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「侍ジョニー」新しい和太鼓作曲のアプローチ by塩見岳大

日時:令和3年10月3日
執筆者:塩見岳大
タイトル:「侍ジョニー」新しい和太鼓作曲のアプローチ

12月23日を「クリスマスイブイブ」と呼ぶ事は単語の意味を考えていくと正しくない事はわかります。
しかし、僕はナンセンスでもノリと勢いで意味合いが伝わる「クリスマスイブイブ」という言葉は嫌いじゃないです。

という事で、2020年の「クリスマスイブイブ」に、
「和太鼓彩ファンイベント”彩ホーム vol.10” 「大新曲まつり!!!!!!」を行いました!

新曲が六つという事でタイトルの締めに「!」を六つ入れたら流石にくどいかな〜と思っていたのですが、
字面で見ると存外にまとまりがあるような気がして、気に入ってます。

この公演の内容はまさにタイトル通り、
六人のメンバーが持ち寄った新曲を発表するといった公演でした。
作曲者が異なれば、楽曲の雰囲気も大きく変わり、
それぞれのメンバーの個性や価値観の違いが如実に出た、
手前味噌ですがとても面白い公演だったわけです。

さて、今日はそんな企画の中、
塩見はどんな楽曲を作ったのか…
お話ししたいと思います。

「演奏で伝えたい情景が見えない」
「表現したいものがわからない」
「物語が伝わってこない」

などの言葉は和太鼓奏者であれば誰しもが言われた事があると、
僕は勝手に思っています。

例えば歌には歌詞があり、音階があり、一緒に使う楽器の制限もありません。

一方、和太鼓の楽曲には、歌詞もなく、音階もなく(もしくは少なく)、
和太鼓に楽器を絞っています。

上記二つの条件を並べた時、
伝える事ができる情報の量も多様さも、
間違いなく歌の方に分があると思います。

僕は和太鼓にしか出来ない表現の深さや、
重さもあると思うのですが、
それは一旦置いておいて…

情報の少なさに起因して、
和太鼓の表現は他の音楽と比べると伝わりづらい、
という一面は確かにあると僕は思うのです。

僕はその課題を解決するために、
この「大新曲まつり!!!!!!」の作曲では、
今までとは異なるアプローチを仕掛けてみました。

それは譜面を怒る前に、
この楽曲で表現したい事を、
めちゃくちゃ煮詰めてみるという事です。

いや、作曲の最初の段階で、
表現の方向性を煮詰めるのは当たり前、
と思うでしょう。

なので、僕は当たり前ではないレベルまで、
不必要と思われる程に煮詰めてみました。

具体的に言うと、
物語を…小説を書きました。

テーマから逆算して、
それに見合う登場人物を作り出し、
その登場人物の過去や背景を想像し、
それを展開させて世界を創造しました。

僕はよくボーッとしていて、
人から話を聞いていないと言われるのですが、
実にその通りで、
昔から気がつくと妄想に耽る癖がありまして、
悶々と脳内で世界を創り上げていく行為が大好きなのです。

そして、物語を作った後に譜面を作ると、
その過程で更に物語が煮詰まっていき、
それにあわせて物語を書き足すと、
譜面も書き加えたくなっていくのです。

作曲中は何度もテキストと楽譜を往復しました。

しかしそれを繰り返していく過程で、
登場人物に命が吹き込まれていき、
僕の中でキャラクター像がより明確になっていき、
どんどんと世界が広がっていくように感じるのです。

この感覚が気持ち良くて、
どんどんとアドレナリンが出ていくので、
今回の作曲は個人的に大変面白かったです。

そして出来上がった楽曲
「侍ジョニー」

※画像はイメージで、楽曲では全くギター使いませんし、そもそも弾けません。

この楽曲は僕だけでなく、
他のメンバーと一緒に演奏します。
なので、メンバーにこの楽曲を共有する時は、
譜面を配る前に小説を読み聞かせました。

自らが読み上げて、
この世界を、
登場人物を、
表現したい物語を、
メンバーに伝えた後に楽譜を配りました。

そして練習を重ね、
12月23日の「クリスマスイブイブ」に、
皆様の前で披露させていただいたのでございます。

僕自身が今回の作曲を通して学んだのは、
やはり創作活動を常に新鮮な環境を作り上げ続ける努力が必要だという事です。

環境に不自由を強いられた時、
それをただ窮屈と感じるのではなく、
今までと異なる新鮮な環境であると解釈すれば、
自分の考え方ひとつで環境は良くも悪くもなります。

そして、
何かをする上で行き詰まりを感じた時は、
今までとってこなかった新しいアプローチを試してみる、
というのは停滞を打破する上で、
有効な手段になると感じました。

そんな新しいアプローチで作曲した「侍ジョニー」、
youtubeに上がっていますので是非見てみてくさい!

そして、塩見の更なる新曲を楽しみにしていてください!
バイバイ!

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