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「ハレのちユキ」-新たな和太鼓公演の形- by塩見岳大

日時:令和4年2月26日
執筆者:塩見岳大
タイトル:「ハレのちユキ」-新たな和太鼓公演の形-

オンライン会議の結果、
2011年12月24日のシャッフルライブで「鼓劇」を行う僕達のチームは、
「彩座 -irodoriza-」と命名された。

それゆけ「彩座 -irodoriza-」!
突き進め「彩座 -irodoriza-」!!!

…と言ったものの、台本はどうしたものか…

今回、テーマ的な制約は特になく、
決まっているのはメンバーだけだ。
塩見、渡辺、宇田、東野、琉生加、
この五人が演じて最高に面白くなるシナリオを作るのだ。
いや、どうせ作るなら、
この五人だからこそ最高に面白くなるようなシナリオを作ろう!
そんな想いを胸に宿しながら、僕はアイデアを模索した。

五人という規模感で演じた劇モノとい言えば、
やはり2016年10月21日に行った、
第8回特別企画 「しおさいの逆襲」。
その公演中の伝説の企画、
「しおさいの逆襲 -黒蝶と六つの神器」を思い出す。

こちらは剣と魔法のファンタジー冒険劇で、
仲間と共に六人のパーティを組んで、
魔王を討伐するといったシナリオだ。

コメディ要素多めで、ゲームファンタジーあるあるを詰め込んだ内容ではあるが、
個人的には傑作だと思っている。

公演内で複数の仲間キャラクターを掘り下げた上で、
大きな目標を達成するという構成は鉄板だ。

今回、「しおさいの逆襲2」でもやってしまおうかと思ったが、
それではこのメンバーでやる意味がない…

せっかくなら、琉生加の新人設定は台本の中でも生かしたいと思った。

これは僕のソロライブで行った鼓劇の収穫だったのだが、
台本中のキャラクターが宿す想いと、現実の人格が宿す想いが近いと、
より感情移入しやすくなり、爆発力が生まれる。

プロの演者ならば自分と一切関係のないキャラクターへ、
瞬時に感情移入しなければならないのかもしれないが、
生憎こういった劇を演じるのが初めてのメンバーも多い。

ここぞという時に爆発する想いが、
キャラクターと演者でリンクするのであれば、
それに越したことはないだろう。

和太鼓は爆発する感情を表現する楽器としては最適であると思うので、
その流れをサポートするようなシナリオを作りたいと思った。

その上で、演者五人が胸に抱えている感情は何か?
舞台で爆発させたら面白い感情は何か?

考えてみると、ぴったしのテーマがあった。

それは「消えていく舞台の恐怖」。

この二年間、僕達の演奏するはずだった舞台は、
新型コロナウイルスの影響で数多く消えていった。

それは社会情勢的に仕方のないものかもしれないが、
舞台が消えていく度に、
自分達の心が削られていくかのような恐怖を感じた。

もっと多くのお客様の前で、
もっと多くの舞台で和太鼓を演奏したい。

そんな感情を燻らせている事、
それが僕達の共通する感情だと思った。

これに火を付ければ、
面白い爆発が生まれるかもしれないと思ったのである。

丁度、12月24日公演当日はクリスマスだったので、
僕達和太鼓奏者をハレの日の神様に置き換えて、
公演をハレの日に置き換えて、
失くしてしまったハレの日を見つけ出す物語を演じようと思った。

このアイデアが出てきてから台本作りは加速した。

12月24日を起点に、周辺のハレの日をリストアップして、
それぞれのハレの日にキャラクターを付与していった。

この時、それぞれのキャラクターがどのように和太鼓を用いて、
その魅力を発揮する事ができるかを並行して考えなければならないのが、
この鼓劇の特殊性であるだろう。

しかし、演出に関しては渡辺と東野の作曲能力を勘定に入れれば乗り越えられない事はないと思っていたし、
渡辺の音源作曲能力も加味して、オーケストラありきの楽曲も選択肢に入れる事が出来たお陰で、台本制作はスムーズに進んでいった。

台本が出来上がらなければ、作曲も、台詞覚えも、太鼓練習も何も出来ないので、
急いで作らなければならないという気持ちはあったのだが、
「消えていく舞台の恐怖」というアイデアが生まれてからは想像以上に筆が進み、
10月の中旬に台本を書き終える事が出来た。

再び行った「彩座 -irodoriza-」のオンライン会議にて、
僕は出来上がった台本を全て音読した。

こうして今回僕達が行った鼓劇のシナリオ、
「ハレのちユキ」は完成したのであった!

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