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牛道怜との出会い〜もがいた民俗芸能との向き合い方〜 by酒井智彬

日時:令和3年9月9日
執筆者:酒井智彬
タイトル:牛道怜との出会い〜もがいた民俗芸能との向き合い方〜

牛道怜

僕の大学4年間の中で、一番長く一緒に時間を過ごしてきた人物であり、共に和太鼓について考えてきました。
彼と過ごした時間が今の僕に繋がっている部分が多くあります。
牛道くんとの出会い、入団のきっかけ、一緒に学生時代の民俗芸能に向き合ったことなど、振り返っていきたいと思います!

普段のヒストリーは、和太鼓彩のイベントや曲に焦点が当たりますが、今回はメンバーに着目してお送りしたいと思います!

それでは、どうぞ!

●出会い

和太鼓彩には、今でこそ、様々な高校や団体で和太鼓を経験してきた人が増えましたが、元々は、代表の葛西さんをはじめとする桐蔭学園和太鼓部出身のメンバーが作ったチームということもあり、桐蔭学園高校を出身校とするものがほとんどでした。

しかし、そんな中、牛道くんの出身は、桐蔭学園から離れた栃木県のとある高校でした。

さて、そんな牛道くんとどうして出会ったのか?

それは、僕が大学時代に所属していた東京学芸大学の和太鼓サークル結という団体の新入生歓迎でのことでした。

当時、僕が大学2年生で、牛道くんは、ピチピチの新入生。
そして、牛道くんは、僕とは違う大学に入学しており、僕のいる大学に知り合いがいるとのことでたまたま遊びに来ていました。

和太鼓サークル結は太鼓の台数や発表会の開催時期の都合により、特段、インカレ化しておりませんでした。
しかし、牛道くんは他大学ですが突っ込んできたんです(笑)

牛道「今日たまたま遊びに来ました!他大学ですが、サークルに入ることできますか?」

この屈託のない笑顔で、サークル入部希望です。

「他大学だから無理です。」
ってこの笑顔の前では断れないじゃないですか(笑)

すごいですよね、たまたま来た知らない大学のサークルに突っ込んでくる度胸。笑
それが彼のすごいところだと思うのですが、自分の見知らぬ環境突っ込んでいって、そこで見事に順応するんです!
完全に彼の人間力です。

この能力が和太鼓サークル結では、めちゃくちゃ大事だと僕は思うんです。
というのも民俗芸能を学ぶサークルでしたので、芸能が発表されるようなお祭りに行き、人脈を作る必要があります。
そうしてお知り合いになった方から、その芸能をお教えいただくことがあるんですね。
まさに僕から見て、まさに牛道くんの得意とするところです。

その後、入部した牛道くんと色々なお祭りに行き、たくさんの人と出会い、現地で民俗芸能を学ぶという貴重な経験ができました。

そして、その学びを自分たちの公演で活かすため、日夜研究し、共に公演を作り上げていくのでした。

『牛道、和太鼓彩に入団する!』

ついに牛道くんが和太鼓彩に登場します!

和太鼓彩には、僕が先に所属しており、牛道くんは、気の知れる和太鼓仲間ということで、たまに仕事をお手伝いしてもらっていました。

それも一回ではなく、複数回、手伝ってもらっていたんです。

そんな中、入団のきっかけが訪れます!
とある大型現場での打ち上げにて、
葛西さん「牛道もうウチ入りなよ!」
牛道「いいんですか?」

牛道からしたら、僕以外に知り合いなんているはずもないのに、もう和太鼓彩のメンバーであるかの馴染みよう。
連れてきた僕が一番びっくりです!!
ほぼ全員が桐蔭学園和太鼓部の先輩・後輩という外部の人間が入りにくいコミュニティの中でよく馴染んだなと。
牛道の人間力と和太鼓サークル結で鍛えられた自分の知らない環境でのコミュニケーション能力が発揮された結果なのかなぁと先輩ながら思っておりました。

そして迎えたデビュー!

『共にもがいた民俗芸能との向き合い方』

和太鼓演奏といってもジャンル分けすると、様々な種類があります。
和太鼓を音楽としてパフォーマンスとして、舞台で演奏するようなもの。所謂、「組み太鼓」や「創作太鼓」と呼ばれるもの。
そして、日本各地に伝承される祭礼などで、和太鼓を演奏するようなもの。「祭り囃子」や「民俗芸能」と言えるでしょうか。
その他、歌舞伎などの「下座音楽」でも和太鼓は用いられることもあり、その演奏の形式は多岐に渡ります。

和太鼓彩は、「創作太鼓」を中心に演奏し、一方、和太鼓サークル結は、「民俗芸能」を主に演奏していました。
和太鼓サークル結では、僕と牛道くんは「民俗芸能」を学び、自分たちで実践し、それらを中心に公演を作りあげていました。

この「民俗芸能」を実践するという芸能との向き合い方に僕と牛道くんは非常に悩むこととなります。

まずは、僕たちが「民俗芸能」を演奏する“意味”についてです。

サークルに入った頃は、ただ単純にお祭りが好きで、和太鼓が楽しく演奏していました。
というのも「民俗芸能」には、たくさんの和太鼓の奏法や芸能の表現があります。
それらを学び、自分も実践してみる。これだけで楽しいんです。
恥ずかしながら、実践することに必死で自分たちが演奏する意味なんて考えてませんでした。

しかし、公演を作り上げていく代になると、お客様の前で、僕たちこの「民俗芸能」を実践したものを披露することに対して“意味”を考えることになります。
これが僕たちの公演のメッセージとなり、テーマとなっていきます。

僕と牛道くんは、年齢を重ね、遂に公演を作る代持ちとなりました。

民俗芸能は、実際に現地で演奏されている方がいます。
なぜ、それを僕たちがそれを学び、わざわざ演奏するのでしょうか。
なぜ、お客様の前で披露するのでしょうか。
現地の方が演奏していれば、それでいいのではないでしょうか。

僕たちが民俗芸能を学び、実践する“意味”はなんだろうか。

僕と牛道くん、結のメンバーで悩みます。

そして一つの“考え”に辿り着きます。

大好きなお祭りや芸能を、僕たちの演奏を通して、まるでお祭りに来たかのような雰囲気を味わって欲しい。
お祭りの空気感ですから、楽しいを味わっていただきたい。
そして、お祭り好きになってもらえれば、その人たち住む地域の芸能を盛り上げることに繋がり、ひいては、日本の文化を盛り上げることに繋がるのではないかと。

さぁ、その考えを具現化する公演作りに入っていきます。
当時、僕が3年生でサークルの部長で、牛道くんは2年でした。
その公演で牛道くんにとある曲の演目長をやってもらうことになりました。

-ここからが苦難です。

どうすれば、演目の中で、現地のようなお祭りの空気感を出すことができるのか。
僕たちが愛して止まないお祭りの空気感を演出することができるのか。

その中で一番苦労したのが、“現地のお祭りの空気感を壊さないアレンジ”です。
僕たちが伝えたいことは、お祭りを味わっていただきたいことですから、これが崩れてしまうアレンジはできません。

お祭りの中では、1日中、その芸能が披露され、お祭りが進行されることが多いんです。
しかし、僕たちが演奏する際には、流石に1日中やるわけにはいきません。

では、どうするか?
芸能の何が、そのお祭りの雰囲気を構成する要素なのかを考え、抽出することです。

例えば、お祭りの終盤に向けてテンポ感が上がっていき、お祭りの熱気がクライマックスになっていくようなものがあるとします。
この場合、僕たちも演奏時間を使い、そのテンポ感の上昇を表現し、演奏の盛り上げのピークを作っていくといった具合にお祭りを再現していきます。

この際に、ただ単純に盛り上がるからといって過度なアレンジを加えてしまうとそのお祭りの空気感との不一致が生じてしまいます。

この微妙な線引きを牛道くんと共に熟考し、演目を公演に向け、完成させたのでした!


左:牛道 右:酒井

まさにこの時の経験が、僕にとって和太鼓彩の作曲をする際に活きたのでした。

それは、2020年に行われた和太鼓彩ファンイベント”彩ホーム vol.10” 「大新曲まつり!!!!!!」という公演にて発表させていただきました「晴れ囃子」という楽曲の作曲過程では、ほとんど同じようなことをしています。
(晴れ囃子作曲秘話①:https://wadaiko-sai.com/archives/history/210223
(晴れ囃子作曲秘話②:https://wadaiko-sai.com/archives/history/210311

自分が理想とするお祭りの具現化、その要素の抽出を行ったのでした。
牛道くんとの学生時代の経験がまさに活きたのでした。


そんな共に苦難を乗り越えてきた牛道くんですが、和太鼓グループ彩 WiNGSにおいては、最年長となりました。

9月(2021年)に行われるWiNGS単独公演では、この後輩たちを引っ張ってくれることに期待したいと思います!
民俗芸能を共に研究していた頃の熱量で公演に臨んでくれると思いますっ!

乞うご期待!

牛道くんとの思い出話は、もっとあるのでまた別の機会に〜!
それでは〜!

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