1. HOME
  2. 「SAI LAND」デザイン by塩見岳大

「SAI LAND」デザイン by塩見岳大

日時:令和2年12月26日
執筆者:塩見岳大
タイトル:「SAI LAND」デザイン

2018年9月15日、
六本木 泉ガーデンギャラリーにて「SAI LAND」公演を行いました。
今日はそのチラシのデザインを通してこの公演を振り返っていきたいと思います。

時間軸として、
この公演は「新世界」ツアーの後の作品になります。
更にその前のツアーが「ゼンダイミドン」「Q」。
とにかく新しいチャレンジに挑もう、
という気構えがタイトルからも滲んで見えるかと思います。

こうした挑戦の果て…総決算として作り上げた、
和太鼓彩の夢と希望の舞台…それが「SAI LAND」です。

ステージギミックもとても印象的でした。
舞台を客席でぐるりと囲む360°ライブ!
「Join Us!!」の演奏中には更に舞台が回転します。
しかもメンバーが手で押して回す、というまさかの人力エンジン!
今思い返しても非常に印象的な公演でした。

「SAI LAND」…それはまるでテーマパークのように和太鼓彩の「楽しい」が詰め込められた公演。
このお題をもらい、チラシを作り始めた僕ですが、実は初っ端から悩みました。

「楽しい」「テーマパーク」という言葉から安直に連想するならば、
カラフル、もしくは黄色をメインにして暖色系をふんだんに使ったファンシー路線で行こうか…
きっとそれはそれで面白いデザインが出来たでしょう。

しかし和太鼓彩がこの公演で描きたいのはそういったファンシーな楽しさなのか…
和太鼓彩が描くべきなのはもっと広大で、壮大で、際限無く無限に広がっていく可能性ではないのか。
就職を選ばずに和太鼓を持って社会に飛び出した僕達が描くのは、
自由で、天井を突き抜けるような楽しさではないのか。
そんな問答を自分の中で繰り返した後に出した答えが青空でした。

壮大で、広大で、際限なく広がり、限りなく自由で、爽やかで、
気持ちの良い青空…それが僕の出した答えだったのです。

和太鼓という性質上、重い印象があるので、今まで白や黒を基調にしたデザインが多く、
それに僕達自身の熱さや衣装のイメージを加えて暖色系を使うことが多かったのですが、
だからこそ、更に新しい和太鼓彩を感じてもらうためにも、
今回は寒色の空色ベースで進めていくことを決定しました。

もちろん「楽しさ」「テーマパーク感」も忘れてはいけません。
爽やかなだけの寂しい空になってはいけないと思い、
透過処理で存在感を調整したカラフルな紙吹雪を舞い散らします。

うん、ちょっと楽しい感じになってきましたね!
次にロゴです。

「SAI LAND」…今回は英語タイトルです!
英語タイトルは正直デザイナーとしてはテンション上がります。
何故なら複雑な漢字を大量に搭載しなければならない日本語フォントと比べて、
アルフベットのフォントは26種類用意すれば良いだけなので、
圧倒的に種類が多く、選択肢が広がります。

ですが!今回は「楽しさ」「テーマパーク感」を出すためにシンプルにインパクトのある太文字を選びました。
それを銀縁で囲い、カラフルに配色し、陰影をつけて輝きを演出する。

うん、楽しそう!
今回は360°ライブということで、随所に「円」の要素も付与しております。
このタイトルのカーブもそんなイメージから出来たカーブです。

加えてテーマパーク感といえば…シンボルキャラクター!
おあつらえむきのキャラクター…彩之助君がいるじゃないか!
しかし!…公演の主役はあくまでも演者です。
なのであまり最前面に押し出しても公演イメージと離れてしまうと思い、
シルエットにしてタイトルの上に掲げることにしました。

OK!テーマパークっぽい!
シルエットにすることによって逆にワクワク感が増えたようにも思います。
ワクワク感の演出はやはり想像の余地を少し残さないといけませんからね!

続いて公演の主役たる演者の写真を配置していきます。
テーマパーク感を生み出すためになるべく色々な演目から色々なシーンのメンバーを抜き出したかったので、「幅の広さを演出できる写真」という選考基準でこれらの写真を選定していきました。
演者を配置したのがこちら!どん!!

はい!和太鼓彩のバラエティ豊富さが伝わってくるでしょう?
そのバラエティの豊富さが和太鼓彩の武器でもあり、
テーマパーク感的なワクワク感を演出できるかな…と思っております!

あと、忘れちゃいけないのがこの名キャッチフレーズ

【汗と情熱!「生きる」が爆発する和太鼓の世界へようこそ!
楽しいが響きわたる!】
まぁ、上段の文章を考えたのは葛西代表なんですが!
よ!代表!さすが東大文学部!

因みにこのキャッチフレーズは、その後も和太鼓彩の根幹の理念として、
長く使い続けることになりますので、
皆様も是非暗唱できるようにしておいてくださいね!
メンバーならきっと誰でも暗唱できますので!(疑)

開いた右上のスペースには今回の公演の大事な見どころもアピール!
和太鼓彩の舞台を客席が囲む様子を文字の配置にも反映したのは大事なこだわりポイントですよ!

こだわりといえばこちらも!
いつも公演の詳細情報は上部のデザインとは異なった背景を後ろに敷いて文字を載せるのですが、今回はどうしてもこの空の広がりを最大限表現したかったので、あえて文字の後ろに別の背景を挟まず、空の広がりを感じていただけるように制作しました。

他の和太鼓彩の公演のチラシと比べていただければ、
公演詳細のフォーマットがいつもと少し異なるのを感じていただけるかと思います!

こういった細かいこだわりを詰め込み、
試行錯誤の果てに完成したチラシがこちらです!

色鮮やかな紙吹雪が舞う青空の中、
個性豊かな演者が出迎える、
楽しさが響きわたる和太鼓のテーマパーク…
これが「SAI LAND」のデザインです!

僕はデザインを振り返ると当時の喜びと苦悩、
「SAI LAND」に挑戦する希望と不安、
そしてどうすれば自分達が描く最高の舞台の縮図を一枚の紙の上に写すことができるか…という思考の過程が蘇ってきます。

「SAI LAND」公演にお越しいただいた皆様にもこのデザインを見て、
当時の皆様の状況、環境、その中で「SAI LAND」公演までお越しいただき、
感じていただいたものを少しでも思い出していただければと思っております。

これからも皆様に、
時には過去を振り返り、思い出していただくためのスイッチとして、
心に残るデザインを作るよう邁進していきますので引き続き応援よろしくお願いいたします!!

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事