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鼓劇「イケメン二十面相」④本番!和太鼓劇! by塩見岳大

日時:令和5年1月19日
執筆者:塩見岳大
タイトル:鼓劇「イケメン二十面相」④本番!和太鼓劇! by塩見岳大

2022年6月26日。
塩見岳大生誕祭2022。
いよいよ本番を迎えました。

三度目ともなれど、やはりソロライブというものはとてつもなく緊張するもので、
それはメンバー皆で行う公演とは比較になりません。

素直に一人で舞台に立つという事自体にプレッシャーはもちろんありますが、
1時間分の新曲を覚えている脳内メモリの圧迫や、
演技、演出など演奏に比べて未熟な部分への不安、
一人で演奏し続け、喋り続ける事への体力的な懸念、
そしてそもそも自分のライブは本当に面白いのか、
というソロライブ本番直前に毎度悪魔のように襲ってくるネガティブイメージなど、
複数の要素が合わさって心臓を握り潰しにくるのです。

とはいえ三度目ともなるソロライブ、
最早そういった緊張が不要であることを理性的には理解していたので、
不安を振り払い、自らのライブが最高に面白く仕上がったと信じ抜き、
一人、舞台上に上がっていきます。

今回、登場と同時に披露した楽器は…歌です!!

登場と同時にお客様の不意を突いてやろうという気持ちは確かにありました。
でもそれだけではなく、
登場と同時に音源を鳴らしながら、
テンション高めで物語の方向性を説明する、
というミッションを解決する手段として歌が最も適していると思ったのです。

幾多の仮面で女性を口説く主人公、
イケメン二十面相は舞台中で次々とその仮面を変えていきます。

ちゃんとした和太鼓の演奏一本目は大太鼓を演奏しました。
「硬派イケメン」の仮面を被った主人公が演奏する大太鼓ソロ。

漢らしさを前面に押し出して大太鼓を演奏しつつ、
自ら「漢!」と何度も連呼するこの楽曲。
「本当に硬派で漢らしい男なら黙って大太鼓叩けやー」
って心の中でつっこんでもらえていたなら幸いです。
この曲で早くもワイシャツが汗でビショビショになって肌にくっつき始め、
スラックスにベストという格好を選んだことへ若干後悔します。

続いて、演奏したのは「パーティーピーポーイケメン」の仮面で演じるセット打ちの一曲。

この曲は個人的にかなりお気に入りです。
流れるようなセット打ちから、自然とジョッキ一気飲みのモーションへと移行する振付は渾身のワンフレーズです。
動きを入れつつもリズムは妥協しないという、
絶妙なバランスで成り立っているとかそういう話を、
公演後メンバーに語ろうと思っていたのですが、
曲中に入れた掛け声「飲みまーす♪」でいじられまくって、
そんな話をする間もありませんでした。

そして喫茶店で働くなんの仮面も被らない、
主人公の日常シーンの演技を挟み、
続いて披露したのは「ツンデレイケメン」の仮面で演じるチャッパの一曲。

これは楽曲というよりはお笑いネタ枠ですね。
ネタはもちろんですが、演じている時の表情、
そしてチャッパの絶妙な余韻がもたらすシュールな間、
など作り込んでいるんですよ!
まぁ、八割は勢いですが 笑

その次に披露したのは「弱気だが母性をくすぐる感じのイケメン」の仮面で演じる締太鼓の一曲。

これは仮面の名前ほどネタに振った演目ではなく、
締太鼓の繊細なピアニッシモの音粒を楽しんでもらうために作った演目です。
もし僕の顔芸で締太鼓の繊細な音を楽しむことが出来なかったというお客様がいらっしゃいましたら、謹んでお詫び申し上げます。

そして次の楽曲を作るのに一番時間がかかりました。
「HIP HOPイケメン」の仮面で演じる長胴太鼓とラップの一曲。

いまだかつてラップをやった事はありませんし、
作った事もありません。
ただ、音楽業界の中でも比較的新しくて、勢いのある世界としてラップには興味がありました。
色々な楽曲を聴いて、ラップバトルを見て、呂布カルマさんのYOUTUBE切り抜き動画を見て、
制作した楽曲です。

ラップの練習は大変でしたが、
和太鼓と未知のジャンルの掛け合わせによって新しい世界が切り開ければと思いました。
和太鼓の新しい可能性を少しでも皆様に感じていただけたのであれば幸いです。

続いて「ネクライケメン」によるチャンチキとセット打ちの楽曲。
チャンチキを打ちながら、暗い唄を歌った後にセットで打ち込む楽曲です。

ネガティブな感情の楽曲は個人的に演奏していて楽しんですよね。
マイナスの感情が爆発した時ってものすごいエネルギーが生まれると思うのです。
それを形にした楽曲です。

そして、「寄り添うイケメン」の仮面で演じる長胴太鼓と唄の一曲。

こちらは東京という人が溢れる大都会にいながら、
孤独を感じて、寂しさを歌う楽曲です。
でも、曲調は暗いものにしたくなかったのです。
寂しさを噛みしめながらも、
ちょっと不貞腐れる事があっても、
それでも前を向いて歩いていく強さを描きたかったのです。
良い具合に哀愁が出ていてこちらもお気に入りの一曲です。

そして最後は全曲メドレーを披露。

物語の最後にカタルシスが欲しかったのですが、
どうやって演出しようか非常に悩みました。
でも最後はずっと仮面をかぶり続けていて、
それに引目を感じていた主人公が自らの多面性を認めてあげて、
今まで出てきた数々の仮面を一気に演じるというのは、
物語としても、ライブとしても最大公約数的にワクワクする演出かなと思い、
演奏させていただきました。

僕自身この時点ではもう体力も限界を迎えていたのですが、
あの時の僕は塩見岳大ではなく、イケメン二十面相だったので、
溢れ出る感情が身体を動かしてくれました。

こうして無事全曲を終えて、
ソロライブを締めくくったわけでございます。

今回も挑戦的なライブ内容となりました。
お客様も、一体なんのライブに来たのだろう?
と思った方がいらしゃっるかもしれません。

でも、こんな挑戦を受け止めてくださるお客様がいるから、
楽しんでいただけるお客様がいるから、
僕はこのライブをやり遂げる事が出来たのだと思っております。

これからも様々なチャレンジに挑み、
とんでもない方向性に走っていく事もあるかもしれません。
でも、僕はお客様と一緒に面白いものを探していきたいと思っていますので、
是非これからも付き合っていただけると幸いでございます。

ありがとうございました!

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