エクアドル・ベネズエラツアー後編!~旅する和太鼓奏者 事件篇~ by齋英俊
日時:令和3年3月16日
執筆者:齋英俊
タイトル:エクアドル・ベネズエラツアー後編!~旅する和太鼓奏者 事件篇~
本日は、2018年に開催した中南米ツアーの、大波乱な後編をお送りします!
↓↓↓まずはこちらを見てね!☆
(前編:https://wadaiko-sai.com/archives/history/210217)
【エクアドル】
●ガラパゴス篇
エクアドル4都市目の公演はなんと・・・
チャールズ・ダーウィンの進化論で有名な、ガラパゴスです!
え、ガラパゴスって動植物の楽園、自然豊かなイメージが・・・
演奏するってそもそも人が住んでいるの!??(?_?)
疑問に思う方も多いでしょう!
実はガラパゴス諸島では、人が生活している島と、生き物たちが住む島とが別れていて、およそ25,000人もの方が実際に住んでいるんです!
「え、じゃあ俺も将来住めるの!??」と思い聞いてみましたが(笑)、
人口増加を防ぐため、すでに住んでいる住民と結婚をするなどしないと、新しく住民としては住めないとのことでした。残念!笑
さて、この時は、日本・エクアドルの国交関係樹立100周年を記念してのツアー。
なななんと!!
日本人初のLIVEを、ガラパゴスで開催することになったのです!!!!!祝
和楽器はもちろん、日本人がガラパゴスでLIVEをすること自体も歴史上初めてということで、なんとも光栄な大役です。
ガラパゴスは世界的に有名な場所なので、日本人も知っている方が多いかと思います。
しかし、ガラパゴスの方は、日本のことを知らない方がほとんど。
大げさではなく、僕らの演奏で、日本のイメージが決まるかもしれません。
野口英世氏がエクアドルを訪れ、100年。
向こう数百年も、変わらぬ国交、平和を祈って。日本文化を、和太鼓の音色を、ガラパゴスに届けるぞ!ガラパゴスのみなさまを、最高の笑顔にするんだ!!
実は、僕は小さいころから生き物が大好き大好きで!
2016年にエクアドルをはじめて訪れたときから、このガラパゴスにどうしても行きたかったんです!
本当にたくさんの方にご協力いただき、実現した夢の公演でした。
大好きな生き物も!笑顔にするぞーー!!
いろんな方の応援とご縁への感謝の想いを胸に!
念願のガラパゴスに、いざ上陸~!!!(^O^)/
ガラパゴスでは、空港のための島が別れており、最初にその島へと上陸します。
そこから、船で移動するという形です。
何かの間違いで外来生物たちが飛行機によって上陸した際、最悪その空港島内までで食い止められるようになっているんですね!すごい!
そして島と島に橋などをかけてしまうと、その橋を渡って生き物が移動してしまう可能性もあるため、橋もかけずに、都度船で移動するわけです。
ガラパゴス諸島には、他の世界にはいない珍しい、独自の進化を遂げた生き物たちがたくさん!外来生物による生態系の破壊を水際で防いでいるんですね!
このツアーでは、楽器たちの移動も飛行機からバスから船へと大変大変!!
楽器移動でひとつのドキュメンタリーが撮れそうなくらい、大変なんです。笑
やっぱりきれいな海は気持ちいいな~!!
生き物の楽園。とてもきれいな海に、気持ちはあたたまります♩
ガラパゴスと言えばやはり・・・
ガラパゴスゾウガメが有名ですね!!
ほんっと大っきいな~
一時期は人間の乱獲によって数が激減しましたが、地道な保護活動で、少しずつ生息する数が戻ってきているんだって!素敵な活動ですね(*^-^*)
ゾウガメ以外にも、街のいたるところに生き物があふれています
お、、こちらには酔った葛西さんのようなアシカが(笑)
実はここ、演奏会場隣の公園のベンチなんです!
いやいや、こんなに自然の生き物たちの近くで演奏するのも初めて!
新しいこと、楽しいことだらけです!(^O^)えへへ
ガラパゴスをたくさん案内してもらい、演奏当日を迎えます。
ついに迎えた、ガラパゴス公演当日の朝。
ここでひとつめの大事件が起きてしまいました。
それは、楽器の準備をしているときのことでした。
塩見くんが、太鼓の台の部品を手に取った、
そのとき・・・!!!
塩見「あっ・・・… 。。。」
突如、塩見くんの動きが中腰のまま止まります。ええ、時間が停止したかのように、不自然な姿勢で一時停止します。
齋「え、何?新しいギャグ??笑 さ、準備するよ!」
塩見「これは・・・や・・ば・・・ぃi・・」
塩見くん、そのまま中腰のまま壁に寄り添い、動かなくなってしまったではありませんか!
ええ、実はこの時塩見くん。
人生初のぎっくり腰(^O^)/になってしまったのです!!!!
真冬極寒のロシア→赤道直下エクアドルの気温差が原因か、
はたまた飛行機の長距離移動が響いたのか、
はたまた日頃の行いか、
はたまた髪型の影響か。
なんと、念願のガラパゴスまで来て、塩見くんは寝たきりになってしまったのです!
ツアーメンバーが一人欠けるという大事件。
この大ピンチに・・・、
メンバーは逆に一致団結!!!
なんて言うんでしょう。
僕らは「逆スイッチ」なんて言ったりしますが。笑
長く活動していると、ハプニングというものはつきもの。
ピンチが起きると、逆にスイッチが入りまくり、逆に良い!
そんなことから「逆スイッチ」ON!と称します。笑
やれることを・・・、やるしかない!!!!
塩見じぃから、演奏に参加できない無念のパワーをもらい、「逆スイッチ」を入れ、演奏へと向かいます。
2018年2月6日。
日本人として初めての生演奏が、
初めての和楽器の音色が、ガラパゴスに流れます。
生き物溢れる海岸ステージは、瞬く間に多くの人でにぎわい始めました。
その会場はまさに!日本の祭!!!!
日本から遠く離れた異国の島で、日本の祭が開催されたのでした♬
演奏は大いに盛り上がり、たくさんの方と、日本とエクアドルの国交関係樹立100周年をお祝いしました☆
ガラパゴス市長から、ピンタゾウガメ最後の1頭とされるゾウガメの置物ジョージくんをいただき、大好評で4都市に及ぶエクアドルツアーを終えたのでした!
【ベネズエラ】
エクアドルでの公演を終え、中南米ツアー最後の地は、中米ベネズエラの首都カラカスでした!
(Google MAPより)
カラカスといえば・・・
そうです、世界での最も危険な都市ランキング1位になったこともある、とても治安の悪い地域です。
ぎっくり腰になり荷物が持てない塩見じぃの荷物と、
まともに歩けない塩見じぃ自身を持ち、カラカスの空港へと到着します。
ここカラカスの空港にて、もうひとつ大事件がおきました。(初公開!)
税関にて、空港職員によって止められ、所持荷物のチェックが入ることになりました。
和太鼓は大荷物。日本の楽器は海外では珍しいため、この空港での荷物チェック自体はよくあることなんです!
なので、事前に楽器やら荷物のリストを税関に前もって提出しておくんですね。もちろん今回のツアーでも事前に提出していました。
いつも通り、申請済の書類とともに、職員に提出します。
そしてパスポートを空港職員に提出すると、奥の部屋まで来てくれと促されます。
この時の奥の部屋への道、
切れかけた電気、
あとはまぁ、直感ですね。
なんか良くないなという雰囲気を感じながらも、パスポートを取られていることもあり、職員の指示に従い、外から見えない密室へと連れて行かれます。
そこで、、、
空港の職員さんが、パスポートを返してくれません。
パスポートを返してほしければ、お金を払いなさいと。
もちろん、お金を支払うことに対する正当な理由はありません。
ここで支払ってしまうと、日本人みな簡単にお金が取れると思われてしまい、そのあと来る方にも迷惑がかかるかもしれないー。
そんな考えもあり、押し問答をかれこれ30分ほど続けたでしょうか。
しかし、空港職員はいっこうにパスポートを返す素振りはありません。
それどころか、会話に実銃を持った警備員も加わってきたではありませんか。
さすがに・・・ということで、日本円に換算すると大きな金額ではなかったこともあり、支払うことにしました。
まさか空港の正規職員と警備員にお金を脅し取られるとは、、、
いやいや、すごい国に来たもんだ。
(後日、外務省を通じて、謝罪とともにお金は返ってきました。)
それもそのはずです。
日本とベネズエラではまったく状況は異なります。
僕らが訪れた2018年1月のベネズエラは、経営破綻危機の真っただ中、ハイパーインフレの状態でした。簡単に言うと、自国の通貨の価値がなくなってしまっていたのです。
今までの預金の価値もなくなる、お店のメニューも0が永遠にならんでいて、いったいいくらなのかがわからない、そんな状態です。
そしてこの時のベネズエラ人の平均月収が日本円で300円ちょっとです。(月収ですよ!)
(※社会主義なので、基本的な物資は支給されます。その物資が日に日に減っていたのですが・・)
自分が生きるため?家族を守るため?
理由はわかりませんが、
空港で不正に手数料を取れれば給料数か月分、僕の手元にあるiPhoneを奪い取れれば給料100か月分となれば。
目の前にいる裕福であろう異国人から、お金を取りたくなる気持ちも、正直わからなくもありません。
まったく社会状況も常識も異なるこの国で、僕らはいったいどんな演奏をすることができるのか。
そもそもエンターテイメントとか、文化交流とか、そういう次元の話なのか。
いったい僕らは、ベネズエラのみなさまに、何を届けることができるのか。
大波乱のスタートで、ホテルについてから、演奏内容に関して僕らはたくさんの話し合いを重ねました。
(注)
もちろん、空港で大使館の方と合流後は、防弾車での移動、左右にはとても屈強なボディーガードの方に常についてもらっていたので、ご安心ください!
演奏も見てくれ?演奏中も守ってくれ?最後はとっても仲良しになりました☆
まずカラカスでは、現地の音楽学校を訪れました。
空港での一件もあり、気持ちを引き締めなおし、普段開きっぱなしの心のドアを閉じ、警戒して学校へと向かいます。
校内に入り、、、
自分の考えを恥じました。
学校には、他の国と何一つ変わらない、平和な世界と、熱心な先生と生徒たちがいました。
そう。
人はどの世界も大きくは変わらないんです。
環境と教育によって、、、
変わってしまうんですよね。
とってもキラキラした、好奇心旺盛な目で、生徒たちは僕らの楽器の準備を見つめていました。
カラカスの子供たちに、日本の楽器の音色を届ける!
そして、本当に大変な世の中だけど、少しでも明るい気持ちを贈れるよう、一時でも嫌なことを忘れられるよう、僕らにできる精一杯の演奏をするんだ!
改めて、力が入ります。
世界一治安の悪い都市で生きる子供たち。
そんな中、日本人と何も変わることのない、素敵な笑顔をするみんな。
とてもとても、考えさせられた一日となりました。
今僕にできることはまだ少ないですが、
少しでも僕らの演奏でみんなに元気を届けられていることを、
そして、今もみんなが音楽を愛し、元気に演奏していることを、心から祈っています。
音楽学校訪問後、空き時間を利用してカラカス日本人学校を訪れました。
ご両親のお仕事の関係などで、カラカスに住む日本の子供たちの学校です♪
ここでは!
とても嬉しい驚きがありました!!
なんと!!!
学校のみんなで、和太鼓を、そして篠笛までもやっていたんです!!(*´▽`*)
日本から遠く離れたベネズエラのカラカスで奏でられる日本の音色に、とても嬉しくなりました!
こんなに和太鼓がそろっているのもすごいなぁ!!
そして、急遽ではありましたが、ワークショップ、一緒に練習を開始!!
劇場公演にみんなも出てくれないかとお願いをし、
カラカス日本人学校のこどもたちが、ツアー最終公演に一緒に出てくれることになったんです!
ほんと心があたたまって、ほっこりするな~、みんなありがとう!!☆
そしてそして忘れることなかれ!
絶賛ぎっくり腰中の塩見じぃも、最終公演では、MC担当で復帰することに!!
全ツアーメンバーがそろい、そしてとてもとても頼もしい助っ人、カラカス日本人学校のみんなも加わり、万を持してツアー最終公演です(^^♪
日本とベネズエラの国交関係樹立80周年、日本人移民90周年を祝い、
そして、カラカスのみなさまの平和な暮らしを願い、演奏します♩
大変な経済状況の中の開催となりましたが、大使館の皆様のご尽力もあり、たくさんの方に劇場に足を運んでいただき、満員御礼!
演奏は・・・
カラカス日本人学校のこどもたちの、明るい未来を感じさせる希望溢れる演奏に、最後はスタンディングオベーションの大盛況!!!
演奏中の拍手がとてもあたたかく、素敵な公演となりました。
演奏の様子は、ぜひ彩チャンネルをご覧ください♪
空港到着直後は、どうなるかと不安もあったベネズエラでの公演でしたが、実際には治安の悪いイメージとは正反対!あたたかい方が多く、とても素敵な国でした。
大使館の方のお話の中に、
「ベネズエラは1年中気候も暖かで、温厚な方が多い。だからこそ、危機的な経済危機でも、大規模な暴動になっていない。元はそういう国民性だからこそ、大惨事にはなっていないんだ。」という趣旨のお話がありました。
治安が悪いというネットの情報のみで、偏見を持ってはいけませんね。
公演を通じて、とても納得したお話でしたので、最後にご紹介させていただきました。
と、、、
2回に渡り、波乱万丈2018年の中南米ツアーを振り返りました!
たくさんの方にご協力いただき、実現した本ツアー。
夢が叶い、そして新たな夢や目標ができ、本当にいろんなことが起こったツアーでした。
ご関係者のみなさま、そして長文最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
また、いろんな冒険にでていきたいなぁ~!
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