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渡辺隆寛、和太鼓彩入団!「僕の初恋をタイコに捧ぐ」 by渡辺隆寛

日時:令和元年9月28日
執筆者:渡辺隆寛
タイトル:渡辺隆寛、和太鼓彩入団!「僕の初恋をタイコに捧ぐ」

こんにちは、なべっちです。

前回、

「タカヒロは、彩に入るべきだ。“和太鼓彩”に入るには、今しかない。」

そんな言葉を、直上の先輩から頂いた渡辺くん。
彼の和太鼓人生は一体どうなるのでしょうか!?

最初に言っておきます、今回お写真少なめです。笑
全く関係ない僕の若い頃の写真を貼っておきますのでお許しください…

それでは、ドキドキの第2話、どうぞ。


「タカヒロは、彩に入るべきだ。“和太鼓彩”に入るには、今しかない。」

「和太鼓グループ彩」、もちろん名前は知っていました。
というより、むしろずっと好きでした。

僕らの夏合宿の指導に来てくれたり、その年の関東大会のゲストとして呼ばれたりもしており、当時、アマチュアとプロの境目くらいだった彼らはまさに「新進気鋭」。

受験勉強中もずっと「奏」や「祭宴」「叶」を聞いては振りコピして。
こんなチームで叩けたら、どれだけ素敵だろうかと…

「え!?いやいや、カサイさんたちっていくつ上ですか!それに僕はそんなレベルには到底…」
「和太鼓彩は、きっとそろそろプロになる。プロになったら入れてもらえるかわからなくなる。タカヒロは大きな舞台に立つべきだ。まずは見学だけでも行って来い。」

そんなこと言われても、こんな何処の馬の骨かもわからない若造を、彩さんが拾ってくれるわけないよ…
そんなことを思いつつも、人様からそんな背中の押し方をされたことはなく、不安な心を抱きつつぼんやりと当時の彩のホームページやTwitterをいったりきたりしました。

「とりあえず…見学だけ、な。」

そう思い、公式Twitterにメッセージを送ることに。
どうせ返事なんかこないと思っていたので、あらゆる太鼓団体に顔を出しては練習に混ぜてもらうことを繰り返していました。
太鼓を叩きたい、そんな気持ちは揺らいでなかったのです。

幸いなことに、うちの部活は縦のつながりも強く、直接教わってはいないものの関わりがあった3つ上の先輩からは「うちなら入れてあげるよ」というお言葉をいただいたりもしました。
(以前、大江戸ハワイフェスティバルでもご協力いただいた、「和太鼓集団だるま」さんです。)

あれやこれやと決めあぐねていたところ、忘れた頃に一通のメールが。
「渡辺くん 見学のご連絡ありがとう!直近だと〜日と〜日に川崎の八泉というスタジオで練習をやっているので、都合のいい日に来て下さい!」

なんということだろう、返事が来てしまった。

嬉々とした僕は、気付いた時にはスケジュール帳を開き、返信の準備をしていた。
まさに、和太鼓彩にアポイントが取れた瞬間である。


「やばい、メンバー数人しか知らない…。ホームページを見て全員覚えてからじゃなきゃ失礼だよな…」
「曲覚えられない認定されたらどうしよう。YouTubeに載っているやつ全部覚えてから行こう。」
「こういう時って差し入れ必要だよね!?何買えばいいんだよー!!!」

と、勝手に一人てんやわんやな渡辺青年。
大好きなグループの稽古場に行けるだけで意気揚々でした。
一体、どんな所で練習しているのだろう。気になるな…。

そして、迎えた当日。
さんざん悩んだ挙句、練習で汗をかくだろうと思い、バイトもしてないなけなしのお金で、計4Lのドリンクを買ってから稽古場に向かいました。

川崎駅から徒歩数分。
着いた先は太鼓スタジオというよりバンドスタジオ。
様々なロックバンドのチラシがひしと並べられていました。

地下を降り、Tスタジオと書かれた重い扉を開けると、そこにはすでに太鼓と準備しているメンバーがいました。ただやはり、スタジオというだけあって大の大人が8人も太鼓を打ち始めると手狭な様子。
部活時代は広い柔道場を借りて練習していたので、こんなすごいチームもここから発信していたのかと思うとひどく感銘を受けました。


(これは入団後の写真ですが、サウンドスタジオ八泉です。)

「渡辺くん、だよね。今日はよろしくね。」
「はい!よろしくお願いいたします!(この人はわかる、葛西さんだ)」

「はい、みんなちょっといいかいー。今日見学しに来てくれた渡辺くんです。今年桐蔭を卒業して大学に進学するみたいです。えっとー、期でいうと…」
「47期です。」
「47期か…若いな笑。今日は1日見学するとのことなので、よろしくです!」
「よろしくお願いいたします!!」

このとびきり大きな挨拶から、長いようで短い1日が始まったのだ。

当時は「衝動」ツアーを終え、いざ次のツアー(COLORS)に取り掛かろうとしていた時。
正直、その日なにをやっていたか、僕がどうしていたかあまり覚えていない。緊張と高揚で頭が常にクラクラしていた。

その間も優しく声をかけてくれた春日さんや、当時から相変わらずボスのような風格を漂わせていた矢萩さんまで、すっかりその面々は僕の知る「和太鼓グループ彩」だった。
思えばこの頃、お二方も大学院卒業間近だったのであろう。

(今日は…見学だけだしな…。ちゃんと見て帰ろう。)

そう自分に言い聞かせていた。
しかし、心の奥底にある感情は違った。

–––––––––– ここに入りたい。

どこか半分、勝手に諦めていたのかもしれない。
でも僕の感情は正しく、「和太鼓彩に入りたい」だった。

この方達と一緒に演奏したら、僕はどれだけ成長できることか。
考えただけであらゆる想像が膨らんだ。

そう思っていると帰り際、僕は、
「葛西さん、是非入団したいです。」
考えるよりも先に、そう言っていた。

「おぅ、まじか。まあ、飯でも食いながら話そう。」


スタジオから歩いて数分、アーケードの中にあるケンタッキーに入った。
テーブル席は満席。男数人が肩を並べて、カウンター席でご飯を食べていた。

「渡辺くん、実はうちね、来月からプロ化するんだ。」

やはりだ、先輩の言う通りだった。

「それでね、今後どうなるかわからない。もしかしたら演奏もそんなの出させてあげられないかもしれない。たくさん演奏に出たかったら他のチームに言った方が多分渡辺くんは重宝されるよ。それでもいいの?」

確かに、多くの舞台には立ちたい。
現役時代に経験した、苦い思い出。老人ホームでのこと。それから頑張って個人賞を取るまでに至ったこと。全て話した。
想いは変わらなかった。

このチームでやっていきたい。

決して演奏に出られなくても、日の目を浴びなくても、ここにいるときっと成長できる。
漠然とした何かを確かに掴んでいた。

「それでも、僕は彩さんに所属させていただきたいです。」

「……わかった。僕らも頑張ってみるから、一緒にやっていこう。宜しくね。」

「–––––––– はい!!!!」

こうして、僕の人生を大きく揺るがす、和太鼓彩人生の火蓋が切って落とされた。

次回、「渡辺隆寛、ついにデビュー!?」
乞うご期待!

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