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和太鼓彩復帰への道 by葛西啓之

日時:令和元年11月14日
執筆者:葛西啓之
タイトル:和太鼓彩復帰への道

みなさまこんにちは。葛西です。

さて、前回より、サラリーマン篇に突入した私・葛西のヒストリー。
とはいえサラリーマン時代の仕事ぶりを書いても面白みに欠けてしまうかと思いますので、太鼓の話題に戻っていきたいと思います。

そう、本日のテーマはずばり、「葛西啓之 和太鼓彩復帰への道」です。


時は2010年。

引退公演を終え、大学卒業とともに和太鼓彩を卒業。
立派な社会人になるんだ!と意気込んで始まったサラリーマン生活。
入社して1年経ち、多忙ながらもおかげさまで仕事もできるようになってきて、それはそれは、充実した社会人生活を送っておりました。

・・・すみません、嘘つきました。先輩めっちゃ怖いし毎日怒られるし残業で家帰れないし、めちゃくちゃ辛かったです。笑笑

さて、そんな折に後輩から届いた一通のメール。

「来月、和太鼓彩の第2回単独公演をやるんですけど、先輩、裏方の手伝いをお願いできませんか?」

卒業時の決意通り、和太鼓からは完全に離れていたわたくし。
1年間、太鼓には全く触れていませんした。

しかし、一緒に青春時代を捧げた後輩達の輝かしい晴れ舞台。
それも、自分が作ったチームを必死で守り、第2回単独公演まで実現させている。
こんな嬉しいことがありますでしょうか。

どれだけ仕事が忙しかろうと、ここで断っては男が廃れます。
漢・葛西、悩む間もなく「おめでとう!もちろん手伝うよ!」と返信をしたのでありました。

そうして迎えた当日。
和太鼓彩結成メンバーの林くん・此田くんとともに、照明スタッフとして会場に向かったのでありました。

<第2回単独公演当日の様子>

みんな若いですね〜。

ここでちょっと、閑話休題。
今でこそ照明はプロの方にお願いし、それこそ我々では到底なし得ないような素敵な明かりを作っていただいているのですが、当時はそんなお金もなく、照明も自前でやっていたのであります。

第1回単独公演では葛西姉が、そして第2回では葛西が照明を担当。
和太鼓彩に脈々と引き継がれる葛西のDNAであります。笑

そんなわけで、舞台袖から照明を操作しながら、後輩達の晴れ姿を見ていたのですが、そこで私は雷に打たれます。

次の日のことなんて一瞬も考えない、執行の渾身の打ち込み。
1年の間に見違えるほど成長した、萩原の篠笛。
私が引退してから加入したにも関わらず、舞台上で存在感を放つ春日の躍動。
いつの間にか団体の中心プレイヤーとして活躍する齋の輝き。
先輩となり、一層冷静に舞台全体を見渡す佐藤の頼もしさ。
最年長者として和太鼓彩を土台から支える、矢萩の貫禄。

・・・あれ、俺この1年間、こんなに必死に生きていたっけ?
こんなにがむしゃらに、何かに打ち込んでいたっけ?

それは、慣れない社会人生活の中で疲弊しきった私の心を揺さぶるには、十分たる演奏でした。
それほど、舞台袖からみる彼らの表情・生き様は輝いて見えたのです。

「これまで見た中で、心を打たれたパフォーマンスは何ですか?」と問われれば、私は間違いなく、この演奏をあげるでしょう。

そして何より衝撃的だったのが、彼らが「一寸の迷いもなく、太鼓の無限の可能性・魅力を心から信じきって、澄んだ瞳で打ち込んでいたこと」。

太鼓は、俺らの演奏は、こんなにもすごいんだ!
世界を幸せにするんだ!

なんの迷いもなく、太鼓を、和太鼓彩の可能性を信じきって打っている姿は、圧巻でした。

社会人になると色んなことがあるもので、自分の力だけではどうにもならないこと、納得していなくても進めなければいけないこと、複雑な事情が山のようにありますよね。
まあ大半は、自分のせいだったりするのですが。

これからの人生は仕事に熱中し、それを自分の使命として生きていこう、と誓ったはずの私は、舞台袖で自分に問いかけます。

果たしてこれから先、ここまで今の仕事を愛せるだろうか。
ここまで必死に向き合えるだろうか。

・・・やっぱり、自分が心の底から信じられるものって、太鼓だよなあ。

やっぱり自分は、太鼓の無限の可能性を、無限の魅力を、世界を変える力を、心の底から信じきっているなあ・・・

なんて、あれやこれや、1年間蓋をし続けてきた自分の感情を久々に取り出し、ごちゃごちゃにかき混ぜながら、後輩達の演奏を袖から眺めていました。
(もちろん照明はしっかりとやりました。笑)


さて、そんな私の迷いとは裏腹に、事故もなく無事に終了した第2回単独公演。
打ち上げにもお呼ばれして、顔を出します。

その打ち上げの席にて、ライブを終えたばかりの後輩たちに、私は半ば“衝動的”にとある言葉を発します。

「俺、和太鼓彩に戻るわ」

と。

そして、続けます。

「数年後に、和太鼓彩を正式にプロの団体にしたいと思う。そこに向けて明日から活動していくんで、みんなよろしくね。」

・・・こうして改めて振り返ってみると、この時の後輩たちの困惑はいかほどだったのでしょう。笑

ライブを終えて、パーッと一杯やっている打ち上げの席で、すでに引退したはずの前代表が、「プロになろうぜ」なんて言っている・・・
4年生となり、このライブを引退公演として掲げていた者もいれば、
次年度に最上級学年として、自分が引っ張っていくつもりだった者もいます。
あくまで和太鼓彩は、大学のいちサークルなのです。

それなのに、引退した先輩が、しかもリーダーとして戻ってきて、さらにはプロを目指すなんて言われても・・・
ライブを終えた充足感と、謎の困惑が入り混じる、なんともいえない空気の打ち上げとなりました。笑

・・・なにはともあれ、こうして決まった私の和太鼓彩復帰。
この時点で、「いずれ今の会社を辞めて、プロとして飛び出そう」という決意は固まっていました。

ここから様々な悩みと葛藤が始まり、実際にプロとして飛び出すのはまだまだ先のお話。

ということで、本日はここまで。
今回もありがとうございました!

ではでは。

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