(後篇)企画する準備はできていた〜U22和太鼓彩代表の主張、製作秘話〜 by渡辺隆寛
日時:令和3年2月5日
執筆者:渡辺隆寛
タイトル:(後篇)企画する準備はできていた〜U22和太鼓彩代表の主張、製作秘話〜
前回、大学に入って「企画」する楽しさを見出した僕は、
「毎月ライブ」開催の話を聞いて、すぐさま葛西さんにこう申し出た。
「葛西さん、
僕に和太鼓彩のライブの企画をやらせてください。」
さて今回はついに、「U22和太鼓彩代表の主張」の中身について語ります。
はじまりはじまり〜
前回もお話しした通り、2016年、和太鼓彩は「毎月ライブ」というものを打ち出した。
楽器にフォーカスを当てたもの、
人にフォーカスを当てたもの、
はたまた、太鼓を使わずにライブをしたものなど、様々なものを企画。
その中の一つとして、
「若手メンバーを中心にライブをする」
という内容のライブを打ち立てたのだ。
それが、「U22和太鼓彩代表の主張」
セトリから衣装案、配置、M Cも含め、一から僕達だけで考えた。
その過程を説明していく。
◆「U22」、それは「挑戦」
まずライブを作るにあたって決めなければいけないのが、「ライブコンセプト」だ。
料理でいうところの、和食や中華などのカテゴリーである。
「コンセプト」「伝えたいこと」を先に決め、中身を大きく外さないようにすることで、全体としてまとまりが生まれる。
もし仮に、フレンチコースをいただいている最中、
いきなり「冷奴」が出てきたら少々びっくりするであろう。
(いや、美味しければいいという意見ももちろんあるのであろうが。笑)
今回は「若手ライブ」というコンセプトがそもそも企画の発信となっているので、道筋は立てやすかった。
メンバーは、渡辺、小川、一彩、酒井、龍史。
この5人で何ができるか、何を届けたいか。
悩んだ結果、ある一つのキーワードにたどり着いた。
「挑戦」である。
当時、若手を引っ張ってきた僕と小川が、中堅への門戸を叩く「挑戦」
和太鼓彩に身一つで殴り込んできた一彩の、和楽器界への「挑戦」
2016年にデビューした酒井と龍史の、新境地での「挑戦」
そして、僕ら若手メンバーの、和太鼓彩への「挑戦」だ。
全国ツアーを終え、その舞台を乗り越えた自信や覚悟を胸に、
僕らが舞台上でお客様に届けることのできる音とはなんだろうか。
そんな「問い」を抱え、このライブへ臨んだ。
◆いい料理は、いい食材から
次に取り掛かったのは「セットリスト」、フレンチコースの中身である。
セトリでライブの8割は決まると言っても過言ではない。
慎重に考え、下記のようになった。
<セットリスト>
漢祭り(前座)
いくぜ!青春応援歌
Join Us!!
(BEAT)³
タンバリンリン
奏
U22和太鼓彩代表の裁判(企画)
分・奇・転(新曲)
Enc.U22タイム(ポップコーンタイム)
今回は、一曲ずつ振り返ってみようと思う。
【いくぜ!青春応援歌】
まずは前菜、「オードブル」。
わかりやすさをテーマに「いくぜ!青春応援歌」を選んだ。
この曲は、この年(2016年)に作られた曲で、「頑張るみなさまを応援する!」
そんなメッセージが込められている。
学ラン風の衣装を身に纏い、「おー!」と活気よく声を出す姿は、まるで応援団。
その溢れ出る青春感は、若手の僕らにしかできない!
そんな考えのもと、この曲を抜擢。
1曲目にどっしりとした曲を置くことで、
2曲目以降の、勢いある楽曲が生きてくる。
【Join Us!!〜(BEAT)³】
2、3曲目は一つの食べ応えを持ってきたく、続け様に演奏。
まさに「オードブル」は品数と、手数の多さで勝負。
先ほどの「いくぜ!青春応援歌」とは打って変わって、洋のビートを取り入れた小気味良いリズムで、
勢いある若手ならではの演奏を表現したかった。
普段ベースパートは葛西さんが務めることが多い中、
このJoin Us!!では、小川と龍史が担当。
しっかりと、曲の要を築いてくれた。
【タンバリンリン】
4曲目は「スープ」・・・否、もはや「バゲット」だ。笑
きっと驚いた方も多いだろう。
『若手だって、「お笑い曲」できちゃうんだからね!笑』と言わんばかりに、
あの「しおさい」の伝家の宝刀「タンバリンリン」をオマージュ!!!!
(なお、セトリを組んだのは僕でありながら、演奏は後輩に任せるという無茶振りっぷりを発揮。笑)
龍史は最後までこの衣装を着たくないと駄々をこねていたが(笑)、さすがの酒井はもはやこれを着て生まれたのではないかという自然さのもと、全力でやり切ってくれた。
そして、
「タンバリンリン」
ひいては我々U22に欠かせない存在がもう一人いる・・・
そう・・・
和太鼓彩きっての「笑いの風雲児(?)」
松谷鷹太郎だーーーー!!!!笑
U A Eに留学中の彼にひとり、チャッパッパを撮影してもらい、
あたかも、世界を股にかけて3人で演奏している様子を披露!
これぞ世界初!!
「国境を超えたタンバリンリン」!!!!笑
このライブ、最大の見どころと言っても過言ではない(笑)
会場中の笑いをかっさらった。
僕らの演奏には、やはり彼が欠かせないのだ。
いやはや、とても頼もしい存在である。
【奏】
そして第一メイン「ポワソン(魚料理)」にはこの曲。
僕は、このライブで必ず果たしたい、ある「挑戦」があった。
それは、
『脈々と受け継がれるその「衝動」を、「奏」を僕らもここで爆発させたい。』
この曲を初めて披露した「衝動」ツアーは、「和太鼓を叩きたいという衝動」がテーマ。
年齢もちょうど、この時の僕らに近い頃の年長者が舞台に立っていた。
どれだけの月日が経とうと、脈々と受け継がれる和太鼓彩の血を絶やすことなく、
「太鼓を叩きたい」というその思いを、ここで、この曲に込めたい。
その想いを年長者たちに伝えてみたところ、快く承諾してくれた。
舞台のイメージは鮮明に描けていた。
僕がシンバルで引っ張り、
小川にはその対面を張ってもらう。
篠笛の得意な酒井にこの難解な曲を任し、
あえて一彩を大太鼓に回し、
当時最若手であった龍史をセンターに置いた。
ルーキーであった龍史に、ソロパートを任すことはこのユニットのリーダーとしても覚悟が必要だったが、
高校時代から彼を知る僕としては、あえてチャレンジなパートを任せることで、彼は燃える事を知っていたのだ。
最若手をセンターに、先輩どもで囲む。
これも葛西式の若手の追い込み方である。笑
この時の皆の気迫あふれる演奏は今でもよく覚えている。
まだ荒削りだったかもしれない。
それでも、剥き出しの心で舞台に立ち、お客様に感動を届けたい!
その一心で打ち鳴らした。
まさに、「衝動」である。
【U22和太鼓彩代表の裁判(企画)】
さて、オルフェウス恒例の企画タイム、いわば口直しの「ソルベ」である。
当時僕が法学部に通っていたこともあり、この内容に。
テーマは「下克上」。
メンバーそれぞれ、弁護人、裁判官、被告人に扮し、日頃の鬱憤をここで晴らす!!
と言わんばかりに、このコーナーを盛り上げた。
でも、この団体に不満なんて一切ないよ☺️✨✨✨✨✨✨✨✨
とても素敵なチームだね☺️✨✨✨✨✨✨✨笑
なお本編では、
「僕が全力でオタ芸を披露する」、
「小川のかわいい寝顔を公開する」
など、今となってはとてもじゃないけど恥ずかしい内容なので、ここでは割愛する。笑
あの時のお客様だけ、胸に秘めておいてください。笑
【分・奇・転(新曲)】
そして今回のメインディッシュ「アントレ(肉料理)」
僕ら5人の挑戦として、「新曲の披露」があった。
その名も「分・奇・転」
それは、僕らのことを指し示すような曲だった。
僕らはそれぞれ、人生のターニングポイント、すなわち「分岐点」に立っている。
この先の進路を決断する者、新たな決意をした者、まだ道に迷う者。
互いが、迷い、すれ違いながらも、一つの道に結ばれていく。
そんな様子が音楽的に描かれている。
さて、ここまでと趣向を変えて、細かな楽曲説明に取り掛かりたい。
この曲のテーマは、
同じ曲でありながらそれぞれのパートが、
3拍子(奇)
4拍子(分)と進行が異なる。
曲が少しずつ、それぞれのテーマのかみ合いがずれていきながら、
最小公倍数でまた戻ってくる。
そしてさらに、各パートが、一拍ずつ進行がずれていく「輪唱」パートも存在する。
道往く者、後追う者、それぞれの歩みがここに表されているのだ。
ちなみに一つ言わせていただきたい。
めーーーーーーっちゃむずい。笑
ただ非常に見応えがあり、視覚でも楽しめる面白さがあった。
5人全員セットという目新しさもこの曲の魅力の一つであろう。
またどこかで披露したい。
【U22タイム(ポップコーンタイム)】
そして「デザート」である。
正直にいうと、アンコールが一番迷った。
「このライブを締めくくるアンコールってなんだろう」
色々迷ったが、結局そういう時は大抵考えすぎで、
結局答えはシンプルかつ、やるべきことは一つしかない。
「お客様を楽しませる!!!!」
僕らが楽しくて、お客様が楽しかったら、
その場は誰が何を言おうと、世界で一番楽しい場所なんだ!!
会場が一体となって熱く盛り上がれる曲といえば、この曲しかない!!
そんな思いのもと「ポップコーンタイム」を、この日限りの「U22タイム」と名付け、
最後の最後まで踊り明かす、一夜限りのParty Nightを繰り広げた。
◆しけた顔しちゃもったいない
ライブは無事終了。
僕自身、当時進路のこともあり、色々悩んでいた時期ではあったが、
なんとか、このライブを形にすることができ、安堵した。
僕らには、僕らにしか出せない魅力がある。
年長者メンバーと同じことをしていても、それは劣化版になるだけ。
迷い、苦しみながらも、見つけ出した一つの答え。
紛れもなくそれは、僕らの大切な答えであり、「青春の結晶」だ。
もちろん、不安で、不安で、仕方がなかった。
アンコールが終わってもなお、
「本当に楽しんでくれたのか?」という不安が拭えなかった。
でも、お客様の笑顔と、S N S での「楽しかった」という声を見たときに、
僕は思わず涙が溢れ出した。
「あぁ、成功したんだ・・・」
「ライブがしたい」以上に、
「お客様を笑顔にしたい」
僕にはその答えが明確にあった。
ただのエゴでなく、
僕らの音で、
僕らの声で、伝えたい想い、
若くても、
荒削りでも、全力な僕らの想いが確かにそこに。
学生でありながら、和太鼓彩の一員としてこのライブを成し遂げたことで、
僕はまた一つ大きな糧を得ることができた。
改めて皆様、素敵な笑顔を、どうもありがとう。
そして2021年、時代は繋がった。
約4年の月日を経て、「U22」が復活する。
和太鼓グループ彩 -sai- WiNGS単独公演「Ambition」
これは、昨年発足した和太鼓彩の学生主体チーム「WiNGS」の初単独公演である。
時代は違えど、
WiNGSの彼らもきっと、当時の僕らと同じく、一様に思いを馳せている。
この公演でぜひ、
彼らの伝えたいメッセージがなんなのか、
彼らの覚悟がどこにあるのか、
色々考えながらご覧いただけると幸いです。
彼らの勇姿を是非見届けてください。
よろしくお願いいたします。
▶︎チケットはこちらから
https://webshop.wadaiko-sai.com/items/36183872
本日はこの辺で。
よろしければ、当時の「U22」の感想などをTwitterなどでお寄せください。
しっかり読ませていただきます☺️
それでは!
p.s.
そして、案の定打ち上げで号泣する私。笑
ありがとう。
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