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鼓劇を作る-新たな和太鼓公演の形 by塩見岳大

日時:令和4年3月24日
執筆者:塩見岳大
タイトル:鼓劇を作る-新たな和太鼓公演の形

この記事をお読みいただく前に下記二つの記事を先にお読みいただけると幸いでございます。

・彩座発進!-新たな和太鼓公演の形-
https://wadaiko-sai.com/archives/history/220203
・「ハレのちユキ」-新たな和太鼓公演の形-
https://wadaiko-sai.com/archives/history/220226

さて、鼓劇の台本は完成した。
次は配役だ!

この劇のキャラクターは皆、ハレの日の神様であるので、
それぞれが司るハレの日にイメージが合致するように配役した。

まずは原 琉生加!
彼にはクリスマスボーイを演じてもらった。
この役のみクリスマスとの親和性以上に、
物語の中では新人の神様であり、尚且つ主人公であるという点を重視して配役を行った。
琉生加の少しおっちょこちょいだけど優しい性格とめちゃくちゃ噛み合ったと思っている。

東野 太亮!
彼には正月入道を演じてもらった。
東野の溢れる出る和のオーラと正月の空気感がベストマッチだと思ったのだ。
設定上は登場キャラ最年長であり、お酒大好きで常に酔っ払っているという点は、
東野本人とは異なる属性だが、圧巻の演技力で演じきってくれた。

宇田 翔馬!
彼にはバレンタイン卿を演じてもらった。
設定上美しく、女性からめちゃくちゃモテるキャラクターであったため、
これは甘いマスクの爽やかイケメン、宇田にやってもらうしかないと思った。
キャラ自体の癖がめちゃくちゃ強いのに、見事にそのキャラを自分のモノにしてくれた。

渡辺 隆寛!
彼にはハロウィン小僧を演じてもらった。
以前、彼自身がハロウィンの楽曲を作成し、演奏、撮影、配信していたのを見ていたので、
そのイメージが残っていたのは間違いない。
しかし僕の中では、彼ほど無邪気な笑顔で人に悪戯をする人間はいないのだ。
加えてハロウィン小僧にはアニメ・カートゥン的な芝居を求めていたのだが、
その要求を汲み取り、芝居を作り上げていった渡辺を見ると、やはり彼しかいなかったように思える。

最後に塩見 岳大!
僕は勤労感謝の日を司る勤労閣下を演じた。
正直、勤労閣下のキャラクターに素の状態でマッチする人間など、彩座には誰もいなかったように思える。
しかし、物語の中でこの勤労閣下のキャラクターは妥協したくなかったので、
僕自身が演じながら探っていく事にした。
年齢的には最年長なので、勤労閣下の偉そうな空気感は他のメンバーより演じやすいかもしれないとは思った。

配役が決まり、
さぁ練習を進めて行こうとは思ったが、
いきなり和太鼓を持ってスタジオに行こう!
…とはならなかった。

まずは各々台本を暗記して、
渡辺・酒井が住む共同生活宅に集合し、
そこで読み合わせを行なった。

楽曲ならまだしも、台本の暗記など皆した事がなかったため、
何度かに分けて、暗記、読み合わせを進めつつも、演技の練習も始めていった。

特に演技の練習など初めてだったので、
皆で知恵を絞り合わせたり、youtubeを見て勉強したり、
試行錯誤を重ねつつ、一歩一歩練習を進めていった。
発声、振り付け、立ち回り、演技の表情、
新しい事が盛り沢山で迷う事も難しい事もあったが、
皆でお互いを支え合い、
皆で劇を作り込んでいった。

舞台で映えるように、
大きな声を出しながら、
大きな演技をするために、
皆で寒空の下、公園で練習に熱中した日もあった。

和太鼓チームだが、和太鼓を叩かない練習を幾度も幾度も繰り返した。

一方、同時並行で渡辺、東野には作曲、宇田にはソロの制作をお願いしていた。

練習期間が限られている中で、ただでさえ演技の練習に時間をかけなけれならないのに、
全ての楽曲をその物語に合わせた新曲にするのは現実的ではなかった。
そのため物語の過程を既存曲にすり寄せて、台本を制作した。

それでも既存曲に置き換えれない楽曲の制作は渡辺、東野が積極的に申し出てくれた。

僕は台本のシチュエーションを掘り下げて説明し、
楽曲の大まかなイメージを共有した。
二人が作る個性的な楽曲は個人的にも興味深いものばかりだったので、
創作意欲溢れる彼らがどのような楽曲を仕上げてくれるのか、
楽しみで楽しみで仕方なかった。

宇田には物語における重要なシーンでソロ演奏をしてもらい、
その楽曲の制作から完全に任せた。
楽曲の一部分でソロを披露する事はあれど、
ソロで丸々一曲演奏するのは初めての宇田だったが、
難しいシーンでの難しいソロへの挑戦を引き受けてくれた。

演技の練習も進行しつつ、
劇中の楽曲も完成してきた頃合いで、
和太鼓の練習もどんどんと進めていく。

メンバー皆が膨大な時間と情熱を彩座のためにかけてくれた。

その時間と情熱のピースが組み合わさり、徐々に鼓劇は作り上げられていった。

初めは輪郭も朧げで、不明瞭だった公演の全貌が形を成していくのだった。

そして他のチームの彩メンバーにお披露目をする公演直前リハーサルにて、
鼓劇「ハレのちユキ」を披露した時、
僕の中で新しく世界が拡張されたような感覚を覚えた。

新たな和太鼓の公演の形が完成した瞬間だった。

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