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塩見ソロライブ【鼓劇】面白探しの面志郎① by塩見岳大

日時:令和3年7月31日
執筆者:塩見岳大
タイトル:塩見ソロライブ【鼓劇】面白探しの面志郎①

2021年5月15日、
ライブシアターオルフェウスにて、
ソロライブを演奏させていただきました!

新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の延長によって、
一時はソロライブの開催自体も危ぶまれました。
しかし、ライブイベントに対する規制が緩和されたおかげで、
ギリギリ開催する事ができました。
緊急事態宣言延長の影響で終焉時間の変更を余儀なくされたため、
開演時間は変更になってしまったのですが、
そんな状況下でお越しいただいたお客様には只々感謝です!

今回のソロライブでやりたい事というのはたくさんありました。
お笑いに極振りした公演を作ってみるのも面白そうですし、
意表を突いてゴリゴリに打ちまくる公演を作っても面白いかもしれません。

方向性の選択肢は無数にありました。

しかし、
社会が大きく変容している今だからこそ、
新しい事にチャレンジしてみたいと思ったのです。

生まれてこの方、
体験したことのない社会的な危機の渦中にいるからこそ、
考えたこと、思ったこと、悩んだことが、
たくさんありました。

ただ、創作者である限り、
良い感情であれ、悪い感情であれ、
湧き上がる感情は全て受け止めて、
大切にして、
それを良いものに変換し、
世に放っていきたいと思ったのです。

そして、
僕が今回挑戦したのが「鼓劇」というものです。

この言葉は造語で、
和太鼓と劇を組み合わせたものです。

僕は昔から漫画が大好きでした。
小さな漫画本の中には大きな物語が詰め込められていて、
僕はその物語の中へと入っていき、
冒険をしたり、
戦ったり、
恋愛をしたり、
笑ったり、
そこで色々な体験をしてきました。

その面白さは、
僕が和太鼓と出会った時に感じたものとはまた異なる面白さでありました。

僕には愛する二つの面白さがあって、
それを混ぜ合わせたらもっと大きな面白さが生まれるのではないか。
そう思ったのです。

因みに僕が大学時代に友達と作った和太鼓チームの名前は「和太鼓音劇団La Casta」といいます。
この頃から和太鼓を用いて劇的な面白さを追求したいという気持ちはあった…ような気がします!笑

物語性が付与された和太鼓の公演は、
和太鼓彩でも何度かチャレンジしてきました。

2013年から2014年にかけて行った「凛」ツアーの「天心不乱」、
2017年に行った「Q」ツアーの「Tales of the Queen」、
とかなり力を入れた作品があったのですが、
いずれも演者自身が喋る事はなく、
パンフレットや語り部を通してあらすじを伝え、
それを和太鼓で表現するといったものでした。

僕は上記の作品、いずれも大好きで、
演奏していて、とても楽しかったという記憶があります。

しかし、今回挑戦しようと思ったのは、
それ以上にもっと「劇」に寄せた公演でした。

演者には台詞があり、
物語は演者の芝居で展開していき、
その感情表現や舞台装置として和太鼓や和楽器を用いるシステムを作り、
よりストレートに物語の内容をお客様に届けられるようにしました。

加えて今回はソロライブ。
舞台上には僕一人しかいません。
今回行う「鼓劇」は演者が一人で進行できる物語でなければなりません。

僕が今回のソロライブに一番時間を費やしたのは、
その物語の骨組を作る、台本作りでした。

当たり前ですが、
僕は生まれてこの方、
劇の台本なんて書いた事がありません。

小説や漫画ならば趣味として昔書いていたので、
その時に勉強した「物語を書く時のルール」は役に立ちましたが、
わからないことはその場その場で調べながら書き進めました。

やはり難しいのが、
一人で物語を進める上での実現可能性と和太鼓との親和性、
その両方をバランス良くまとめた上で面白く仕上げるという事でした。

これはひたすらにトライ&エラーを繰り返していくしかありませんでした。
原稿を書いて、
和太鼓を交えて実際にやってみて、
原稿を直して、
演奏を修正して、
といった様に…

ソロライブだったので、
公演内容を詰めていく過程で、
演出や物語をいくらひっくり返しても、誰にも迷惑が掛からなかったのが幸いでした。
もしも、ソロライブではなかったらメンバーと喧嘩していたと思います。笑

公演が一度完成しても、
一晩すれば「あれはこうした方が良いのではないか」
といった改善点がたくさん浮かび上がってきます。

そして改善を繰り返していくと、
ふと思うのです。

本当にこの公演で良いのか?…と。

いつもの形に戻した方が良いのではないか、とか、
台本の根本的な修正が必要ではないか、とか。

ありとあらゆる不安が襲いかかってくるのです。

しかしこの感覚には妙な既視感を感じます。

あれ?この感覚…前にもあったな…
そう、この感じは…去年のソロライブだ!

…と思い出したのです。

昨年行ったソロライブでも、
公演直前、出来上がったものに対して湧き上がる不安が尋常ではなかった事を思い出します。

普段はメンバーで練習を繰り返していくうちに、
確信を持ってその公演を「面白い」と思っていく様になるのですが、
おそらく一人で引きこもって練習していると、
ネガティブな感情を振り払う力が弱くなっていったのだと思います。

そんなところで、
いつもメンバーに支えられているのだという気づきを得ながらも、
僕は今一度、自分の創作したものを信じて、
公演に臨む事にしました。

僕がこの一年間で感じたものを、
学んだものを、
混ぜて、
凝縮して、
煮詰めて、
そして出来上がったソロライブ。

2021年5月15日。
題目は「面白探しの面志郎」!
和太鼓の新しい形として「鼓劇」というものを、
この世に生み落とすべく、
ライブシアターオルフェウスへと向かうのでした!

つづく!

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