僕達は騎士になりました by塩見岳大
日時:令和3年2月15日
執筆者:塩見岳大
タイトル:僕達は騎士になりました
2017年、僕達は騎士になりました。
え?寝言は寝て言えって?
いえいえ、2017年に行った「Q」ツアーで僕たちは本当に騎士を演じたのです!
以前の記事で「Q」のチラシデザインについて語りました↓
https://wadaiko-sai.com/archives/history/200626
なので、今回は演者として「Q」を語っていきたいと思います。
そもそも「Q」とはどんな公演だったのか。
公演自体は三幕構成で、
第三幕には女王と彼女を守る騎士達の物語を「Tales of The Queen 」と題して演じました。
この「Tales of The Queen」というのがこの公演の核であり、
この演目について今回は腰を据えて語っていきたいと思います。
まず!
僕、塩見岳大はファンタジーが大好きだ!!!
そしてゲームや漫画におけるファンタジーで土台となりやすいのが、
この中世ヨーロッパの世界!
剣、甲冑、城、馬、それらのキーワードを聞くだけでも、
気持ちが昂っていくのを感じます!
この企画が進行し始めた頃…
「こういう世界観だったらこういうキャラいるよね!」
「こういう展開だったらやっぱりこうなるよね!」
と、僕や齋が熱く妄想を育んでいると、
代表の葛西は一人ポカーンとしていました。
実は葛西、ファンタジーやゲームなどといったものとは無縁の少年期を過ごしていたようで、
僕達はまずこの熱量の差を埋めるところから始めました。
しかし、一度踏み出してしまえば、
葛西も含めて心は少年ばかりの彩メンバー!
目まぐるしい勢いでどんどんと世界観を固めていきます。
この女王にはこんな過去があって…
騎士はこんなキャラで…
それこそ本当に少年のように語り合いました。
そんな少年達が、考えて、煮詰めて、練習を繰り返し、
そして出来上がったのが「Tales of The Queen 」です!
「Tales of The Queen 」は三つの楽曲から成り立ちます。
女王の安息(メヌエット)
女王の聖戦(マーチ)
女王の遺志(レクイエム)
まずは女王の安息(メヌエット)から話しましょう。
齋作曲のこの演目では、
戦争が始まる前の平和に満ちた女王の国にて、
舞踏会で優雅に踊る騎士を演じました。
物語の導入にもなるので、
この演目でお客様を中世ヨーロッパの世界へと引き込まなければなりません。
なので、今までの和太鼓彩ではあまり演奏してこなかった、
軽やかで、お洒落で、優雅な演目となっております。
僕は人生、常にいっぱいいっぱいで余裕なく生きてきたので、
優雅に踊る騎士を演じるというのは個人的に大変困難を極めました。
ダンスが得意な一彩から振付をレッスンしてもらうのですが、
桶太鼓を持った状態で軽やかに動くのがまず大変!
桶太鼓は太鼓の中では最も軽いですが、それを持って踊るには重いのでございます。
そして、リズムを打ちながら踊る…これも大変!
塩見は何せ不器用なものでマルチタスクと言いますか、
物事を並行して同時に行うのが苦手なのでございます。
練習当初はへっぽこだった塩見ですが、
志だけはずっと一人前でした。
誰よりも心は「騎士」!
女王様の前で下手な踊りを見せては彼女の威厳に関わる!
そう思って、必死に練習したものでございます。
続いて、女王の聖戦(マーチ)!
平和な女王の国に敵国が攻め入ります!
ここで演じるのは敵兵を薙ぎ倒す一騎当千の騎士!
このシーンは「◯国無双」などのゲームが大好きな塩見としては非常にイメージしやすかったです。
襲いかかってくる敵兵をバッタンバッタンと蹴散らしていくスーパーヒーローの妄想ならば、
物心を持った頃から今日に続く毎日の日課となっていますので、
こんなのおちゃのこさいさいさ〜…と思っていました。
イメージはある!気持ちも出来上がっている!
しかし…身体がついてこない!身体がぁ!
どれだけイメージがあっても、
それを身体で表現するって難しいですよね!
ということで、イメージする動きを己の肉体に落とし込む練習に励みました。
そして、更に難易度をあげるのが、
「リズムに合わせて」「立ち位置を間違えない」ことです。
当たり前ですが、演目の最中なので、
気持ちが入りすぎて気づいたら自分の動きがリズムの尺に収まってなかった…ではダメなんです。
でもやっちゃうんだ★テヘッ
気持ちが入りすぎて
「今の自分めっちゃ輝いてる〜!」
とか思っていると気づいたら、リズムに置いていかれてしまうのです。
そして当たり前ですが、舞台なので、
気持ちが入りすぎて気づいたら自分がどこにいるのか分からなくなっていた…ではダメなんです。
でもやっちゃうんだ★テヘペロ
気持ちが入りすぎて
「やべ〜今の自分の動きめっちゃキレてる〜!」
とか思っていると気づいたら、舞台上で迷子になっているんです。
練習で上記のミスを修正するのはとても大変でした。
塩見…調子に乗りやすいもので★テヘペロンヌ
そして最後に女王の遺志(レクイエム)!
戦の中で女王は亡くなってしまう。
ここで演じるのは次々と倒れていく仲間を横目に、
それでも戦い続ける騎士です。
このシーンでは演じている僕達の感情が一番爆発しています。
言葉に出来ない感情が胸を裂き、溢れ出ているようなイメージです。
最愛の女王を失った悲しみ、絶望、そして無力感。
女王を殺した敵兵への怒り。
そして、女王を守ことが出来なかった自分への怒り。
しかし、眼前に押し寄せる敵兵の大波。
もはや負け戦は明らか。
そんな中、騎士はどんな感情で、どんな表情で動くのか。
メンバーによって感じ方が最も大きく分かれるシーンであると思います。
なので、一番メンバーの個性が出ているシーンとも言えるかもしれません。
女王を失い、敗戦濃厚の中、憎い敵兵を前にして自暴自棄になっている騎士もいるかもしれません。
女王が亡くなり、最早この世に生きる意味はないと、自ら死を臨む騎士もいるかもしれません。
戦いが佳境を迎え、肉体は限界を迎え、死の淵に瀕して、頭から溢れるアドレナリンに支配されて狂戦士と化す騎士もいるかもしれません。
この演目ではそれぞれ、
メンバーがどんな感情を爆発させて、
どんな表情で散っていくのか、
そんなところに思いを馳せていただければと思います。
ということで!
今回は「Q」の「Tales of The Queen 」をメンバーが、
そして僕がどんな想いで練習し、演奏をしていたのか、
書かせていただきました!
物語を演じる演目は僕自身の大好物ですし、
きっと皆様に披露する機会がまたあると思うので、
どうぞ!楽しみにしていてくださいね!!
この記事へのコメントはありません。