響け!「Fanfare」〜和太鼓奏者が踊る意味〜 by渡辺隆寛

日時:令和4年11月13日
執筆者:渡辺隆寛
タイトル:響け!「Fanfare」〜和太鼓奏者が踊る意味〜
「あっ」と言わせなきゃ意味がない。
和太鼓ができるやつも、EDMが作れるやつも、
ドラムができるやつも、ダンスができるやつもごまんといる。
だが、“その全てを高いレベルでできるものはいない”
このコロナ禍、演奏も全てなくなりもちろん辛い時期もあったが、
それだけではなかった。
自分を見つめ直す時間ができたことで、新たな挑戦を繰り広げることができた。
ドラムもEDMもダンスも、まだ学びを始めて一年足らずなのである。
そんな僕の集大成をお越しくださる皆様に見せつけるべく、今回この曲を作った。
『Fanfare』
それは、全ての人に明るい祝福をささげる音楽。
そして、全ての人に鼓舞を与える音楽なのだ。
今回僕は、この曲で始めて「ダンス」ソロを取り入れた。
元々、舞台の表現を身につける手段の一環として、「ダンス」と言うものに憧れが強く、
つんく♂さん作曲「四季多彩」でコレオグラファーの方に出会ってから世界が一変した。
コロナ禍に入ってダンスを初め、僕の世界観を押し上げる一つとして
「鳥籠」をはじめとする多くの作品でその魅力を発揮した。
しかし今回は今までとは話が違う。
「ソロ」シーンを取り入れようというのだ。
実際、最後の最後までダンスソロを入れるのには抵抗があった。
なぜなら、和太鼓奏者という「音楽」の側面に全く接点がないと思っていたからだ。
「和太鼓奏者が踊る」
面白半分でやってる分には構わないが、そこに中身がなければ僕は行動ができない。
意味のあるものしか届けられないのだ。
悩んで悩んで、たどり着いた答えが、
「嗚呼、僕が踊らなきゃお客さまも踊らないじゃん。」
という答えだ。
実際これが答えになっているかは定かではないが、
僕の中ではこれだけで特段納得がいった。
◆◆◆
そして行き着いた今回のソロライブのテーマが「音楽と踊る」。
ほぼ全ての楽曲をEDMにし、
一曲目にはoverture、2曲目には篠笛のゴリゴリアイドルソング。
Join Us!!でダンスをし、マーチ、ビッグバンドジャズ、真・鳥籠と、
手を替え品を替え、今にも踊り出してしまいそうな雰囲気を太鼓で演出した。
和太鼓という椅子に座って鑑賞するスタイルのライブを僕はどうにか払拭したかった。
僕はライブというものに足を運んで、じっとみていた試しがない。
その場に行って、生を体感するからこそ楽しいと思っていた。
ライブの楽しさを、僕が憧れていたあの空間をもう一度再現したくて、
僕は踊ることを決めた。
◆◆◆
今回の「Fanfare」の振り付けはプロダンサーであるYASUさんに振付指導をしていただいた。
これもまた数奇なもので、コロナ禍になって出会った方で、
僕と同い年のダンサーさんなのである。
僕の思いを伝えると、快く承諾してくださり、共作する運びとなった。
正直めちゃくちゃ難しい振りなのである!笑
跳び鯱という、腕だけで体を支える振り付けも入っており、
ソロライブのそれも最後でこれを披露するには大変勇気がいるセットリストだった。
もちろんダンスに合わせる音源を作るのも初めてだし、
ダンスを取り入れた楽曲を作るのも、
YASU先生が和太鼓奏者に振付を作るのも初めてだった中で、
プロとプロのぶつかり合いで非常にいいものができたと思っている。
だ僕のこの挑戦を見て、
一人でも多くの人が身体を動かして見てくれたり、
明日を踏み出す後押しになれたらいいなと思った。
ドラムも、ダンスも、EDMも和太鼓も、絶対に妥協しない。
僕の世界を後押しする一助になる。
なべっちという人間は、ちょっと回せば少しずつだけど前に進んでいく
ドリルのような存在なのだ。
明日を切り開いて前に進む、そんな一曲がこの世界に響き渡ることを願って。
「Fanfare」
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