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和太鼓界初の衝撃作「鳥籠」〜「叫べ、この生きづらい世の中を」〜 by渡辺隆寛

日時:令和3年8月24日
執筆者:渡辺隆寛
タイトル:和太鼓界初の衝撃作「鳥籠」〜「叫べ、この生きづらい世の中を」〜

◆「和太鼓×負の感情」

大人になってからというものの、
「人目を憚って泣くことを恐れたり」「苛立ちや怒りを隠すこと」が増えた。

悲しみ、苦しみ、不安、泣き、辛さ、痛み、嫉妬、苛立ち、怒り、暴れ、そして叫び。

多かれ少なかれ、誰もがこんな感情を抱きながら日々過ごしている。

子供の頃は、悲しい時に泣き、怒れる時にはそれをぶつけてきた。
だが今は、そんなことをすればやれヒステリックだ、やれ社会不適合者だと揶揄される。

「何故だ?」

「悲しい」とは、人類が数多持つ感情のたった一つである。
この感情は果たして悪なのか?

泣きたい気持ちを封じ、苛立ちや嫉妬を隠す。

こうしていくうちに、どんどんどんどん自分自身が疲弊していく。

僕が思うに、時には子供に戻ればいい。
悲しい時は泣けばいいし、不満があればぶつければいいのだ。


◆「幸せの青い鳥は、果たして本当に幸せだったのか?」問題

モーリス・メーテルリンク作の童話劇「青い鳥」という作品をご存知だろうか。
幸せの象徴とされる青い鳥を探しに、主人公のチルチルとミチルが旅をするお話。
どこを探しても見つからなかった青い鳥が、
意外にも、自分たちに一番近い鳥籠の中に存在していたというお話である。

僕は、この話にはいささか疑問が残った。

【そもそも青いことが珍しいというだけで「幸せの象徴」としたのは人間の勝手な解釈ではないか?】

本来、大空を自由に飛び回る能力を得た「鳥」という存在が、
「鳥籠」に閉じ込められている時点で、
本当にその「青い鳥」は「幸せ」を感じていたのか?

一方で言えば、忌み嫌われながらも大空を自由に飛び回っている「黒い烏」の方が幸せなのではなかろうか?

人間の勝手な思惑で鳥籠に閉じ込められ、大空を夢見たその「青い鳥」は、
自由に飛ぶことのできない自分の不遇な人生を、
悲しみ、泣き、怒り、もしや諦めすら抱いていたかもしれない。

自分はただ、「幸せ」という「エゴ」を描いているだけではないのか?


◆「人は平然と生きている。」

僕の好きな作家、伊集院静さんの本の一節にこんな言葉がある。

「人は平然と生きている。」

伊集院さんはきっとこの言葉を、
「人は皆この社会でいろんな辛さや悩みを抱えて生きている。あなただけが特別なわけじゃない。」
というある種ネガティブな意味で伝えたと思われる。

しかし、それでは味気ない。

泣きたくなる時、怒りたい時、叫びたい時、
きっと生きていればいろんなことがある。

僕は、そんな辛さや悩みを抱えて生きる中で、
皆がそれを分け合うことで、強く生きられると思う。

どんな負の感情も自分を構成する一部分にしか過ぎなくて、
それを受け止め“肯定”してあげることが、
詰まるところ、“自分を肯定”する事になる。

それが、このコロナ禍だっていい、
友人や家族との人間関係だっていい、
自分の失敗だっていい。

是非今のその気持ちを大事にしてほしい。

あなたが泣きたい時、代わりに泣く。
あなたが叫びたい時、代わりに叫ぶ。
あなたが怒っている時、代わりに怒る。

そして、その負の感情こそが、心の叫びとなり、
現状を打破する起爆剤となるのだ。

楽しいという感情は、続けるエンジンにこそなれど、
何かをブレイクスルーするきっかけにはならない。

目の前のガラスを破り、
その鎖を解き放つ。

その時あなたは、きっと生まれ変わる。


◆「芸術」は対話

是非皆さんには、
「鳥籠」という「芸術」を、自分なりに考えて、解釈してほしい。

「アート」といえば大体、絵画や作品を想起させるが、
僕からすれば和太鼓も「音楽」であり「アート」である。
僕らは「ミュージシャン」であり、「アーティスト」なのだ。

アートの楽しみ方は人それそれである。
ただただ眺めているだけだっていい。
考える必要なんてない。

だけど、眺めている時にふと、「あっ」と感じるものがある。

時にはそれが「輝いて見える」かもしれないし、
取り憑かれるほど「耳に残る」かもしれないし、
グッと「心を掴まれる」かもしれない。

そういった作品に出会えた時、
もしよかったら是非「なんでだろう?」と思っていただきたい。
きっと「その作品の中に自分がいて」「自分の中にその作品がいる」はずだ。

「鳥籠」もまたそう。
あなたが自然と塞ぎ込んでしまったその感情を、
是非解き放ってほしい。

あなたは自由だ。

あなたは、今、その想いを持って、

「鳥籠」から、大きく羽撃く−。

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