1. HOME
  2. 塩見のこの世を目覚めさせる音。 by塩見岳大

塩見のこの世を目覚めさせる音。 by塩見岳大

日時:令和4年1月19日
執筆者:塩見岳大
タイトル:塩見のこの世を目覚めさせる音。

「この世を目覚めさせる音。」ってなんでしょう?

2021年に行った和太鼓彩の公演のタイトル。
と、答えられればそれは間違いなく正解です。

でもそれ以上に、言葉としての
「この世を目覚めさせる音。」
ってなんでしょう?

「この世」も「目覚めさせる」も「音」も、
比較的広く解釈できそうな言葉なので、
ちょっと考えてみることにしました。

高杉晋作の言葉で、
「おもしろき こともなき世を おもしろく」
というものがあります。

文章として残っていたものではないので、
それには下の句が続くとか、助詞が異なるとかいう説もありますが、
僕に響いた言葉は
「おもしろき こともなき世を おもしろく」
でした。

この言葉の真意はおそらく高杉晋作にしかわからないでしょうが、
「おもしろき こともなき世を」
の部分には悲観的なニュアンスが含まれているように、
僕は感じます。

この世に面白いことなんて一つもない。
だから自分の力で世の中を面白くしていくんだ、と。

そんな世界への悲哀に対して反旗を翻して、
世界をひっくり返してやる!という威勢の良さを感じて、
この言葉が好きになりました。

でも、しばらくしてから思ったのです。

世の中って自分が面白くする以前に、すでに面白いのでは!?

漫画もアニメもゲームも映画も音楽も、
一級品の娯楽がいとも容易く手に入る今の世の中って、
むしろ面白さに満ち満ちているのでは!?

高杉晋作が今の世の中を見たら、なんと思うのだろう?

面白い世界を、もっと面白くしてやろうと思うのだろうか?

それともこの今の世すらも、面白くないと言い張るのだろうか?

高杉晋作はなんと言うのかわからないけれど、
今の世の中が面白くない、とか辛いとか、
そう言う人はいると思うのです。

何故なら僕も、
本当の偶の偶の偶の偶に、
そう思う事があるので。

でも、僕がこの世を面白くないと感じたその瞬間だけ、
全てのエンターテイメントが滅びていたわけでも、
全ての美しいものが色褪せていたわけでもないと思うのです。

だから僕が面白くないと思った時、
面白くないのは僕自身なのではないかと思いました。

「この世」というものは自身がフィルターとなる事で、
見通す事が出来る世界であるとするのであれば、
自身が面白くなる事で「この世」も面白くなるような気がするのです。

ただ、自身もまた世界の影響を受けるので、
そう簡単に常時面白い状態を維持することは出来ないかもしれません。

それでも必死に、精一杯自らの人生を面白くして行こうと胸に火を灯せば、
「この世」は明かりに満ちて面白くなっていくと、そう感じたのです。

そしてその姿を披露する事で、
誰かの「この世」に明かりを灯し、
その太鼓の音によって
誰かの「この世」が面白くなれば、

それは僕が作り上げる事が出来る精一杯の「この世を目覚めさせる音。」
になるのではないかと思い、
「この世を目覚めさせる音。」を演奏させていただきました。
「この世を目覚めさせる音。」の一部最後の演目、
「散ればこそ」にてメンバーが順に口上を読んで和太鼓のソロを打つシーンがあるのですが、
以上が塩見の口上、

「おもしろく なくてなにが 人生か」

の解説となります。
バイバイ!

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事