Timeless Drum 同心協力②~いざ、和太鼓の歴史をめぐる時の旅へ~ by齋英俊
日時:令和3年12月18日
執筆者:齋英俊
タイトル:Timeless Drum 同心協力②~いざ、和太鼓の歴史をめぐる時の旅へ~
今回は前回に引き続き、2021年10月10日、シアター1010にて開催した、
「足立区×シアター1010協創企画 日本文化の再発見『Timeless Drum 同心協力』」を振り返りたいと思います!
前回のヒストリーを見ていない方はこちらから♩
→https://wadaiko-sai.com/archives/history/211115
いざ、和太鼓の歴史をめぐる時の旅へ~!
お客様とともにタイムトラベル!
和太鼓の歴史を時代ごとにタイムトラベルしながら見にいこう☆
僕らが大好きな和太鼓。
そんな和太鼓の歴史を、演奏とともに楽しく学べる!
そんなエンターテイメントショーを目指しました。
足立区・シアター1010指定管理者さま、足立区さま、キョードーファクトリーさまにご協力いただき、脚本、演出に初挑戦した本作品。
今回はいよいよ本編を振り返りたいと思います!
(本番の動画と写真がNGなので、曲に込めた想いをメインに綴りますね!)
【シーン1】現代~プロローグ
和太鼓は一説によると、1500年もの間、姿形を大きく変えず、常に時代ごとに役割を変化させ、人々の生活に欠かせない物となり、適応し、受け継がれてきました。
和太鼓はいったいどのようにして、長い時代を乗り越え、人々に愛され、受け継がれてきたのでしょうか。
和太鼓の歴史の変遷を見にいくことにしましょう!
それではいざ、和太鼓を知る、時の旅へ~!!!
【シーン2】古墳時代~天への願い
和太鼓は一説によると、古墳時代からあったと言われております。
6世紀天神山古墳より、太鼓を打っているとされる埴輪が出土しています。
埴輪 太鼓を叩く男子
(引用: JAPAN SEARCH, https://jpsearch.go.jp/item/cobas-107617)
神様に祈りを伝える道具として。
神様が鳴る、かみがなる、かみなりの音に近い和太鼓は、神具として、とても大切な役割を担っていました。
この古墳時代の祈りを伝える和太鼓。
舞台で表現し、どう伝えていくのか。
実はこの公演、各時代ごとに、その時代を表すメインとなるメンバーを決めました。
和太鼓彩が、和太鼓の歴史を表現するのだから。
いろどり豊かなメンバーが彩の魅力。
和太鼓の歴史と合わせて、彩の歴史?彩のことも知ってもらえるよう、そんな想いや仕掛けが実はたくさん入っている公演です♪
古墳時代は、独特な雰囲気を持つ、海くんをメインに選びました。
海くんの世界には、ゆったりとした時が流れ、他のメンバーとの異なる世界観を持っています。(チルって言うんだっけ?笑)
5尺の大太鼓が神様への願いを伝えるひとつのシンボル。
海くんはそれをつなぐ神官のような、役割を。
今までにない舞台表現でしたが、しっかりと決めてくれました!
古墳時代の人々に想いを寄せて。
豊作祈願や疫病退散。
今も変わらない、平和への想いを太鼓の音にこめて。
祈りの太鼓を表現しました。
冒頭は、バチも使わずに。
素手と足音。
和太鼓をこぶしでうつ、指でうつ、なでる、さする。
さまざまな音を生み出し、世界観を作り上げました。
そして、音に込めた願いは5尺の大太鼓、そして天に向けて。
今よりゆったりだったであろう当時のテンポ感で。
「Earth」を大きくアレンジして。(最終的にはほぼほぼ違う曲でしたが・・・(笑))
お送りしました。
平和な世界が、ずっとずっと。
続きますように。
【シーン3】戦国時代~陣太鼓
時は流れ、世は荒れ、戦国時代へ。
和太鼓は武力の場でも、大切な役割を担っていました。
拡声器もない、携帯もない。
そんな中、遠くまで音が響く和太鼓は、味方に戦略を出したり、鼓舞したり、重要な役割を担っていたのです。
戦国時代と言えば、、、
この人しかいないでしょう。
武将ヘア、塩見!
塩見くんというと落ち武者みたいなイメージをしてしまいそうですが、、笑
強い武将として、戦国時代のメインを務めてもらいました。
(引用:徳川美術館, https://www.tokugawa-art-museum.jp/)
かの有名な、長篠の戦いの屏風絵です。
ところどころに和太鼓打ちが描かれていますね!
和太鼓を持って移動し、互いに連携を取りながら戦っていたのです。
今回も、和太鼓に棒を取り付け当時の持ち方にして。
戦国時代の陣太鼓を表現しました。
そして舞台には、“かがり火”を。
実際に火を使用します。
彩の舞台で火を使ったのは初!和太鼓と火の相性ってとても良くて。
ともに自然のものだから。
和太鼓の音と揺らめく炎。
電気のなかった、当時の時代へ。
目指したのは、舞台で表現する和太鼓エンターテイメント。
弓を放つ、槍を持つ、騎馬隊前へー!!
さまざまな象徴的なシーンを和太鼓の振りに取り入れ、パフォーマンスしました。
めくるめく変わる演奏、個人的にお気に入りの一曲です。
戦国時代。
味方と連携し、厳しい戦に勝ち残るためには、和太鼓は欠かせない存在だったのです。
「今こそ敵を打て!えい、えい、おーーー!!!」
【シーン4】江戸時代~平和な町民文化
時は流れ江戸時代。
日本が統一され、江戸幕府が始まり、平和な時代が訪れています。平和な世が続き、次第に武士の力が弱まり、平民の力が強まっていきました。
それまで、身分の高い者しか触ることのできなった和太鼓を、一般市民も触れることができるようになったのです。
こうして、町民文化が各地で華開きます!
そんな平和な町民文化。
ええ、ぴったりの男がいますね!
生きる江戸時代、酒井くんです!
舞台役者、ストーリーテラーの治田さんにも、あつく、あつく、ご指導いただき、酒井君にはセリフにも挑戦してもらいました。
楽曲は、“晴れ囃子”を大きく編曲して。
みなで浴衣を着て、江戸時代のお祭りを表現しました。
途中3.6尺の大太鼓をお神輿に見立て、担ぎあげます。
そして、葛西町長が、その大太鼓を打ち込みます。
大うちわに花吹雪にお祭り騒ぎ!!
年に1度の楽しいお祭りを表現しました。
この江戸時代、日本中さまざま地域で今も受け継がれる、新たな地域芸能が生まれていったのでした。
「五穀豊穣・天下泰平!神様に皆で祈ろ~ってんだ!!!」
【シーン5】明治時代~和と洋の融合
時は流れ明治時代。
江戸幕府時代に行われていた海外国との交流を一切断つ施策、“鎖国”。
鎖国が解け、一気に西洋の文化が流れ込み、時代は大きく変化していきました。
ええ、西洋の文化といえば、、、
和太鼓をやっているのがむしろ不思議なくらい、洋が似合う男がいますね!
なべっちです!
ええ、まずこのお衣装を説明したほうがいいですよね!笑
明治時代、めざしたのは、和と洋の融合。
それまでの日本の文化とはまったく異なる、ド派手な西洋の文化が流入。
大きく、大きく、日本の文化や生活は影響を受け、変化していきました。
そんなセンセーショナルな、象徴的な衣装が欲しいなと。
街に探しに出かけたのでした。
そんなイメージに合うようなお衣装なんて・・・・
あったわ。笑
いやぁ、すごいな浅草。
こんなお衣装売ってるんかい・・・!!!
ってことで、即決しました。
江戸時代で使った和傘や和装、戦国時代で使った塩見くんの陣羽織も浅草でゲット!
しっかりと、浅草寺でLIVEの成功祈願を☆
さて、演目に戻ります!
明治時代の和と洋の融合。
いい曲がありました。
“婲阿吽駆”をアレンジしてこの時代を表現しよう。
そして、、、
なべっちにはひとつの大きな挑戦をしてもらいました。
それは、、、
“ドラムの披露”です!
和と洋の融合を表現する明治時代。
まさに、和太鼓とドラムの対比にすることで、この時代をより面白く、表現できるのではないか。
ということで、数年前よりドラムを習っているなべっちに、ドソロを託しました。
プロのドラマーでもこの規模でドソロをやることもなかなかないと思うので、これは大きな挑戦だったことでしょう。
本番はかっこよく、イメージ通り決めてくれましたよ!
そして、このシーンの照明は、ストロボを初起用!
たぶん彩の舞台史上、最もド派手な照明でいきました。
日本の間とは異なる西洋の拍やビート。
言葉も文化も異なる西洋で生まれた音楽は、日本の伝統的な曲とはまったく異なるものでした。
鎖国明けの当時の衝撃を、“婲阿吽駆”にのせ、センセーショナルな照明と衣装でお送りしました。
「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする~!!!」
【シーン6】現代~新舞台パフォーマンス
さまざまな時代に必要な大切な存在として受け継がれてきた、和太鼓。
時は現代に戻ってきます。
現代では、私たち和太鼓グループ彩のように、舞台芸術として、エンターテイメントとして使用され、人々に愛されています。
現代の和太鼓パフォーマンスを表す一曲。
新曲「Be Ready.3rd」披露させていただきました。
シアター1010。この劇場は、彩にとってとても大切なヒストリー。
2015年。
初めての全国ツアー初日を開催した想い出の地です。
その時披露した1曲目が、「Be Ready.」でした。
シアター1010にて再演が決まったときから、絶対に「Be Ready.」はやる!!!
と決めていました。
このTimeless Drumは、和太鼓の歴史とともに彩の歴史がもうひとつの裏テーマ。
シアター1010で「Be Ready.」は欠かせないですよね!
そして、表現するのは現代、令和3年。
2015年はすでに過去の歴史。
あの時からの進化を。
和太鼓の進化を、彩の進化を。
新たなパフォーマンスを「Be Ready.3rd」へと託します。
今回のテーマは、“集団行動”。
担ぎ桶太鼓を持ったメンバーでめくるめくステージを移動します。
時には横並び。
V字。
縦横斜め。
足踏みから手の動き。
寸分狂わずみなで動きを合わせます。
いつも一緒にいる僕らだからこそできる。
後ろを見ずに入れ替わる。
最新の舞台パフォーマンスと和太鼓の融合を披露しました。
【シーン7】未来へ~奏
ついに最後の楽曲。
最後の楽曲は、「奏」を選びました。
初の全国ツアー「衝動Ⅱ」では、この「奏」をメインに置きました。
だからこそ。
大切な曲だからこそ。
和太鼓彩メンバーと、彩WiNGSメンバーで、未来に向け、「奏」を披露しました。
この公演で見てきたように、和太鼓は、時代ごとに役割を変化させ、その時代になくてはならない、大切な存在として、受け継がれてきました。
この先、和太鼓はどのような変化をしていくのでしょうか。
和太鼓彩はどのような変化をしていくのでしょうか。
和太鼓彩も、みんなにとって大切な存在として、繋いでいきたいー。
そんな未来への想いを、今回の「奏」に込めました。
人々の生活は、今まさに、大きな大きな変化を強いられています。
変化を乗り越え、結びつき、適応してきた和太鼓には、
今この時代を生きるためのヒントが、隠されているのではないか。
和太鼓がさまざまな文化と結び付き、発展してきたように、
今こそ、私たちがお互いに手を取り、繋がりあって、皆で未来のために共に乗り越えていくべきではないか。
そんな想いを同心協力というタイトルに託し、
最後の「奏~同心協力ver.」へ込めました。
以上、全6曲。
この公演が、歴史のひとつとなることを願ってー。
10月10日に披露した、シアター1010公演の全容でしたーー!!
長文お付き合いいただき、ありがとうございましたー!!
改めまして、貴重な機会をくださいました、足立区・シアター1010指定管理者さま、足立区さま、キョードーファクトリーさま、本当にありがとうございました!
大役ではありましたが、和太鼓の歴史に思いを寄せて。
そして和太鼓の未来へ、新たな可能性や希望を感じる、そんな公演となりました。
たくさんの方のご協力で、自信をもって良かったと言える作品になったと自負しております。
本作品を他で再演するのは難しいかもしれませんが、、、
実は今新たな舞台に向け、動き出しております・・・!!
続報は乞うご期待と言うことで!
本日のヒストリーを締めくくりたいと思います。
ありがとうございました♪
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