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晴れ囃子作曲秘話②〜即興性とトランス状態〜 by酒井智彬

日時:令和3年3月11日
執筆者:酒井智彬
タイトル:晴れ囃子作曲秘話②〜即興性とトランス状態〜

皆さま、こんにちは。
酒井智彬です!

今回は、前回に引き続き、2020年12月23日に行われた和太鼓彩ファンイベント”彩ホーム vol.10” 「大新曲まつり!!!!!!」にて発表させていただきました「晴れ囃子」の作曲秘話第2弾をお話ししたいと思います!
(前回のヒストリーはこちら→https://wadaiko-sai.com/archives/history/210223


演奏に来てくださったお客様と一緒に「お祭り」を味わい、感じ、楽しみたい。
日常なんて全て忘れ去るような非日常空間、お祭りの空間を作り、世の中の暗いムードを吹き飛ばしたーーーーいっ!!

ということで、お祭りで演奏されるような祭り囃子を作曲したのでありました。

前回のヒストリーでは、僕が感じる2つのお祭りの魅力「2度同じお祭りはないこと」・「人間味が溢れ出ること」について、お話しをさせていただきました。

そして、今回はお祭りの空間を作るべく2つのお祭りの魅力を実際にどう曲に落とし込んでいったのかということをお話ししていきたいと思います!


お祭りの魅力「2度同じ祭りはないこと」=「即興性」

同じ祭りを毎年見ていると同じ祭りなのに、違うんです!
お祭りやその瞬間は1回きりだからこそ、面白い。
そんなところにお祭りの魅力はあると僕は思うんです。

では、実際にどう曲の中でこのお祭りの魅力を再現しようかと。

そうだ!!僕は閃きました。

「2度同じ演奏できなくしたらいいんだと。」

普段、日常で耳に入るような音楽や、僕たち和太鼓彩の楽曲は、楽譜や打つリズムが規定されていて、誰が何をするのかが基本的に決まっています。
その逆をやればいい!

誰が何をするのか決めっておらず、その場で決めて曲が進行していったらいいのだと。
つまり「即興性」!!

即興性を1つテーマにして作曲したのでした。

では、実際の楽曲ではどんな風に即興性を取り入れたか。
それは曲の進行を決める選択肢が複数あり、その場、その瞬間で決めていくといったものです。

曲は下記のように基本的に進行していきます。

A(長胴太鼓ソロパート)

B(締め太鼓・鉦ソロパート)

C(長胴太鼓・締め・鉦パート)

A(長胴太鼓ソロパート)
・・・・・

即興的に決める具体例としては、Aの長胴太鼓ソロパートを打った人がBの締め太鼓・鉦ソロパートを打つ人をその場で決めるというもの。
なので、演奏する当の本人たちも演奏が始まるまでは、誰が打つか分からず、ドキドキしています(笑)

また、B、Cのリズムには複数の選択肢があり、その瞬間的に呼吸やアイコンタクト、振り付けなどで、打つメンバー同士でその瞬間に決定しています。

選択肢の組み合わせを計算したところ、大新曲祭りで演奏した曲の長さだと約20,000通りぐらいの演奏パターンが考えられました(笑)

このように即興性を用いることで、同じ演奏は2度ないということを再現したのでした!

お祭りの魅力「人間味が溢れ出ること」=「トランス状態」

お祭りという非日常空間だからこそ、社会を生き抜くために取り繕った自分という殻を捨て、等身大の自分がさらけ出る。
日常からかけ離れた非日常空間であるからこそ、関わる人々の人間味が溢れ出る。
このように人間味が溢れ出ることがお祭りの魅了だと僕は思います。

お祭りの空間をお客様により感じていただくため、お祭りの魅力である人間味を曲の中で出してみたい。
しかし、普通に演奏しては、本当の意味での人間味が出ないと思います。

そこで僕が着目したのが、「トランス状態」という人間の意識状態。
同じことをずーーっと集中して行っていると、超集中しているというような通常とは異なる精神状態になります。脱魂状態とも言われますね。
脱魂という字の如く、魂が抜けたかのように無意識的になっているんです。でも目の前のことは行っているみたいな。
この時にこそ、演じるとかそういう意識ではなく、人の根っこにある人間性が垣間見えると思うんです。

トランス状態で曲を演奏するからこそ、人間味の溢れた演奏ができ、その結果お祭りの空間を再現できると考えたんです!

トランス状態へと入り込めるように、ベースリズムは、とっても単調に!
そして、その単調なベースリズムに乗っかるように延々と続くお祭りの掛け声!
この2つの単調なことの繰り返しで、メンバーは次第にトランス状態へと変化していきます。

このような意識状態で演奏するからこそ、通常の演奏では見れないメンバーの本当の意味での人間性を、お見せできたのではないかと思います。


このようにして、2つのお祭りの魅力「2度同じお祭りはないこと」・「人間味が溢れ出ること」を「即興性」・「トランス状態」という言葉に変換し、「晴れ囃子」という楽曲を作ったのでした!

「晴れ囃子」を通して、僕の大好きな日本のお祭りの魅力やお祭りの空間を楽しんでいただけたら、最高に嬉しいです!

演奏動画と解説動画を彩TIMES 2nd.で公開しました。
ぜひご覧くださーい!

■「晴れ囃子」演奏動画

■「晴れ囃子」解説動画:あつまれ祭り好き! 祭りのええとこ大大特集!!

以上、「晴れ囃子」の作曲秘話でした〜♩
ありがとうございました☀︎

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