1. HOME
  2. 和太鼓彩新作公演「この世を謳歌する音。」を終えて〜変わらずに在り続ける美しきもの達〜 by葛西啓之

和太鼓彩新作公演「この世を謳歌する音。」を終えて〜変わらずに在り続ける美しきもの達〜 by葛西啓之

日時:令和4年1月24日
執筆者:葛西啓之
タイトル:和太鼓彩新作公演「この世を謳歌する音。」を終えて〜変わらずに在り続ける美しきもの達〜

みなさまこんにちは。葛西です。
2022年1月16日、和太鼓彩新作公演「この世を謳歌する音。」@ひの煉瓦ホール、を無事に終えることができました。
当日お越しくださいました皆様、そして応援くださいました皆様、本当にありがとうございました。

さて、本公演では新曲「この世を謳歌する音。」を披露させていただきました。
「今日も和太鼓彩の一員として、皆様の前で太鼓を叩ける喜びを謳歌する」
といったコンセプトの楽曲になっております。
本日は本曲作成に取り掛かった当時の話から、楽曲を完成させるに至るまでの経緯をヒストリーとして残しておきたいと思います。

(注1) 本曲の動画を特別大公開いたします!
動画を見てから読んでいただいた方が一層面白いかと思いますのでぜひご覧ください!

<動画>

(注2) まじで、ほんとに、ウルトラスーパー長いです。
本を読むと思って、何日かに分けてお読みくださいm(_)m笑

(注3) 前回のヒストリーも併せてご参照ください。
https://wadaiko-sai.com/archives/history/211222

それでは、この世を謳歌する旅へ、行って参りましょう〜。


遡ること、約半年前くらいでしょうか。
1月16日の公演を新作公演にすることが決まりました。

当時和太鼓彩は「この世を目覚めさせる音。」(通称:めざ音)のツアー中でありまして、1月16日もめざ音をやるか、それとも新作公演をやるか、で議論していたのですが、メンバーで話し合った末に「新作公演をやろう!」と、決まったのであります。
当時はコロナも若干の収束が見えてきたこともあり、「内容的にももう少し明るいものをー」、そんな方向性で新作公演を作ることに決まりました。

そして和太鼓彩メンバー一人一人がめざ音を踏襲しつつ、公演コンセプトに合わせた新曲を作ることになったわけですが、
私もめざ音と同じく、第一部最後の演目の作曲を担当することになりました。

そこからなんとなく、頭の中で新曲の方向性を考えながら毎日を過ごしていたのですが、実は今回の作曲、全く苦労しなかったのです。
普段であればアイデアをノートに書き出して、あーでもないこーでもないしながら悩み苦しむのが常なんですが、ある時ふと、運転中に歌を口ずさんでいたのです。

「打てよ〜打て〜打て〜たましい〜込めて〜一打に人生〜いのちがけ〜
 打てよ〜打て〜打て〜いのちの〜かぎり〜太鼓で世界を〜きりひらく〜」

と。

いまだに、なぜこの歌とメロディーが降ってきたのか、自分でもよく分かりません。笑
奏のメロディーを作った時と同じ感覚ですね。
きっと自分の中にある色々な感情が科学反応を起こして、外に出てきたんだと思います。

あれ、なんかこの歌、いいな。

そんな感覚を元に、「メンバー一人一人に向けた歌詞を作ってみたらどうだろう?」と思い立ちました。
詳しくは後述しますが、メンバーそれぞれに色んな想いを抱えながら活動していた時期でもありますので、メンバーへのメッセージも込めて、メンバー一人一人に歌詞を書くのも良いかもしれないー
そんな風に思い、車を駐車場に停めてから、車の中で一気に歌詞を書き上げたのでありました。

せっかくなので、愛すべき和太鼓彩のメンバーを一人ずつ紹介しながら、歌詞を全文掲載したいと思います。

【1人目】尾関 龍河(おぜき りょうが)

1月1日より、晴れて和太鼓彩のプロメンバーに加入した尾関くん。
晴れて、というより、念願の、といった感じでしょうか。

尾関くんとの出会いは、彼が高校2年生の時。
私が桐蔭学園和太鼓部の練習に顔を出した際、ひときわ鋭い眼光で太鼓を打ち、見る者を釘付けにする青年がいました。
言わずもがな、尾関くんですね。
私は直感的に、「彼は太鼓で生きる人間だ」と思ったことを覚えています。

チームにはいろんな人間が所属して然るべきで、いろんな人間がいるからこそチームが成り立ちます。
チームを引っ張っていく人間、裏で支える人間、周りを盛り立てる人間。
その全てが大事なわけですが、とりわけ私が好きなのが「世間の常識に囚われず、自分の信念を突き通せる人間」です。
はたから見ると「自分勝手」とか「周りが見えてない」と言われることが多いですが、チームのレベル感やペースを度外視して、自分の信念のためだけに血のにじむ努力ができる人、そして結果で周りを黙らせる人、そんな人を私は「男らしい」と感じますし、ひいてはその人のレベルがチームの力を底上げする(=結果チームのためになる)と考えます。

高校時代の尾関くんは、まさにそんな感じでした。
高校の部活の世界の中で、一人だけ見ている世界が違う、というか、目指しているものが違う、といった感じ。
良くも悪くも性格はとげとげしく、周りに合わせるつもりなんて一切無し、そんな印象。

周りとの合わせ方や細かい礼儀作法は大人になってからでも学ぶことができますが、この、ガッツというか覚悟というか、信念みたいなもの。太鼓に向き合う”想い”というのは、なかなか教えられるものではないんですね。
これを高校生にして持っている彼はとてつもない人間だな、彼には太鼓で世界を変える力があるかもしれないー。そして何より、自分自身が、彼と一緒に太鼓を叩きたいー。
そんなことを確信し、引退公演が終わった後に、「太鼓を続ける気があったら、ぜひ和太鼓彩にきてね」と声がけをしました。

ありがたいことに、翌年、無事大学受験を終えた尾関くんは和太鼓彩へと加入してくれ、一緒に太鼓を叩く生活がスタートしました。
和太鼓彩に加入してからは色々なことがありましたが、中でも彼にとって大きかったのは、新設された学生チーム「WiNGS」の初代代表を務めたことでしょう。
代表を務める中で、高校時には持っていなかった周りへの配慮や気遣い、何より「人間として優しさ」を手に入れ、また一段と大きくなったように思います。
そんな強さと優しさを手に入れた尾関くんが、今年からプロの世界に加入。

もちろん、プロの世界は甘くはありません。
これから先辛いこともあるだろうし、この決断を後悔することがあるかもしれない。「プロの常識」に身動きがとれなくなり、涙を飲みながら舞台に立つこともあるかもしれない。

それでも尾関よ、自分の信念を曲げるな、と。
最後に世界を切り開くのは他の誰でもない、尾関自身なんだ、と。

そんなメッセージを込めて、下記の歌詞を捧げました。


打てよ〜打て打て〜尾関龍河〜(打てよ〜打て打て〜尾関龍河〜)
我らが誇る〜スーパールーキー(我らが誇る〜スーパールーキー)
まだまだ世界を知らないけれど〜(まだまだ世界を知らないけれど〜)
お前が世界を作ってこい〜!(お前が世界を作ってこい〜!)


まだまだ世界を知らない尾関ではありますが、彼の信念は必ずや皆様に明るい希望と光を届けてくれることと思います。
どうぞ皆様、温かい応援のほど、よろしくお願いいたします。

・・・やばい、一人目でこの文量、、、はたして終わるのか。。笑
とりあえず突き進んでみましょう。笑

【2人目】鈴木 海(すずき かい)

2人目はこの方、海くん。
尾関くんと同期入団にして、2年前にプロになった海くんです。
海くんと出会って早4年が経とうとしてますが、正直、いまだに私、海くんのことがよく分かってないのです。笑
といいますのも、海くんってすごい不思議な人間だと思うんですよね。
入団時は割と大人しめで稽古にも誰よりも真面目に取り組むタイプ。めっちゃ真面目なんだな〜と思いきや、だんだんとメッキが剥がれてきて(褒め言葉笑)、今では飲み会では誰よりもはっちゃけるし、稽古中も率先してギャグをかましたりする。
稽古中や演奏中にマイペースな一面もあれば、後輩の面倒見がめっちゃ良かったりする。
捉えどころのない不思議な男なのです、海くん。(褒め言葉 *二度目笑笑)

そんな海くんですが、絶対にブレないことがあります。
それは「大太鼓」。
私、海くんの大太鼓演奏がめっちゃ好きでして。
恐らく彼自身の中ではまだまだ発展途上で、この先目指している演奏や目指している人がいると思うんですが、そんな思いも含めて、海くんの大太鼓ってどんな時も、「いや〜、めっちゃ良いわ〜」って思えるんです。
これ、チームの代表としてはとても幸せなことで。

プロでやる上で、「ここは彼に任せておけば大丈夫」って思えることって、めっちゃありがたいことなんですね。
どんな現場でも、どんな演奏シーンでも、「ここぞ」という時に海くんに大太鼓ソロをお願いすると、必ず会場の空気が締まり、一変するんです。
公演全体がどんなにおちゃらけていても、彼がドン!と大太鼓を叩いてくれれば、和太鼓彩の大切な何か(信念だったり、重みだったり、歴史だったり)が担保されるー、そういう安心感があります。

海くん自身、プロメンでは唯一桐蔭学園和太鼓部出身ではない中で、きっと色んな悩みや葛藤がある2年間だったと思いますが、その中でも和太鼓彩の信念というかDNAみたいなものを必死に吸収しようと思ってくれたからこそ、この安心感があるんだと思っています。
だからこそ私にできることは、その努力と謙虚さに敬意を表して、彼が大太鼓を打ち続ける場を用意し続けてあげることなのかなー、なんて思っているのであります。

そんな海くんには、下記の歌詞を贈りました。


打てよ〜打て打て〜鈴木海〜(打てよ〜打て打て〜鈴木海〜)
我らが誇る〜大太鼓打ち〜(我らが誇る〜大太鼓打ち〜)
ちょっぴり体は小さいけれど〜(ちょっぴり体は小さいけれど〜)
音の〜でかさは日本一〜!(音の〜でかさは日本一〜!)


この2年間私自身、海くんにたくさんの迷惑や心配をかけてしまいましたが、その分これから先、彼が大太鼓を打つ場は私が守ってやりたいー、と、微力ながら代表として、そんな風に思います。

・・・・やばい、二人目でこの文量。。。(二度目 笑)

【3人目】酒井 智彬(さかい ともあき)

3人目はこちら、酒井くん。
彼もまたどこから話せばいいのやら・・・というくらい濃い付き合いになってきましたが、この2年、酒井くんの「真っ直ぐさ」に救われたことが幾度もありました。

彼は生粋のお祭り大好き男でして、大学時代に日本各地の民俗芸能を駆け巡っていました。その経験があって、恐らく和太鼓彩の面々の中で一番、「伝統芸能の本質」に近い男であり、かつ、「伝統芸能を愛している男」だと思うんです。

誤解のないように説明しておきますと、もちろん和太鼓彩の面々、全員が伝統芸能を愛しています。しかしその愛し方は様々で、それを加工したり、洋のビートを取り入れたり、いろんな調味料を織り交ぜながら「楽曲」という料理を作っていくわけですね。
酒井くんはその中でもとりわけ「素材の味」を大事にするタイプで、恐らく伝統芸能そのものを真っ直ぐに愛し、真っ直ぐに届けたい、そう願っている人間だと思います。
和太鼓彩はご存知の通り20代の男達が中心のチームであり、且つ、割と色々なことに積極的にチャレンジする風潮があるので、事によっては穿った見方をされる時がよくあるわけです。
「こんなのは太鼓じゃない!」とか、「伝統じゃない!」とか。

もちろんそういったお声は誠心誠意に受け止めつつ、ではありますが、そんな時に力になるのが、酒井くんの「真っ直ぐさ」なわけであります。

演出的にやりすぎてたり、奇をてらいすぎていると、酒井の「真っ直ぐセンサー」が反応して、「これはちょっと違う気がします〜」みたいに言ってくれたり、実際この2年間、「散ればこそ」の木遣りをはじめ、打祭のオープニングで行った前口上や、晴れ囃子など、酒井無しでは成り立たない「伝統的な演出」が数え切れない程ありました。
酒井がいてくれるだけで、和太鼓彩が「きちんと伝統に則ったチーム」として見てもらえるわけで、本当に、酒井の知識・経験というものはもはや和太鼓彩になくてはならない存在なわけですね。

酒井の真っ直ぐさは曲作りのみならず日々の生活色んなところで垣間見えるわけですが、えてして大人の社会では「真っ直ぐさ」だけでは生きていけないのも常なものでして。
時には裏工作が必要だったり、駆け引きが必要だったりするものですが、酒井くんは真っ直ぐすぎるがゆえに、そういった所が非常に不得手なんですよ。
それゆえ時に痛い目にあったり、私自身も叱ってしまったりして、彼自身もがきながら日々を過ごしていることと思いますが・・・

それでもやっぱり、最後に世界を変えるのって、酒井みたいな人間の「真っ直ぐさ」だと思うんですね。
これから先大人になるにつれて色んなことがあると思うけど、彼が心に灯す信念、真っ直ぐな思いを死ぬまで貫いてほしい。
そんな思いを込めて(たまに叱ってしまう私自身への自戒の念も込めて笑)、彼には下記の歌詞を贈りました。


打てよ〜打て打て〜酒井智彬〜(打てよ〜打て打て〜酒井智彬〜)
我らが誇る〜お祭り男〜(我らが誇る〜お祭り男〜)
ちょっぴりドジっ子だけれども〜(ちょっぴりドジっ子だけれども〜)
死ぬまで真っ直ぐ突き進め〜!(死ぬまで真っ直ぐ突き進め〜!)


・・・・やばい、三人目でこの文量。。。(三度目 笑)

【4人目】渡辺 隆寛(わたなべ たかひろ)

さて4人目はこの方、なべっち。
言わずとしれたスーパーアイドル。

なべっちは、ある意味酒井とは真逆の存在。
新しいものとの融合・新たな創作を得意とするタイプで、楽曲のみならず、プロモーションやSNSの運用など、常に最先端の技術を追いかけ、自分のものにしてしまう器用な男です。

でもなべっちの良さって、ものすごく不器用なところだと思うんですよね。
彼を大学1年生の時から見てきてますが、こんな不器用なやついるか!?ってくらい、生き方が不器用なんです。
自分の言いたいことは押し込んで溜めちゃうし、周りの空気や温度感を常に察知して自分のことを二の次にしてしまう。
(んでもって若干不機嫌になる。笑笑)

そんな彼を時に微笑ましく、時に叱ったりもしながら見てきたわけですが、
では、なぜそんな不器用な彼が「新しいものとの融合」を得意として、「最先端な技術を自分のものにできる」のか?
器用にいろんなものをこなすことができるのか?

それはひとえに、彼が誰よりも時間をかけて努力しているから、だと思うんです。
プロになってなべっちと一緒に過ごす時間が多くなってから気づいたことは、「こいつ、影の努力をめちゃくちゃしているな」ということ。
本来だったらできないはずのことを、きちんと時間をかけて、次に会った時にはやってのける。
しかも、その時間を確保するために生活リズムまで計算して、自分の精神状態を保つためのルーティンも徹底しながら何事もやりきるわけです。

これを見るにつけて、「いやぁ、プロやなあ。」と私は思うわけであります。

アイドルとは何か?
様々な意見があることと思いますが、やはりアイドルとは「偶像」。
日常生活では接し得ない「天使」のような存在なわけですね。
だからこそ、ある意味アイドルは負の部分をひた隠しにしないといけないし、そこに人間的な泥臭さがあってはならない。

これを「和太鼓」という楽器で成し得た人はいまだかつていたでしょうか?
和太鼓はある意味「泥臭さの象徴」のような楽器なんですね。
汗水流して稽古するのが当たり前、舞台上でも汗水流して、しんどそうな顔をして叩く。
むしろ、それを全面に出すのが正義、みたいなところがあります。

しかしなべっちはそんな和太鼓の強みを捨て、いかなることも涼しい顔しながらやってのけるスーパーマンのようなブランディングを徹底し、それをやってのける。
その覚悟たるや。

恐らく和太鼓界でここまで太鼓の強みを捨て、別のブランディングで生きる人間は唯一無二じゃないかと思います。
私は、そんな「スーパーアイドル なべっち」が和太鼓界において天下を取る様を見てみたい。
彼が普通の和太鼓奏者では考えられないフュージョンやデジタルを駆使しながら、なんでもかんでも涼しい顔してやってのける様をこれからも見届けたい。
そんな思いを込めて、この言葉を贈りました。


打てよ〜打て打て〜渡辺隆寛〜(打てよ〜打て打て〜渡辺隆寛〜)
我らが誇る〜スーパーアイドル〜(我らが誇る〜スーパーアイドル〜)
もうすぐ三十路を迎えるけれど〜(もうすぐ三十路を迎えるけれど〜)
あんたは一生アイドルさ〜!(あんたは一生アイドルさ〜!)


なべっちの「泥くささ」を見られるのは、彼の努力の側にいる我々メンバーの特権ですね。笑笑

・・・・やばい、四人目でこの文量。。。(四度目 笑)

【5人目】塩見 岳大(しおみ たけひろ)

さて、5人目はこのお方。塩見大先生。
彼はですね、本当に、わたくし、入団以来彼のせいで色んな痛い目に会い続けてきたわけですよ。笑

印刷物の入稿期限は守れないし、入稿したと思ったら大事なところで誤字があるし、演奏でも年に3回はありえないミスするし・・・
おかげでクライアントさんに頭を下げたことは数え切れず。

とまあそんな感じで恨みつらみは山のようにあるわけですが笑、なぜか塩見のことって憎めないんですよね。
きっと、痛い目にあったのと同じくらい、いやそれ以上に、塩見に救われたことがたくさんあるからなのでしょう。
もはやそこに理屈はないんです。
たとえ塩見がどんだけポンコツでも、ポンコツすぎて世界中を敵にまわしたとしても、私は、和太鼓彩は、塩見という存在を理屈抜きに愛してしまっているんです。
そんな塩見の全てを、大きな愛をもって包み込んでやりたいな、と。

そんな思いも込めて、下記の歌詞を贈りました。


打てよ〜打て打て〜塩見岳大〜(打てよ〜打て打て〜塩見岳大〜)
我らが誇る〜お笑い担当〜(我らが誇る〜お笑い担当〜)
なんだかいろいろポンコツだけど〜(なんだかいろいろポンコツだけど〜)
俺らは塩見を愛してる〜!(俺らは塩見を愛してる〜!)


・・・5人目は短めになりました。笑

【6人目】齋 英俊(さい ひでとし)

さて、6人目は齋くん。
もはや和太鼓彩の中では最古株になった齋くん。
彼とは本当にいろんな修羅場をくぐり抜けてきました。戦友ですね。

今になって思うとある意味大きな分岐点だったかなと思うのが、2017〜2019年の頃。
当時和太鼓彩ではダブルブッキングが多く、私と齋くんは別々の現場の引率者として向かうことが多かったので、この頃から齋と一緒に太鼓を叩く機会が大幅に減っていったんですね。
特に海外公演は顕著で、基本的に海外は齋、国内は葛西、という分け方をしていたので、齋と一緒に海外で演奏したのは恐らく2〜3回ほどしかありません。

現場が違えば、その時に見たもの、刺激を受けたものも違います。
インプットが違えば、アウトプットが違ってくるのも当然。
コロナになって現場数が減り、数少ない演奏を改めて一緒にやっていく中で、「あれ、私と齋では、目指している音楽性や団体の方向性が微妙に違うのかもしれない…」そんな風に思ったことがありました。
その中で口論になったこともしばしばあったわけですが、思い返せば、齋くんの存在は和太鼓彩の成長において欠かせないものだったのです。

さかのぼること10年前。
和太鼓彩が「衝動」を敢行した時、「衝動をツアー化しよう!」と提案したのも齋くんでした。
まだまだ演奏機会がなかった頃、「とにかく色んな場所で演奏してファンを増やそう!」と提案し、駆けずり回っていろんな演奏を取ってきてくれたのも齋くんでした。
プロになった当初、「まずはWEB上で仕事を取ってこよう!」と提案し、HPやSEOを率先して勉強してくれたのも齋くんでした。
私が現場にいない時にとあるクライアントさんをとある事情で怒らせてしまい、泣きながら頭を下げ、場をおさめてくれたのも齋くんでした。
当時副代表だった山田くんが団体を辞めた後、穴の空いた「メインプレイヤー」の枠を必死に埋めてくれたのも齋くんでした。
2019年、東京国際フォーラムにて披露した「歩み」。団体の今後を照らす大切な一曲を作ってくれたのも、齋くんでした。

こうして考えて見ると、何を恐れることがあろうか、最初から私と齋で考え方・やり方は違っていたのです。
むしろ違ったからこそ、ここまで和太鼓彩は大きく成長できた。
その根本にある「和太鼓彩」という団体への揺らがぬ愛情があれば、微細な違いは強みにすら変わるー、
そんな当たり前のことに気づけた1年でした。

そして2021年、もう一つ大きな出来事が。

ここだけの話(と言いつつWEB上で大公開してますが笑)、2021年、私から齋くんに、「私が和太鼓彩を卒業して、齋が代表として団体を引っ張っていってくれないか」という話をしたことがあります。
これには書き切れない程の理由がありますが、主に一つは、コロナ禍の中でメンバーにもきちんと給料を払えない中、せめて私の分だけでもメンバーで割ってもらった方がいいんじゃないか、という思い。
それともう一つは、私自身が和太鼓彩で何を表現していくべきかが分からなくなった時期もあり、身を引いた方がよいのではないか、という半ば身勝手な考え。
ざっくりいうと、以上の2つのような理由から、齋に代表引き継ぎの依頼をしたことがあります。

しかし不思議なもので、彼は一向に認めてくれないんですね。
認めないどころか、真に受けてすらくれませんでした。
私からすると、齋くんほどの頭脳と行動力があれば、いくらでも団体を牽引していけるー、と心から思っているわけでありますが、そんな齋くんが「代表は葛西しかいない」と言ってくれるわけで、
正直コロナ禍の中私も右往左往し、メンバーにも幾度となく迷惑をかけたのですが、それでも尚、彼は最後まで私のことを信じてくれたのです。

きっと齋くんからしたら、もはや先輩とか後輩とかそんなのは関係なく、一緒に走ってきた仲間として、「死ぬときは一緒だ!」と思ってくれていたんだと思います。
そんな齋くんはじめ、メンバーの支えがあって、私自身も再び見えない暗闇の中に光を求めて立ち上がることができたのでした。

そんな齋くんにはこれまでの感謝と、そして、これからも共に和太鼓彩という団体で走り続けることへの誓いを立てて、下記の言葉を贈りました。


打てよ〜打て打て〜齋英俊〜(打てよ〜打て打て〜齋英俊〜)
我らが誇る〜元気印〜(我らが誇る〜元気印〜)
酸いも甘いも〜見てきたけれど〜(酸いも甘いも〜見てきたけれど〜)
お前がいるから彩がある〜!(お前がいるから彩がある〜!)


・・・六人目ですでに9,000字。
誰か読んでくれてるかしら。笑

【7人目】WiNGS

続いて7人目、WiNGS。
本来であればWiNGSメンバーも一人一人名前をあげて歌詞を書きたかったところではありますが、公演時間の都合上、今回はまとめさせていただきました。
(一人ずつ歌詞書いて、4月のWiNGS公演で使ってもらおうかな笑)

手前味噌になりますが、WiNGSの子達って、本当に日本の未来足り得ると思うんです。
こんな良い若者たち他にはいないぞ!と全国の企業の採用担当者に声を大にして言いたいくらい。

何が良いって、まず大きな声できちんと挨拶ができること。
当たり前のことですが、当たり前のことが当たり前にできるってすごいことですよね。

続いて、自分の弱みをさらけ出せること。
えてして10代後半〜20代前半って、自分の弱みから逃げてしまったり隠してしまったり、そういう方に向かいがちですが、舞台上で逃げ場がなくなった経験を積んだ彼らは、気持ちいいくらいに「ありのままの自分」で戦っています。
もちろん、時には背伸びしたりカッコつけたりもしますが、それでも体一つで恥も外聞も捨てて、「ありのままの自分」をさらけ出している彼らを見るたびに、めちゃくちゃ気持ちのいい若者達だな、と、そう思うのです。

これを見るにつけても、「和太鼓」という楽器の懐の広さ、教育的価値の計り知れなさを常々感じる次第であります。

もちろんまだまだ世間を知らない若者たち。
礼儀がなっていなかったり、感謝の気持ちを素直に表現できなかったり、
いろいろと「生意気」な所はあるわけですが、そんな細かいことはさておき、
「どんな場面だろうと等身大でぶつかっていく若者たち」の姿の先に、私は日本の明るい未来を見るのであります。

そんな彼らに、下記の歌詞を届けました。


打てよ〜打て打て〜WiNGS〜(打てよ〜打て打て〜WiNGS〜)
我らが誇る〜日本の希望〜(我らが誇る〜日本の希望〜)
お前ら生意気だけれども〜(お前ら生意気だけれども〜)
生意気上等〜世界へ羽ばたけ!(生意気上等〜世界へ羽ばたけ!)


彼らの中にはこれから先、太鼓を続けない選択をする者も出てくるでしょう。
しかし太鼓を続けるにしろ、続けないにしろ、このWiNGSという団体でもがいた自分に誇りを持って、そして、WiNGSの名に恥じぬよう世界に羽ばたいていってほしい、と切に願う私なのであります。

・・・ようやくたどり着きました。
次で最後です・・!!

【8人目】葛西 啓之(かさい たかゆき)

さて最後はわたくし、葛西です。
恥ずかしながら、自分の歌詞も自分で書かせていただきました。笑

個人的には至極シンプルでありまして、私もイチ人間なんですね。
えてして後輩達から「葛西は人間じゃない」とか「葛西は強いからどんな時も大丈夫」とか思われがちなんですが、そんなことはございません。

たまには風邪もひくし、人並みに悩みもするし、ましてコロナで演奏がなくなったとなれば精神的にまいったりもするわけです。
どこまでも融通がきかないので常に0か100かでしか物事を判断できないし、機嫌に左右されて時には理不尽に怒ることだってあります。

それでも、そんな人間臭い代表だけども、願わくはこれからもついてきてほしい。
そんな私の“願い”を、後輩達に叫ばせるー
というなんとも身勝手な歌詞になっております。笑


打てよ〜打て打て〜葛西啓之〜(打てよ〜打て打て〜葛西啓之〜)
我らが誇る〜不滅のリーダー〜(我らが誇る〜不滅のリーダー〜)
全然融通きかないけれど〜(全然融通きかないけれど〜)
怒るとめっちゃ怖いけど〜(怒るとめっちゃ怖いけど〜)
俺らはあんたについてくぜ〜!(俺らはあんたについてくぜ〜!)


まあこれはある種、和太鼓彩&WiNGSの面々にこの歌詞を叫ばせることで、自分の逃げ場をなくす。
コロナになろうと世界が滅亡の危機にさらされようと、俺がこのチームを守るんだ!という、ある種自分への宣言、自分の背中を押すための自分へのメッセージみたいなものになっています。
このあたりはだいぶ内向きな曲で、申し訳ございませぬ。

ここで美談を一つ。
本曲は「紹介された人がソロを披露して、次の人を紹介する」というリレー方式で進行していっておりまして、当初、WiNGSがソロをやった後にWiNGSが葛西の紹介をする、という流れになっていたのですが、
ある日齋くんから、「葛西の紹介は俺にやらせてくれ!」と申し出がありまして。
本番では齋くんにマイクを渡し、紹介してもらった次第であります。
いや〜本当に嬉しかったですね。ありがとう。

さあ、いよいよ最終章突入。
現時点で10,500字。卒論か。笑
どなたか読んでくださる方がいることを祈りつつ・・・

最後は私たち自身とお客様、そして、和太鼓彩を応援してくださる全ての皆様への感謝を込めて、下記の歌詞を作らせていただきました。


打てよ〜打て打て〜和太鼓彩〜(打てよ〜打て打て〜和太鼓彩〜)
打てよ〜打て打て〜和太鼓彩〜(打てよ〜打て打て〜和太鼓彩〜)
コロナも大変だったけど〜(コロナも大変だったけど〜)
何度も喧嘩をしたけども〜(何度も喧嘩をしたけども〜)
それでも俺らは彩が好き〜!(それでも俺らは彩が好き〜!)

打てよ〜打て打て〜和太鼓彩〜(打てよ〜打て打て〜和太鼓彩〜)
死ぬまで打て打て〜和太鼓彩〜(死ぬまで打て打て〜和太鼓彩〜)
死んでも打て打て〜和太鼓彩〜(死んでも打て打て〜和太鼓彩〜)
打てよ〜打て打て〜(打てよ〜打て打て〜)
打てよ〜打て打て〜(打てよ〜打て打て〜)
打て打て〜(打て打て〜)
打て打て〜(打て打て〜)
打て打て〜(打て打て〜)
オー!!!



さらにここに「前口上」と「締め口上」をつけたのですが、
あーでもないこーでもない、と悩んだ末に、前口上と締め口上を切り分け、
前口上は和太鼓彩プロメン登場シーンの冒頭に、
締め口上は曲の最後に、WiNGS含めて全員が一列となってお送りいたしました。


<前口上>
打てよ〜打て打て〜たましい〜込めて〜一打に人生〜いのちがけ〜
打てよ〜打て打て〜いのちの〜かぎり〜太鼓で世界を〜きりひらく〜

(動画) 

<締め口上>
太鼓を〜叩ける〜この喜び〜皆々様に感謝します〜
太鼓に〜捧げる〜我らが〜いのち〜めでたく〜見届けてください〜

そしてそして最後には、めざ音の開幕の一打を引き継いで、私が閉幕の一打を打って幕が降りる・・・という演出になっております。
めざ音をご覧くださった皆様に「オツな演出やな〜」と思ってくださっていただけておりましたら、とても嬉しいです。笑

以上が、「この世を謳歌する音。」全貌でございます。ふぅ。。。

さて、恐らく葛西のヒストリー史上最長の12,000字のレポートとなりました。
何回かに切り分ければよかったものの、この曲はどうしても一回で書き上げてしまいたく。
お付き合いくださいました皆様、本当にありがとうございました。

最後になりましたが、本曲は私たち和太鼓彩・WiNGSの面々が、私たちにとって大切な礎(=和太鼓彩)と向き合う非常に内向きな曲となっておりますが、それを一つのメタファーとして、皆様お一人お一人がご自身の大切なものへと向き合うきっかけになってほしい、そんな願いを込めています。

コロナで一変した生活、社会。
その中でも変わらずに私たちを支えてくれる仲間・家族、そして地球。
そういった「変わらずに在り続ける美しきもの」への感謝を忘れずに、明日からもたくさんの皆様とこの素晴らしき人生を謳歌できましたら、これ程嬉しいことはありません。

和太鼓彩・WiNGS共々、これからも太鼓に命を捧げて、皆様に良き演奏をお届けしていく所存でありますので、どうか皆様、めでたく見届けてくださいますと幸いです。

それでは、また公演でお会いしましょう!
ありがとうございました!!!

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事