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鼓劇「イケメン二十面相」③エンターテイメントの追求 by塩見岳大

日時:令和5年1月10日
執筆者:塩見岳大
タイトル:鼓劇「イケメン二十面相」③エンターテイメントの追求

2022年6月26日、
塩見岳大生誕祭2022にて披露した鼓劇「イケメン二十面相」。

台本を制作した後は、
楽曲の制作に取り掛かる。

今回の公演においての楽曲とは、主人公、イケメン二十面相が演じる役の事になる。
物語との整合性を取りつつも、僕が演じるイケメン二十面相がどんな役を演じたら面白いか、
悩みに悩んで生まれた楽曲を練習し、
同時に台詞合わせの練習も続けた。

今回は塩見の一人舞台だったのだけど、
この台詞を合わせるのに苦労した。
誰に?人ではありません音楽にです!

より舞台への没入感を上げていくために今回新しく挑戦したのが音楽(BGM)とのリンクです。

前回の鼓劇を5人で演じたため、演技パートの時に相対的な寂しさが生まれてしまうかもと思い、
それを埋め合わせて、更に鼓劇をパワーアップさせるものはないかと思い、
考えたのが音楽(BGM)とのリンク。

一人芝居という性質上、場面の変化や状況の変化を伝える手段が乏しくもなるので、
それを補う役割も担ってもらってます。

随所にナレーション、コミカルな効果音、BGMの変化によって状況が変化した事を伝えるシーン、を盛り込み、どんどんと舞台の完成度を上げていこうと思ったのですが、生で演じる僕のタイミングに合わせてもらうのは難しいと思ったので、
台詞の長さに合わせてBGM、効果音、ナレーションを編集し、
書き出されたBGMに合わせて、僕が芝居を演じる事にしました。

これの練習が難しかった!

決まったBGMに合わせて芝居を演じる難しさは重々承知してはおりました。
初めて行ったソロライブにて映像上の僕と生の僕で一緒に「タンバリンリン」という演目を演奏するシーンがあるのですが、
演奏以上に台詞の掛け合いを合わせるのが難しかったです。

決まった台詞、決まったリアクションを同じタイミング、同じ長さで行う事の難しさ!
和太鼓彩の舞台で台詞の掛け合いが行われる場合、ある程度のアドリブは許されているので、
人と演じる時は、なんとなく息を合わせて演じていたのですが、
音源や映像と台詞を合わせる時、当たり前ですが相手側は息を合わせてくれません。
いつもより少し大げさにリアクションをとったり、長く台詞を話してしまうと、
それだけでタイミングがずれてしまうのです。
台詞が少しでも飛んだらタイミングがズレてしまいますし、
繰り返し、繰り返し、台本を読む練習をしました。

最初はBGMに合わせて芝居をするのはかなりハードルが高い事のように思ったのですが、
意外と和太鼓奏者として培ってきたスキルが役に立ったのです。

齋や酒井などの篠笛奏者は音感も持ち合わせていますが、
篠笛を吹かない和太鼓奏者はリズムの感覚しか持ち合わせていません。
その代わり、無意識下で小節数を数えたりするのが得意で、
1、2、4、8、16、32小節くらいであれば他の事に意識を割いていても、
大体感覚としてカウントする事ができるのです。

台詞を頭の中で思い出しながら、慣れてない芝居をしながら、
正確にBGMの小節数をカウントする事は出来ませんが、
大まかな感覚として身体に落とし込む事は出来ました。

これはもしかしたらリズム楽器隊が芝居を行う時、
芝居の経験値が大きく不足している代わりに、
他の人はあまり持ち合わせていない武器になり得るのかもしれないと思いました。

まぁ、普通和太鼓奏者がBGMに合わせて芝居をする事なんて滅多にないと思いますが 笑

BGMがあればそれに合わせて効果音を付け加える事ができ、
効果音があれば一人芝居では拭えない寂しさを埋める事ができるし、
コミカルな演出がよりわかりやすくなります。

ナレーションを加えれば、
わかりやすい場面転換が可能になるし、
その間に舞台転換や簡単な衣装替えも可能になりました。

新しい試みは実際にやってみるまでの不安は多く、
課題を増やしてしまう可能性も孕んでいましたが、
それを武器にする事ができれば、
自らが作り上げていく鼓劇の可能性がどんどんと広がっていくように感じ、
創作する世界が拓けていくような開放感を感じました。

今回はライブシアターオルフェウスという会場で行ったのも良かったです。
和太鼓彩が普段演奏する事が多いホールではなくライブスタジオなので、
BGMの響きも素晴らしいですし、
肉声と音源が混じっても空間が広過ぎないので、
客席の場所によって聞こえ方が大きく変わってしまう、
といった事態が起きにくいです。

また、声を張らずとも肉声をお客様にお届けできるので、
声の演技の幅が広がります。
お客様が物理的に近いので、
伝家の宝刀「顔芸」が伝わりやすいのも、
塩見的には非常に嬉しいポイントでありました。

こうして、当日の会場において出来る最大限のエンターテイメントを追求しいくのですが、
「何をしたらお客様に楽しんでもらえるのか」と夢想する時間は、
僕にとって大好きな時間の一つです。

さて、次回はいよいよ公演当日のお話をしたいと思います。
お楽しみに!

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