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ff-fortissimo- ~鉄と太鼓は熱いうちに打て~ by渡辺隆寛

日時:令和元年12月19日
執筆者:渡辺隆寛
タイトル:ff-fortissimo- ~鉄と太鼓は熱いうちに打て~

昔から、鉄は熱いうちに打てなんて言いますが、太鼓と彩ヒストリーも例に漏れません。

そこで今回は、普段の渡辺隆寛物語ではなく、楽曲にフォーカスを当てた内容でお送りしたいと思います!

そして私がお送りするのはなんと…
「ff-fortissimo-」です!

この曲については、語りたいことがたくさんあるので、その魅力を存分にお伝えしたいと思います!


◆「前途洋洋」は「前途多難」だった!?

それは今年の頭ごろ。
年長者メンバーの葛西、萩原、齋、塩見のソロライブを目前にした頃だったでしょうか。
「このSAI LANDはただのツアーではなく、各メンバーそして、和太鼓彩の楽曲にフォーカスを当てて展開して行こう。」なんて話が上がりました。」

もともとユニット曲を作りたいなんてことは、前々から言っていたし。新しいツアー展開としてこの方向性で行こうとは議題に上がっておりました。

そこで、従前のメンバー率いる「四位一体篇」に続いて担ぎ出されたのが、岡本、渡辺、酒井率いる、後の「前途洋洋篇」です。

「 「四位一体篇」でも楽曲としての「四位一体」を作ったし、次も「前途洋々」を作ろう。」
と、ごく自然な流れで決まりました。

が、ここからが問題でした。

◆岡本、渡辺、酒井が表現する「世界」って?

「四位一体」は、大人のリズム遊び、各々の得意な楽器、そして初のラテン調、と様々な要素が盛り込まれていました。
そんな中、僕ら中堅3人が表現できる世界とはなんなのだろうか。

いろいろ考え、何度もブレストを重ねました。
当初は、岡本・酒井が篠笛でメロディを引いて、渡辺の太鼓でしっとり行こう、とか。
酒井を率いて、お囃子?とか。

いろいろ煮詰まっている中で、葛西さんがこんな一言を放ったのです。

「今回の楽曲とは関係ないんだけどさ、ゴリ打ち系の曲で、変拍子とか休符を織り交ぜて、ただひたすらに打ち込む曲とか作りたいんだよね。」

・・・・・・。

「「「「「「それだ!!!!!」」」」」」

「この3人なら、ゴリ打ちハマるよね!?」
「せっかくなら「三心不乱」とは違った迫力・・・、そう、「辛いけど楽しい!」、みたいな!」
「曲名はシンプルに「ff」なんてどうですか!」

この雑談のような一言が、新たな道筋となりました。
得てして、面白い企画とは閃いたその瞬間から湯水のようにアイデアが湧き出るのものです。
絞り出して、絞り出して、その残った絞りかすから輝く原石を探し出し、磨く。
この作業がたまらなく面白いんですよね。

そこからは、簡単です。
葛西「じゃあ、齋、頼んでも良い?笑」

こうして、齋さんの作曲のもと、「ff(仮題)」の製作が始まりました。


◆壮大な「変拍子」!?

練習初日。
楽譜を渡されて僕は衝撃を受けました。
普通のJ POPなどは4/4拍子で進むことが多い中、この楽曲なんと、冒頭が3/4拍子、サビが37/8拍子、進行中も4拍子、5拍子が織り交ぜられるなどこれまた複雑怪奇。

第一関門は、「暗記」でした。

とはいえ、複雑に見えつつも、どこか理路整然としているこの楽曲、聞けば聴くほど味が出るのです。
ベースの進行を渡辺が務め、両ウイングに岡本・酒井。
ここの噛み合いが実はハマるととても気持ちいいのです。

◆第1部「船出」

岡本さんをきっかけにこの曲は始まります。
ゆっくりと紡ぎ出されるメロディは、僕らを大海原へと運び出す船出がイメージです。

期待の膨らみが、音量にも出ます。
徐々に3人の足取りが大きくなり、「いざ!」という時に一瞬のブレイク。

僕らは「和太鼓界」という荒波に飛び込むのです・・・!!

◆止まることなく、走り続けろ!

この曲なんと、休憩がありません。笑
止まることなく打ち込む姿は、まさに「ff」。

掛け声や、変拍子、休符を交えながら飽きさせることなく突き進みます。

あの曲大変ですよね!?
なんて聞かれますが、そんなことはありません。

だって僕ら、太鼓が好きなんですから。

◆呼吸を合わせた「休符」の数々

和太鼓というのはリズム楽器で、メロディがありません。
なので、曲の聴きやすさや、厚みを増やすためにも、楽器の数、音の強弱、テンポ感、篠笛のメロディなどでその幅を広げることが主流です。

しかし今回、一番の決め手である「強弱」を一切封印。
そのため、キーとなるのが「休符」でした。

各々が別のフレーズを打ち、呼吸と「休符」を合わせることで一つになる。
これがこの曲の大きな魅力だと思っております。

特に終盤の「休符ソロ」
今まで絶えず叩き続けてきたからこそ、息を飲む瞬間。
実はあのパート、一見、拍から外れているように見えて、インテンポ。
和太鼓という指揮者がいない演奏の中で、その全てを各個人のテンポ感に任せ、一打一打をユニゾンする。

初めはまったく会いませんでした。
それが回数を重ねていくうちに、3人のテンポ感が出来上がり、逆に全くずれなくなりました。
これ神秘的ですよね。ここまで来るともう、「この3人の曲」になったのです。

◆全てを太鼓に捧げる

そしてこの曲のコンセプトは、「迫力」×「楽しい」
メインとなるこの3人は、様々な経緯を経て、太鼓の道で生きていくと決めてここに立っています。

岡本・渡辺は一度就職をし、酒井は大学で教員免許を取得してもなお、この道に進んできた。
そんな「太鼓を打つことができて楽しい!!」という気持ちを存分に披露しよう、そう3人で決めました。

体力のその全てを、この曲に捧げて打つ。

そのため、披露し終わった後3人はそそくさと袖に戻り、一斉に倒れます。笑
この夏僕の腕が太くなったのは、間違いなくこの曲のせいおかげです♡笑


こうして、「ff-fortissimo-」は出来上がり、岡本・渡辺・酒井だけの曲となりました。

僕らの、この道を選んだ覚悟や、楽しさなんかを感じていただけると幸いです。
引き続き、和太鼓彩を楽曲共々愛してください。

ありがとうございました。

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