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「叶」制作秘話 by葛西啓之

日時:令和元年12月17日
執筆者:葛西啓之
タイトル:「叶」制作秘話

みなさまこんにちは。葛西です。

さて、前回のヒストリーにて、晴れて?和太鼓彩復帰を果たしたわたくし。
(https://wadaiko-sai.com/archives/history/191114)

時は2010年3月。
この時より、平日は社会人として働き、土日は太鼓の活動をする、という二足のわらじ生活が始まりました。

さて、「数年後に和太鼓彩をプロチームにする」と啖呵を切って復帰したわけでありますが、まずは何からやっていこうか。
私たちが最初に着手したのは「曲作り」でした。

それまで和太鼓彩は、基本的には桐蔭学園和太鼓部の時の曲や、すでにあるプロ集団の楽曲をお借り演奏しており、「和太鼓彩の曲」というのはあまりなかったんですね。

当時あった自作曲といえば「奏」のみ。

しかし、プロとしてやっていく上で「和太鼓彩の曲」はどうしても必要。
「演者」と「曲」が、私たちにとっての商品なのです。

1年後の2011年3月に「自作曲だけでライブをやる!」という大目標を打ち立て、メンバー全員で曲作りに着手しました。

居酒屋に集まり、みんなで話し合いながら、誰がどんな曲を担当するかを決めていきます。
私が担当するのは、「奏の対になるような、これからの和太鼓彩を代表していく曲」となりました。

うーむ、抽象的で難しい。
がしかし、言い出しっぺとして、逃げるわけにはいきません。
ここで逃げてしまっては、「プロ」への道が開かれないのです。

来る日も来る日も他の太鼓チームや話題のパフォーマンスを勉強して、「和太鼓彩を代表する」に足る楽曲構想を考えていきました。

まず、「奏」の対になるということで、笛を使うことができません。
奏がオーケストラ、壮大さをテーマとしたメロディアスな楽曲なので、どちらかというと、王道迫力系、ひたすら汗を流して打ち込んでいくような曲・・・そんな感じだよなあ・・・・

でも、いわゆる王道迫力の曲ってどこの太鼓団体もやっているし、いまいち面白みに欠けるなあ・・・・

そんなことをあれこれ考えながYouTubeを散策していると、とある動画に出会います。

「マーチングドラム」

です。

ノリの良いめちゃくちゃ速いリズムを打ちながら、動く、動く、動く。
さらには、隣の人の太鼓も叩いて、歓声があがりまっくています。

葛西青年、このパフォーマンスを見て、ピピーーン!と閃きます。

単なる「1個打ちの迫力曲」ではなく、こういった技を和太鼓に取り入れたら、面白いんじゃないか?と。

マーチングドラムでは隣の人の太鼓を叩いていますが、距離も近いし、使っているのは主に手首のスナップ。
でも和太鼓は全身を使って演奏する楽器だから、太鼓と太鼓の距離を離して、重心を低くして、身体を大きく使って隣の太鼓を叩き合ったら面白いのではないか。

和太鼓らしい迫力と、スゴ技の融合。
ドドドンと妄想が拡がりました。

そこからは、速かったように思います。
確かとある土曜日の夜、一晩近くのジョナサンにこもって、一気に書き上げた気が。

その時の原譜がこちら。

いやはや、何を書いてるのか全く分からないですね。
今となっては僕にも分かりません。笑
当時は楽譜を書けなかったので、自分にわかるように、全部16分音符で書いてメモを取っていたのです。
これを配られて「覚えてこい!」と言われるのだから、後輩達も大変なものです。。。笑

このページには、メインとなる「3個打ち」が図で描かれていますね。

さて、つらつらと綴ってまいりましたが、何の曲なのかを書いておりませんでした。
もうお分かりかと思いますが、こうしてできあがったのが、今でも和太鼓彩で使われている代表曲「叶(かなえ)」です。

曲のタイトルですが、「奏」の対の曲ということで、“一文字”にしよう、という想いがありまして、さらに、当時の状況をふまえて、「いつの日かプロとして活躍する、という自分たちの夢が“叶”いますように」という想いを込めてこのタイトルをつけました。

当時は野外での演奏が多く、また、音響設備がない現場では「奏」が使えないものですから、「叶」にはどれだけ助けられたことか。

2010年以来、今に至るまで、日本全国・世界各国様々な現場で、和太鼓彩の一番の見せ場パフォーマンスとして使用してまいりました。
これからもたくさんの現場でこの曲を演奏できることを、祈っています。

彩Collection2018での「叶」

さて、そんなわけで、今日はこの辺で。
次回は「自作曲のみで臨む、第三回単独公演」をお送りしたいと思います。

お楽しみに〜
ではでは!

<おまけ>
「叶」初披露時の動画を特別公開!
2010年の東京大学駒場祭の様子です。

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