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塩見ソロライブ【鼓劇】面白探しの面志郎② by塩見岳大

日時:令和3年9月2日
執筆者:塩見岳大
タイトル:塩見ソロライブ【鼓劇】面白探しの面志郎②

2021年5月15日、
ライブシアターオルフェウスにて、
ソロライブを演奏させていただきました。
題目を【鼓劇】面白探しの面志郎、
としてお送りした今回のライブですが、
このレポートは「①」の続編にあたる「②」となっております。
まだ「塩見ソロライブ【鼓劇】面白探しの面志郎①」を読んでいないという方がいましたら、
まずはそちらからお楽しみいただければと思います。

ライブステージのバックグラウンドにて、
口から飛び出て来る心臓を飲み込んでいるところ、
ライブは始まりました!

さて今回のライブは動画スタートです!
僕はライブシアターオルフェウスのステージが大好きなのですが、
映像を使用しやすいというのが、数ある好きなポイントの内の一つであります。
他にどんなポイントが好きかって?

お客様はあまり話す機会がないとは思いますが、
スタッフの人がめちゃくちゃフレンドリーなところ。

一人で太鼓を叩いても十分な迫力を演出でき、
地声でも後方まで行き届くサイズ感。

あと今回のソロライブでは渡辺もガッツリ使っていましたが、
ライブスタジオなので音源使用との親和性もバッチリなところ。

今回のライブはそんなステージにあわせて作ったものなので、
同じ事を他のホールで演じる事はできない、
ライブシアターオルフェウスならではの舞台となっております!

因みに最初は和太鼓の配置の都合上、
オープニング映像なしで進行していこうと思ったのですが、
僕が登場して早々、説明台詞が多過ぎて勢いを殺してしまう印象があったので、
オープニング映像を制作し、和太鼓の配置(転換)はメンバーに手伝ってもらいました!
メンバーのみんな!ありがとう!

物語のあらすじは、
真面目な人が多い国「マッシロ王国」にて、
「面志郎」という青年が何か面白い事はないかと探し回る、
という内容。
タイトル「面白探しの面志郎」そのままですね。

冒頭はタンバリンを持って登場!
塩見が演じる面志郎は前向きで陽気なキャラクターなので、
登場した瞬間からその性質を前面に押し出していきます。

そして長胴太鼓で演奏する演目。
「好奇心は人を生かす」

角打ちやカン(長胴太鼓の横に付いている取手)を用いたり、
打面にバチを抑えて音を出したり、
この長胴太鼓という楽器一つでどんな音を出すことが出来るのか。
そんな好奇心から生まれる面白さを追求した一曲でございます。

そのままの流れでチャッパとおしゃべりする演目。
「対話」

この演目の着想は僕が小学生の頃に観た舞台にあります。
記憶がかなり曖昧なのですが、
トランペット奏者が音を用いて心情を表現して対話をする演目があったのです。
記憶が曖昧すぎてそれがトランペットだったのかも怪しいですし、
多分それはアメリカで見た公演で、英語の理解能力が低かったため、
奏者が行っていたのが対話だったのかどうかも怪しいです。

しかし、楽器と対話したら面白いと思い、
周りにある楽器の中で一番喋り出しそうだと感じたチャッパを用いて、
僕なりに演目へと落とし込んでみました。

基本的に一人劇ですが、
その中で唯一姿がはっきり見える僕以外の登場人物(人ではないが)、
それがチャッパでした!

次に桶太鼓で女性を口説く演目。
「愛」

物凄い偏見を恐れずに表現するならば、
長胴太鼓は「男前」で、
桶太鼓は「イケメン」なんですよ。

長胴太鼓と比べると桶太鼓は奏者の動きが自然と軽く、柔らかくなって、
迸る汗と情熱の中に、しなやかな余裕とセクシーな風が吹くようなイメージ。
それが僕の桶太鼓のイメージであり、
桶太鼓の面白さだと思いました。

その上でそれを表現するシチュエーションとして、
道端で出会ったお姉さんを口説く面志郎という展開を選びました。

この物語の中では面志郎のキャラクターとの整合性をとり、
最終的にお姉さんに求めていたのは「愛」ではなく「面白さ」というオチを用意しましたが、
口説いている最中は「愛」たっぷりで演奏させていただきました。

笑いながら長胴太鼓を打つ演目
「爆笑乱舞」

メンバーから「恐い」「狂気的」と絶賛の言葉(?)をもらったこの演目。
「笑い声」をテーマに制作した演目なのですが、
人が笑う時ってめちゃくちゃ酸素使うのですね。
演奏中に酸素の供給が追いつかなくて地上で溺れるかと思いました。

笑って生きていれば人生はきっと楽しくなっていきますが、
笑いというベールで覆い隠した心の奥には悲劇的、あるいは狂気的な感情が潜んでいるかもしれません。

この演目ではそんな面志郎の道化師的な一面を表現しました。

広場で面白探しをしていた面志郎は、
真面目な人が多い国「マッシロ王国」ではとても悪目立ちしていました。
彼は国民に通報されてしまい、警察に連行されてしまいます。

勾留所に放り込まれた面志郎は、
悲観する事なくその場所でまた面白探しを始めます。

フィンガーシンバルと自然の音で織りなす演目。
「静寂の調べに宿る灯」

どのような場所でも、
どのような状況でも、
面白い事はきっと転がっている。
という願いを演目にしました。
フィンガーシンバルの趣深い音と、
自然音で作曲した音源を合わせて奏でました。
このライブ唯一の静かな演目!

大太鼓で演じる裁判の演目。
「真面目裁判」

不真面目罪の審議にかけられた面志郎の裁判を、
大太鼓を用いて演じました。
大太鼓の低音は大いなる力の表現に高い親和性があると思います。
それは神様だったり、自然だったりしますが、
今回は大きな権力を表現し、
裁判の重厚な雰囲気を作るように努めました。
「有罪!!!!!」

裁判の結果、執行された刑により面志郎は言葉を失いました。
そんな面志郎の絶望をセットで演じた演目。
「黙殺」

黙殺とは無視をすることですが、それは沈黙によって人の意思を殺す事でもあり、
その残酷さと理不尽へのやるせなさを思い、
権力、大衆、時代に黙殺されたマイノリティの悲しみと怒りを表現しました。
僕はこういう負の感情から生まれるエンターテイメントが実は結構好きなので、
このような雰囲気の演目はこれからもたくさん作曲していきたいですね。

言葉を失った面志郎の元にお喋りなチャッパがやってきて、
面志郎の言葉を取り戻す代わりに、
チャッパ自らは言葉を失うシーン。

ここは個人的に好きなシーンでした。
ここから面志郎は「面白さ」のために戦う覚悟を決めます。

「面白さ」のために怒り、
「面白さ」のために立ち上がる。

笑顔のベールで覆っていた自分の想いを露わにして、
自分の激情を解き放つ演目。
「怒楽」

面志郎の想いはこの国に「面白い」を取り戻す事。
そのために怒る面志郎は暴力に訴えるわけではありません。
「面白さ」でこの国に反旗を翻すのです。
そのため彼は笑顔で怒ります。
この演目では抑圧された「面白さ」による反乱を表現しました。

みんなで一緒に面白い事を探す演目。
「面白探しの面志郎」

ライブ最後の演目です。
これは面志郎がマッシロ王国の国民に向けたメッセージでもあり、
塩見岳大から皆様に向けたメッセージでもあります。

どんな状況でも、
どんな時代になっても、
みんなで一緒に面白い事を探しましょう。
その手段や方法は状況や時代によって違うかもしれませんが、
止まる事なく面白い事を探し続ける事に、
人生を楽しむ秘訣があるのではないかと思ったのです。

今回は【鼓劇】面白探しの面志郎を演目面からレポートしてみました。
ソロライブという事で、
それはもう自由に僕自身の哲学や、
やりたい事を物語に詰め込みました。

でも、最終的に言いたい事は一つです。

みんなで一緒に面白い事を探そうぜ!

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