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第4回単独公演「衝動」 by葛西啓之

日時:令和2年6月3日
執筆者:葛西啓之
タイトル:第4回単独公演「衝動」

皆様こんにちは。
葛西です。

さて、前回のレポート(https://wadaiko-sai.com/archives/history/200507)にて、初の関東外公演・松本城太鼓まつりを無事に終えた和太鼓彩。

松本城太鼓まつりで得た確かな手応えと、「もっともっと大きくなって、たくさんの人に和太鼓彩の演奏をお届けするんだ!」という強い意志を胸に、夢の「プロ」化へ向け活動は加速していきます。

見据える次の大舞台は、年をまたいで2012年1月に控える「第4回単独公演」。
奇しくも第1回単独公演と同じ北沢タウンホールでの開催が決まっていました。

(公演パンフレット 表紙)

さて、私たちはこの公演で、ある目標を立てていました。

それは、「一般のお客様だけで会場を埋めること」です。

和太鼓彩は2005年に、大学のサークルとして立ち上がったチーム。
それまでの活動の中心は大学の学園祭であり、自主ライブを実施する際も、家族や友達などに声をかけて来てもらっていました。

しかし、僕たちの目指す先は「プロ」。
プロになるためには、団体にファンをつけ、和太鼓彩を応援くださる方の輪を拡げていかなければいけません。
その第一歩として、来たる第4回単独公演では身内には一切頼らず、一般のお客様だけで会場を埋めよう!という大目標を立て、動き始めていました。

当時からお付き合いさせていただいていた亀有パフォーマンスパーク(通称:KPP)への度重なる出演や、つくばへの進出、その他、パフォーマーを募集しているありとあらゆるイベントに応募し、出演させていただきました。
当時はまだサラリーマンでしたが、ほぼ全ての土日、どこかで演奏していたんじゃないかな〜というくらい演奏していました。

このあたりは以前齋くんが書いてくれたレポートにも詳しいですね。
https://wadaiko-sai.com/archives/history/190514
こちらもぜひご覧ください!

・・・

毎週土日に演奏しては打ち上げして。
演奏が大いに盛り上がった日はみんなで喜び合って。
お客様が全然集まらなかった日は悔しさを酒で流して。
KPPのあと亀有の路上で酔い潰れた夜も、終電を逃して河川敷で並んで寝た夜もありました。

早くプロになりたいね、早く世界を駆け巡りたいね。
そんな夢物語を語り合いながら、大いなる夢に向かって和太鼓彩が一つになっていくのを日に日に感じていました。

そんな頼もしくも危なっかしい仲間たちを横目で見ながら、
私は和太鼓彩の代表曲「奏」の大編曲に取りかかります。
ここも、以前レポートに書きましたね。
https://wadaiko-sai.com/archives/history/190806

この仲間たちの今を、想いを、形にして残しておきたい。
舞台上で表現したい。
そんな感情から、半ば衝動的に取りかかった編曲でした。


さあ、そうこうしている内に季節は冬に。
1月に控えた第4回単独公演が目前に迫る中、私たちは最後の追い込みで、2回合宿を行いました。

1回は、年内の土日に。
そしてもう1回は、仕事納めの28日から、大晦日まで。
どんだけ太鼓漬けなんだ、って感じですね。笑
会社にいる時間以外の全てを、和太鼓彩に費やしていました。
(いや、会社にいる時間もちょっと費やしてたかも。。。笑)

そしてこの2回の合宿を終え、私はある一つのことを決意します。

公演タイトルを、「衝動」にしよう、と。

実は、この「衝動」という名前、当初から決まっていたわけではないのです。
決まったのは(というか、勝手に決めたのは)、なんとライブの一週間前。

半年間の軌跡、そして合宿でのメンバーの打ち込み、表情。
なにより彼らの「太鼓への衝動」を一身に受けて、
もうこの公演タイトルは「衝動」にするしかない・・・!
と直感的に思ったのであります。

メンバーの気持ちも「衝動」であれば、
タイトルが決まったのも「衝動的」ですね。笑

こんな怒涛の半年間を経て、ついに、和太鼓彩の歴史に燦然と輝く伝説の公演「衝動」が幕を開けました。

【叶】

【奏】

この2時間、メンバー一人一人がどんな想いで太鼓を打っていたのか。
細かい部分までは知る由もありませんが、太鼓への「衝動」という意味では、メンバーが心の底から一つになった瞬間だったと思います。

今見返すと超荒削りではありますが・・・アマチュア時代の和太鼓彩の中では間違いなくこの「衝動」が最高の演奏であり、そしてやはり、和太鼓彩の原点といえる演奏だったでしょう。


以上、ざっくりと第4回単独公演「衝動」を振り返ってきましたが、
やはり今思い返しても、この1年は和太鼓彩にとって大きなターニングポイントだったように思います。

アマチュアからプロへ。

そこに至るまでの悔しさと葛藤と、そしてその先にある大いなる希望を胸に、
メンバーが一つになり、熱い絆が生まれた1年でした。

この「衝動」が和太鼓彩にとって大切な大切な原点となり、
この後の初ツアー「衝動」、
2015年の初全国ツアー「衝動Ⅱ」、
そして2017年の復刻版「衝動」ツアー、
へと、長きにわたり歴史を紡いでいくのです。

次回からいよいよ、本格的にプロ化へと動き出す2012年をお送りしたいと思います
どうぞお楽しみに!

それでは今回はこの辺で。
ばいばーい。


<おまけ1>

第4回単独公演「衝動」のパンフレットを発掘しましたので、お見せしますね^^


塩見くんがまだ加入する前なので、当時は僕がパンレットも作っていたのです・・・!

それにしても、第二部が「奏」一曲って、パンフレットのデザイン的にもやっぱりかっこいいなあ。
空白の美学ってやつですね。
またやりたいー!!!

<おまけ2>
ライブ当日、「奏」を演奏する前に話したMC原稿が発掘されたので、こちらも全文(ママ)載せちゃいたいと思います!

僕も見つけてびっくりしましたが・・・当時思っていたこと、感じていたことがリアルに伝わってきます〜。
どうぞご覧ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

皆様こんにちは。
和太鼓グループ彩、代表の葛西です。
本日はお忙しい中、和太鼓グループ彩 第4回単独公演にお越しくださいまして、誠にありがとうございました。
第1部はお楽しみいただけましたでしょうか。

パンフレットにも書かせていただきましたが、
2011年は本当に多くの場所で、多くの方々に支えられながら、活動させていただきました。
おかげさまで私たちも、非常に充実した1年間を送ることができました。
簡単ではありますが、2011年、お世話になりました皆様に、
この場をお借りして御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

さて、まもなく第2部ですが・・・
パンフレットを見ていただいた方々にはもうお分かりかと思いますが、
第2部は、「奏」1曲となっております。
3年前の2009年1月10日、偶然にも、この北沢タウンホールで、
第1回単独公演を行いました。
「奏」は、その時に作った曲です。
当時は大学4年生だったのですが、卒論も就活もそっちのけ、1年間考えに考えてできた奏、完成した時は、これは良い曲ができた、こんないい曲は他のどの団体もやっていない!
・・・そんな風に、思っていました。

あれから、3年。
今年は、大会やゲスト演奏など、学園祭というこれまでの拠点を飛び出して、本当にいろいろなところで演奏させていただきました。
もちろん、彩の中心曲である「奏」は、毎回のように演奏してきました。
その中で感じた壁、葛藤。
他の素晴らしい団体の方々のパフォーマンスや、他のエンターテイメントを見れば見るほど、「奏」、ひいては、自分たちの演奏は「普通の太鼓団体の演奏である」「僕たちより他の団体の演奏のほうが、よっぽどお客様に感動を与えている」
別に比べるものでありませんが、この1年間を通じて、3年前に感じた思い、「奏という曲は、和太鼓彩の代表曲といえる、素晴らしい曲だ」という思いが、幻想だったのだと感じました。

そんな苦悩・葛藤から始まった、今回の編曲活動。
正直、一体どうすればいいのか、全く分からず、なかなか進みませんでした。
で、改めてこの1年を振り返ってみると、私事ですが、この1年間は本当に、このメンバーに感謝することが多かったんです。
後輩たちが入ってきたころは、なんとかして和太鼓彩を楽しんでもらおう、太鼓を好きになってもらおうと、リーダーとしていろいろと気をつかったりもしてたんですが、
彼らも本当に頼もしくなって・・いろんなところから演奏を持ってきたり、ホームページやブログを積極的に作ってくれたり、もちろん、演奏でも、こんなに力強く・たくましい演奏をしてくれて・・・こいつらがいなかったら、僕は今ここで太鼓を続けていることができない、と感じ、今年は、この仲間たちに僕が助けられたことのほうが多かったように感じています。
一方で、当初は僕の高校の同期4人で始めた和太鼓彩ですが、今では、立ち上げメンバーは残っていません。もちろん、喧嘩をしたとかそういうわけではなく、それぞれ就職し、物理的に続けていくのが無理になってしまったわけですが・・・
いろいろなところで演奏すればするほど、立ち上げメンバーがいない寂しさ、そして、
「和太鼓」全力で続けていくことの難しさ・しんどさを、幾度となく感じた1年でした。
現メンバーたちも、もしかしたら今後社会人になって、太鼓を続けられなくなる日がくるかもしれません。

そんなことをぼんやり考えながら、今回、編曲させていただきました。

和太鼓彩ならではの演奏、和太鼓彩にしかできない演奏・・・
それは、たった7年足らずですが、そんな短い間でも、一つのストーリーを持っている和太鼓彩の歴史であったり・・・和太鼓を続ける苦しみであったり・・・もちろん、それを乗り越えたときの喜びであったり・・・
そして何より、「和太鼓を通じて、お客様に何かを伝えたい」という僕たちの思い、
目の前の太鼓に向かう「衝動」であったり。
そういった、僕らの感情全てをこの1曲で表現できないか、
それこそが、和太鼓彩にしかできない演奏なのではないか、
そんな思いで、今回編曲させていただきました。

僕らの気持ちをむき出しにした、半ば暴力的かもしれない、今回の「奏」。
皆様に、何か、心ゆさぶるものをお届けできれば、
そして、「感動した、元気になった」と、いつも以上に感じていただければ、幸いです。

それでは、大変長くなってしまいましたが、まもなく、第2部スタートです。
どうぞごゆっくり、お楽しみください。

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