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和太鼓彩のダークファンタジー「からくり」 by塩見岳大

日時:令和3年3月13日
執筆者:塩見岳大
タイトル:和太鼓彩のダークファンタジー「からくり」

ダークファンタジーって…良いですよね。

昔からあるジャンルではありますが、
最近ダークファンタジーブームが来ているような気がします。

「鬼滅の刃」とか「呪術廻戦」とか「チェンソーマン」とか!
あぁ、少年ジャンプコミックばかり例に上がるのは許してください。
塩見の視界の最前線にあるのはやはりジャンプコミックなので!

どの作品も、もちろん漫画自体に魅力があって、
面白いのは間違いないのですが、
ダークファンタジーというジャンル自体に、
追い風が吹いているのも事実だと思います。

もちろん、塩見もこの漫画もジャンル大好きです!

僕が舞台に立った時は、
お客様に笑っていただき、
拍手をしていただき、
明るい気持ちで帰っていただきたいのですが…

僕自身がエンターテイメントを見る時は、
ダークで緊張感のある世界に没入するのが好きなのです!

和太鼓彩という団体は、
「楽しいが響きわたる!」というフレーズを掲げるだけあって、
明るい演目が多いのですが、
実は…ダークファンタジーというジャンルに分類し得る演目もあるのです!

その名も…「からくり」!

2015年に行った「衝動Ⅱ」ツアーの演目でございます。

この演目は和太鼓彩の中でも、
かなり異彩を放っていると思います。
そして、おそらくですが…
メンバーの中で、
僕が一番この演目を愛しているような気がします 笑

この演目には物語があります。

葛西が演じる人形使いが、
四人の演者が演じる人形達を操るのですが、
次第に人形達をコントロール出来なくなっていき、
人形達は暴走していきます。

暴走の果てに壊れ、
動かなくなってしまった人形達を尻目に、
人形使いは薄笑いを浮かべ、
去っていく。

端的にまとめると、こんなあらすじです。

どうでしょう?
ダークファンタジーと言って差し支えない物語だと思います。

この演目で僕は人形を演じたのですが、
正直めちゃくちゃ楽しかったです。

人形らしい動きを表現するために、
関節を固定したり、
等速運動を心掛けたり、
硬い動きで和太鼓を叩く術を研究しました。

人形なので、表情は変わりません。
葛西からは瞬きをするなと言われたので、
しませんでした…いや、極力しないようにしました。

目蓋を見開き、
奇妙な動きで太鼓を叩く姿は、
この演目以外では見れないでしょう。

この演目で、人形は太鼓を叩くだけではなく、
後半から舞台上に配置された太鼓から別の太鼓へと、
移動して打つシーンが増えていきます。

命の宿らない人形が、
やがて舞台上を飛んだり跳ねたりしながら、
縦横無尽に駆けまわります。

その動きは活き活きとしている…
という言葉は相応しくありませんが、
まるで命を得て、
その命が燃え上がっているかのように暴れまわります。

この時の人形の動きは決して規則的な動きではなく、
人形の移動ルートも一見ランダムに見えるのですが、
実は全て緻密に定められていて、
一瞬でも誰かが遅れれば人形通しが衝突してしまう危険を孕んでいるのです。

なので練習時はこのシミュレーションを入念に繰り返して、
その移動ルートを身体の中に落とし込みました。
和太鼓演奏なので当たり前ですが、
その上でリズムを打ちながら、
人形らしい動きのパフォーマンスも同時に行うという練習を繰り返したので、
もしかしたら「衝動Ⅱ」の中で最も練習に時間をかけた演目かもしれません。

ラストの人形が壊れていくシーンにも拘りました。
朽ち果てていく人形の儚さと切なさ、
そして気味の悪さは必見です。

この演目において人形の表情とパフォーマンスは注目していただきたいポイントではありますが、
人形使いの葛西も見逃せません。

最初は余裕の表情で人形を操りますが、
人形が暴走していくに連れて徐々に焦燥の色が浮かび上がります。
必死に人形を制御しようとしますが、
暴走は止まらず壊れていく人形達。
そして、朽ち果てた人形を冷ややかに一瞥し、
葛西は去っていくのですが、
その表情の変化は見事です。

普段から暴れ回る彩メンバーをコントロールしている葛西には、
ピっタリの配役だったかもしれません 笑

この演目の物語の細かい所は、
是非皆様には「衝動Ⅱ」DVDを買っていただき、
各々考察していただけるとめちゃくちゃ嬉しいです 笑

この人形使いの背景や、感情の変化、
そして壊れていった人形を見て彼は何を思ったのか。

お客様がどのように解釈をしたのか、
是非、色々な方から聞いてみたいですね。

以上、「衝動Ⅱ」の「からくり」でした!

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