見て、割れんばかりの拍手を送ってくださいました皆様に、心より御礼申し上げたいと思います。
本当に、ありがとうございました。

おかげさまで僕たちは今でもこうして、和太鼓を続けることができております!

和太鼓彩、ここにあり!!!

これからもたくさんの方と太鼓を通じて、その場の空気が一つになれるような幸せな空間を作っていきたいと思います。
人生の大切な思い出となるような素敵な時間を、一緒に共有していきましょうね。

それでは、今回はこのへんで。
ばいばいー!

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